うみほたる
初めて来たのは もう十年くらい前のこと
まだ 昔のエンジ色の車で
助手席に 彼女を乗せて
長い海中トンネルを抜けて
再び青空が見えた時
見渡す限り 四面海歌を眺めた時
僕らは うわーって 感動したっけ
あれは 確か 僕の誕生日の頃
だから 館山に着いても 水着は着なかったし
そうだ 彼女がケーキを予約していてくれてたんだ
翌日 南端の灯台に行って
フェリーに乗って 東京湾を横断して
僕らの ささやかな旅は あっという間に終焉
時間の速度は
充実に比例して
願望に反比例して
遠い思い出なんか
過ぎ去った時間の中で
濾過されて 結晶化して
今じゃ 琥珀のように優しい輝き
今朝の うみほたる 一人で見回せば
蒼い空 青い海
記憶より 遥かに大きかった
ふうん
初めて来たのは もう十年くらい前のこと
まだ 昔のエンジ色の車で
助手席に 彼女を乗せて
長い海中トンネルを抜けて
再び青空が見えた時
見渡す限り 四面海歌を眺めた時
僕らは うわーって 感動したっけ
あれは 確か 僕の誕生日の頃
だから 館山に着いても 水着は着なかったし
そうだ 彼女がケーキを予約していてくれてたんだ
翌日 南端の灯台に行って
フェリーに乗って 東京湾を横断して
僕らの ささやかな旅は あっという間に終焉
時間の速度は
充実に比例して
願望に反比例して
遠い思い出なんか
過ぎ去った時間の中で
濾過されて 結晶化して
今じゃ 琥珀のように優しい輝き
今朝の うみほたる 一人で見回せば
蒼い空 青い海
記憶より 遥かに大きかった
ふうん