星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

お気に召すまま  観劇メモ

2007-08-11 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)

 公演名 お気に召すまま
 劇場 シアタードラマシティ
 観劇日 2007年8月4日(土) 
 時間 18:00
 座席 3列

とにかく楽しかった~!! のひとこと。
いちおう内容を忘れないためにゴチャゴチャ書いてますが、以下、蛇足です(笑)。
たぶん。

初演は観ていないので今回がお初!
ソワレ3列目センターからの眺めはけっこうな麗しさでございました。
「間違いの喜劇」でも感じたけれど、観終わった後はほろ酔い状態。
顔がかるく上気し、気分も高揚気味。おいしい料理をいただいた時とオンナジ!
それは喜劇のせいなのか、美しい男たちを見続けたせいなのか。
たぶん両方だと思うけどね。
だってこの作品、老人と子供とヒツジ(本物)以外、おもなキャストはほとんど
が恋をしちゃうという設定なんだよ~。フツーの精神状態では見られないって。

実はこの日、昼もオールメール(歌舞伎)だった。
歌舞伎では大前提として、女形の役者さんを男性と意識することなくその世界に
入り込めるようになっているけれど、このオールメールシリーズでは男性が女性
を演じているんですよ!と、あえて意識させる演出になっている。と思う。
この差は大きい。
<オールメール>の作品だとうたっていること自体、もう術中にハマっている。
そして、オープニングではナント後ろ扉から男性キャスト全員が素顔で、私服同
然のラフな格好で通路を走って入ってくる。女性たちがキャーキャー言いたくな
るのは、そこにいるのがいつもの男性俳優さんだからなんだよね。
今日はお祭り気分。今から非日常を楽しんで!
そんなオマジナイをかけられたかのような冒頭の演出。頭をカラッポにしてその
世界を受け入れる。きっとこの感覚がたまらなく心地良いんだと思う。
<追記>
あとでパンフレットをめくってみたら、市川亀治郎さんからの寄稿文があった。
<われわれが演じるのは女形であって、女性そのものではない。>とのこと。
同時期に上演となった「NINAGAWA十二夜」についても詳しく書かれていて、
シェイクスピア恋愛喜劇での新たな女形表現に関する記述がなかなか興味深い。

ここから先、ほんの少しネタバレです。

<あらすじ>
若きオーランドーは遺産相続の権利を兄のオリヴァーに無視され、アーデンの森
に移り住む。その直前にフレデリック公爵主催のレスリング大会で優勝し、ロザ
リンドと恋に落ちる。
公爵は自分の兄を追い出し、今また兄の娘のロザリンドも追い出そうとしたため、
ロザリンドは公爵の娘で仲良しのシーリアといっしょにアーデンの森に逃げ込む。
その森には公爵の兄(ロザリンドの父)が暮らしていた。
オーランドーは男装したロザリンドと出会うが、本人とは気づかず恋の相談相手
になってもらう。(ロザリンドはオーランドーと知りながら黙っている。)
あるきっかけでオーランドーとオリヴァーは仲直りし共に森で暮らすようになる。
オリヴァーは初対面のシーリアと恋に落ち、羊飼いとして生きる決心をする。
けっきょく、公爵の兄に領地が戻ることになり、オーランドーとロザリンド、オ
リヴァーとシーリアら数組のカップルが森の中で結婚式をあげる。

<舞台装置、森の描写など>
オーランドーの家の外観、公爵邸の敷地内などは簡素なセット。
多くの登場人物たちが大半を過ごすアーデンの森も、特に凝った仕掛けはない。
しいていえば、舞台奥から手前にかけては森の斜面を表しているらしく、かなり
の傾斜がついていた。斜面の上からの登場シーンがけっこう多く、キャストの中
には滑り降りる人もいたし、停止するのが大変そうな人もいた。あれは役者さん
泣かせかも。

アーデンの森ではオーランドーが恋の詩を木に付けたり、公爵の兄たちが狩りを
してその肉を食べたり、羊飼いが羊と暮らしていたりする。
森は人々の出会いの場。恋が生まれたり、恋を育てたりする場所。
また、宮廷生活者たちの駆け込み場。ここで英気を養い、力を蓄える再生の場。
そして、元々の住人である羊飼いたちのリアルな生活の場。
森の中で繰り広げられる生活、出来事、台詞の中に、それぞれの人物と森との
関わり方の違いが見える。

