


■ 中央 果実は蒴果で、3~4.5cmの扁球形。先が尖るのが特徴。中華の肉まんのような形。蒴果は3~5室からなり、種子は3~5個。
■ 右 若い実を切ると、油分が滲み出てくる。かなりの量が含まれている。桐油は、かつては紙にしみ込ませて油紙とし、和傘や提灯を作った。絶縁用ワニス、塗料、印刷用油として使われている。
アブラギリ搾油復活へ種取り
かつて本県の一大産業だった「油桐(きり)産業」を復活させようと活動している「越前若狭 安全安心倶楽部油桐プロジェクト」と「森と暮らすどんぐり倶楽部(くらぶ)」などは31日、美浜町新庄でアブラギリの実の殻を外す作業を行った。臼ときねを使い、昔ながらの手法を再現。取り出した種は約1カ月乾燥させ、11月下旬に油を搾ることにしている。
アブラギリはトウダイクサ科の落葉高木。種からとれる桐油は灯油用や撥水剤として約300年前から使用され、本県は江戸時代から昭和にかけ、日本を代表する生産地だった。
この産業を復活させ、バイオ燃料や商品開発につなげようと、両団体が中心となり今年5月から活動している。
メンバーは10月、同町新庄や若狭町、福井、小浜両市で自生しているアブラギリから実約400キロを拾い集めた。
この日の作業にはメンバー8人が参加。熟して黒くなった直径2~3センチの実を昔ながらの臼ときねで押しつぶし、殻を外していった。臼で殻を外すのは嶺南特有だという。つぶした実は水を入れたバケツに移し、洗いながら約1センチの種を取り出した。
同プロジェクトメンバーは「種の25%は油成分。下旬には日本では行われていないドリルを用いた方法で種を粉砕し、油を搾る。多く搾り出したい」と期待を寄せている。
私は今日この記事を新聞で読むまで「アブラギリ」なんて知らずに、熟して黒くなった直径2~3センチの地に落ちている実を眺めててきたようだ

