翌日、私が友達と遊んで家に帰ってきて夕飯の席に着くと新しい同居人の中国人の女の子も到着していた。彼女はレティシアと名乗った。
「お前もか・・」
レティシアはもちろん本名ではない、例のフランス名です。相変わらず違和感を感じる俺。「あ、どうもmojaoです」と言って握手しようとする俺の出した手を握らずなぜか彼女は腕を絡めてきた。「え?いやいや・・そうでなく・・」一瞬戸惑うおいら。人懐っこいキャラではあるようだ。メガネをかけてポニーテールの彼女は23歳の女子大生で、前回の同居人のび子やイェイェと同じく秋からパリの大学に行くらしい。カヴィラムにはパリに行くまでの1ヶ月間通うので俺と同じ期間ヴィシーにいる。彼女とフランス語のレベルは同等くらいで中国訛りはあるが聞き取れないほどではない。
「夕食後はどうするの?」とマダムが私たちに聞くとレティシアは「二人でチャットする」(二人でおしゃべりするという意味だと思われる)と答えた。俺はしねーよ!と答えた。(心の中で) 明日はクラス分けの試験があるのだ。俺は前回の二の舞は踏まねー。ガッツリ一夜漬けで勉強してやる。なんせ前回よりクラスが落ちるなんてことになるのは嫌だから。
翌日、共働きの二人は私たちより早く出掛けていき、私とレティシアは二人で朝ごはんを食べて学校へ行く。「mojaoはヴィシーのこと知ってるから色々教えてあげてね」とマダムに言われた。本当はステイ先の人が初日は送迎したりするのだけど。
初日のクラス分けには私が前回来た5月上旬の頃よりはるかに多い学生がいた。なんせ前回は10人もいなかった。今回は優に50人はいる。教室に入ると席にカヴィラムバッグとメモ帳が置いてある。2個もいらん!1個目もジャクリーヌばあちゃん家に置いてきた紺色のダサダサ斜めがけバッグ。試験は前回私が来たときに行われた面接が無くなっており、ディクテ(聞き取り)の試験がその代わりとなっていた。教室を出るとレティシアが「私の彼氏よ。」と言って中国人の男の子を紹介してくれた。彼はヤニックと名乗った。俺の心の声「なぁーにがヤニックだ!」(←性格悪い)試験結果がでるまでの数時間、私は図書館のネットで時間を潰す。
試験結果が発表になった。どうか前回のレベルより下がってませんように・・。以前からカヴィラムにいる友達と一緒に試験結果を見に行くと私のクラスはレベルがélémentaire4(初級4)、前回帰るときがその上のintermediere1(中級1)だったのでまぁ、あまり変わってはない。よかよか・・と思ってると友達が「mojaoちゃんの先生最悪なあの人だよ!」と聞き捨てならないことを言う。そういや以前、日本人や韓国人の友達から非難ごうごうの先生の話を聞いたことがあった。
さらには「mojaoちゃんちの同居人も同じクラスじゃない?」
ナヌ?そっちもヤダ!
教室に行くとやはりレティシアと同じクラスだった。そして以前同じクラスだった韓国人の女の子もいた。それ以外知ってる人が誰もいない。。クラスメイトは欧米人だらけ。スペイン人のおばあちゃん、コロンビア人の女の子2人、イタリア人の男の子2人、ドイツ人の男の子と女の子、北欧のどっかの国のおじさん、ブラジル人の男の子、旧ソ連から独立したどっかの国の男の子、アジア人は中国人3人と韓国人の女の子と俺。日本人は俺一人。初めてだよ、日本人とアラビア系の学生がいないクラス。超アウェー 先生は若い女の先生。確か名前はクリスティ。
その日の夜ご飯、マダムはレティシアと私が同じクラスなのを喜んでいた。
「すごいわ!一緒に住んでいてもクラスが同じになることはほとんどないのにすごい偶然ねー!」
正直言って私は家でも教室でも一緒かよ・・とちょっとウンザリだった。ってこうみると私って最初かなりレティシアに心閉ざしてたなーと思う。多分私には既にヴィシーに沢山友達がいたからこんな傲慢な態度だったんだろう。
ちっちぇー人間だ・・。
今日も最後に1クリック下さいませ