<印象に残ったキャスト>
小栗旬さん(オーランド)
毎週ドラマで見ている佐野泉くんが、今目の前に立っていることが不思議だった。
ナマの小栗くんは顔が小さく手足が長く、立ち姿は鑑賞に値する。
いつも何かと露出してくれる肌だけど(笑)、今回はタンクトップの肩からのぞ
いた上腕筋がたまらなくセクシーだった。他と比べてそこだけアンバランスなぐ
らい盛り上がっていて、もしかしたら集中的に部分的に鍛えたのかな???
(私にとってのベストは「偶然の音楽」のナマ背中プラスくぼみ。笑)
声の心配は全くなく、感情表現もうまい。兄に対する怒りの表情や、後半のロザ
リンドが語っている時の視線とか表情がいい。彼女への想いがあふれすぎたのか、
他の場面でもそうだったか、ときどき目に涙をためていたのが印象的だった。

成宮寛貴さん(ロザリンド)
女役としては美しいというよりも愛嬌があるタイプ。そこがすごく好感が持てる。
指先やちょっとした仕草に女の子らしさをにじませ、とっても可愛かった。
アーデンの森ではギャニミードと名乗り、女性を演じながら男性の扮装をする、
という複雑な設定。男っぽくふるまおうとしてバタッとこけたり、木の枝の上を
移動する時にコワゴワだったり、女の子の感情や仕草がポロッと出るというのが
面白かった。(今日「アクチュール」8月号を読んでいたら、男装の時の動きは
タカタヅカの男役を参考にした、と書いてあった。ナルホド!!!)
オーランドーを試しながらも思い通りにいかず悩んだり、すねたり、恋する女の
子の気持ちを豊かに繊細に表現していて魅力的だった。

月川悠貴さん(シーリア)
女性として、とりわけ横顔がパーフェクト!! 
「間違いの喜劇」のルシアーナ役ではその美しさにただひれ伏すしかなかったけ
れど、今回はキュートなのに面白く、可愛いのに大胆で、ますます好感度アップ。
ロザリンドが真剣な時に、アホラシとばかりに全然気のない顔をするのがサイコー。
オリヴァーにひと目ぼれする瞬間、あんなふうに見つめられたら男性はひとたま
りもないだろうなと納得してしまう。

高橋洋さん(ジェイクイズ)
皮肉屋で鬱ぎ屋。いわゆるノリの悪いヤツという印象。
この芝居の中で唯一、私が理解しにくかったのがジェイクイズという男だった。
でも、めでたしめでたしのエンディングのあの華やかな舞台で、一人だけ黒服の
まま、はにかんだように微笑んでみんなと離れてゆくジェイクイズがメチャクチャ
かっこよくて、そのシーンで目が釘付けになった。浮いてるのはジェイクイズじゃ
なくて、他のみんなのほうじゃないかとさえ思えた。存在感のある洋さん、素敵っ。
森での仮住まい生活者の勝手なふるまいを一歩引いた目で見ている存在なのかな。
ただし、自分からは一切何も始めない、行動を起こさないタイプの人間だと思う。
「この世界すべてが一つの舞台、人はみな男も女も役者にすぎない」という名台
詞をいうのが、このジェイクイズ。

田山涼成さん(タッチストーン)
道化役のタッチストーン。「朧の森に棲む鬼」のオオキミもそうだったけれど、
こういうコミカルなキャラのほうが俄然イイと思う。
ビューテフル系カップルが多いなか、タッチストーンとオードリーはね・・・笑。
二人には思いっきり笑わせていただいた。
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12 コメント

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ああ!! (しろう)
2007-08-12 11:26:32
どこでも評判いいですねえ、このお芝居。
なんで名古屋がなかったんだろーー!
「間違い・・」も「恋・・」も名古屋にしちゃ
すばらしく入ってたのに。何がいけないんだっ。
無理してでも大阪行けばよかった(泣)
中継録画かDVD、予定されているといいなあ。

亀さんのお言葉には、深みを感じますね。
さ~すが~。
それに、成宮クンの努力にも感心!
(アクチュール買っててよかった~♪)
オールメール・シリーズの楽しさは格別。
ますます人気アップですね。
また何かあるといいなあ。
返信する
名古屋~っ!! (ムンパリ)
2007-08-12 14:58:25
しろうさん、今回は名古屋公演なかったんですね。それはガッカリでしたね~。
蜷川さんの作品はきっとNHKかWOWOWで放映されると思いますよ。
そうそう、今回の「アクチュール」の記事、いろいろと読み応えがあって、偶然とはいえ(笑)買ってよかったです♪ オールメール・シリーズはビジュアルを味わいながら、何も考えずに楽しむのがイチバンですよね。 
観劇後にホンワカなれるお芝居って最近あまり観てないから、新鮮でした!
返信する
なんだか ()
2007-08-13 01:07:23
この舞台を観た人は、皆同じフレーズを言ってる気がする・・・。
小栗くんの上腕筋。(笑)
いやはや、それ程印象的だったのよねぇ~♪

ムンパリさんの感想読んで、舞台上の役者さん達の様子が目に浮かんできたよぉ。
特にイケメンたちのね♪(笑)

舞台美術に関しては、冒頭から結構長い間、
奥行き2m程の空間での芝居が長く続いたので、
(まさか最後までこのまま?)っと心配してました。

アーデンの森のセットは美しかったですよねぇ。
照明での木洩れ日がなんとも心地よく、
森林浴をしているようでした。

ツッコミ満載の内容も、終始楽しめたので結果オーライ!(笑)
返信する
ジョーワンキン祭♪ (ムンパリ)
2007-08-13 01:50:57
麗さん、お祭りですよ!(爆)
だってみんな、ひと目でジョーワンキンに心を奪われて思ってしまったわけだから凄いよねえ。
でも、ビジュアルだけじゃなくプロの役者として存在感も華もある小栗くん、これからますます楽しみだよね。
はい、アーデンの森は美しいセットでした。そうそう、光の演出がきれいだったよね。

> 森林浴をしているようでした
うんうん。いま思い出したけど、森の中が気持ちよかったのは音楽のせいもあるかも。オーランドーが兄に怒りをぶつける時はワーグナーの「ワルキューレ」だったけど、アーデンの森での恋の場面はいつもパッヘルベルの「カノン」だったね。
ツッコミ入れながらも、とにかく見終わってとてもハッピーになれる舞台でした。
返信する
恋するカノン (スキップ)
2007-08-13 03:04:43
ムンパリさま

そうそう、カノン!
私あの曲好きなんですよ~。(のわりには曲名思い出せなかった。今スッキリしました。ありがとうございます。)
だからなのかな、今回あの恋の場面はとても心に響いて、森の美しさとともに印象に残っています。
「恋の骨折り損」の緑鮮やかな森も美しかったけれど、私は断然鬱蒼としたアーデンの森が好き!
麗さんのおっしゃっているように、照明で木洩れ日や朝日や夕日やいろんな光の演出があって・・・。
あぁ、また観たくなっちゃいました。
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Unknown (みんみん)
2007-08-13 07:42:16
ムンパリさん♪
いいなあ、前方席・・・(涙)。
私も大阪でリベンジすればよかった・・・。
だって、2階からでは上腕筋がよく見えない(爆)。
そのあたりは、映像になる事を待ちたいと思います・・
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カノンは媚薬? (ムンパリ)
2007-08-13 21:27:46
スキップさん、いいですよねえ。カノン。
観劇後の帰り道「カノン、いいね~。<タンゴ、冬の終わりに>もあの曲やった」って、Kりんさん(仮名)が急にロマンチックモードな目になったんですよぉ。(←こっそり。)私がほろ酔い状態になったのもあの曲のせいかと思われ。
さらにさらに、この作品で小栗くんに深~く堕ちた人にはあの曲、カノンがサブリミナル効果、というか、明らかに媚薬効果になったのでは、と思われて仕方ありません!!(笑)
返信する
補助席のこと (ムンパリ)
2007-08-13 21:30:12
みんみんさん、ごめんなさいねー。ジョーワンキン祭で盛り上がっちゃって。
大阪ならいい席で見られたかも。私も経験があるんだけど、前日予約の当日券だと最前列の補助席で見られることがあるんですよ。今回も補助席が最前列に出てました。ただ補助席の位置は事前に教えてもらえないでしょうし、リスクはありますが。
あ、でも2階からだと、舞台奥から登場するステキな小栗くんが1階席よりも先に見られたハズ♪
早くTVで放送されるといいですねっ!! 私も早く見てみたい~♪
返信する
Unknown (せんぢゅ)
2007-08-15 00:05:17
やっぱり良いお芝居だったなぁ~と、東京で観た公演を思い出します☆
TVで早くやって欲しいなぁ~。

ムンパリさま、コメントありがとうございました。
そして、TBでは大変失礼しました。
もしよかったら、TBできるようにしましたので、ぜひまた遊びにきてください♪
返信する
ありがとうございます♪ (ムンパリ)
2007-08-15 08:45:02
せんぢゅさん、こんにちは。
そうですよね、思い返すたびにホンワカした気持ちになれるいいお芝居でしたね!このシリーズ、また観てみたいです。蜷川さんの作品だから大丈夫だと思うけど、TV放送があることを期待しましょ♪
TB再トライしてみました。お心遣いありがとうございます。
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