私と同居人の中国人レティシアはほぼ同じ期間の9月の1ヶ月ヴィシーに滞在しました。そして別の地域、私はトュールへ、レティシアはパリへ同じ日に移ります。私たち二人の最後の夜はステイ先でパーティーをしました。メニューはなんとステイ先のエステールマダムの一言で決定。
「私、刺身が食べてみたいわ!」
ま、マジですか??以前夜ご飯の話題でワサビ大好きなエステールがワサビを使った料理は何があるのか尋ねてきて「魚を生で食べるときに醤油に溶かして食べるのが一般的だ」という話をしたことがあるのだが、海に面してないヴィシーで刺身ですか??ビビるmojaoなんてお構いなしに「私が知ってる魚屋にあなたを連れてくから見繕ってちょうだい」とこれまた生まれてこの方魚をさばいたことないmojaoに涼しい顔して言う。確か料理人のカヴィラムの友達がヴィシーの魚屋の魚は半分腐ってたとか恐ろしい事言ってたぜ?
アジア料理好きなエステールの提案で豆腐も食べることに。「豆腐なんて売ってんのかな~?」なんせここはパリじゃないよ、田舎町。でもアジア食材店はあって米や海苔、調味料なんかは手に入るのですが、アパート暮らししてる日本人の友達から「町はずれにある自然派食材店にはあったよ」という情報を得て、歩いて40分くらいかけてレティシアと豆腐を買いに。豆腐といっても硬い木綿豆腐というか高野豆腐みたいな感じで生で食べるのはちょっとどうなん?焼いて豆腐ステーキ風にすることに。
さて肝心な魚ですが、エステールと魚屋へ。初めて来たのだが入ると意外に本格的。いけすに伊勢海老みたいな海老が沢山いるし、切り身も丸ごとの魚も昔の日本の魚屋みたく氷の上に沢山寝てます。しつこいですが、私は魚をさばいたこととかないので見ただけでは魚の種類を判別することが出来ない・・。電子辞書を片手に表示してある魚を調べてみるが、「一体刺身にする魚って・・?」とかもうそのレベル。だって刺身といえばマグロとかハマチくらいしか思い浮かばないけどここでそんなん手に入るわけない!しかしエステールは店員のお姉さんに「今夜は刺身で食べるのよー。彼女は日本人で私たちに作ってくれるのよ。」とプレッシャーをかける。やっぱ無難に鯛かしら?立派な鯛の切り身を二切れ購入。というかお金を払ったのはエステール。
家に着くなりエステールはフランクに「J'espere que ce sera bon ! parce que ça fait 20 euros !! (おいしいといいわ、だって20ユーロもしたのよ!!)」と耳打ちしてさらにプレッシャー。。
お米はエステールがアジア食料品店で「日本や中国で食べてるお米を買ってきたわ」といつもの米より粘り気のあるお米をわざわざ買ってきてくれた。私は買ってきた切り身を薄切りに。とりあえず一切れ切って恐る恐る醤油につけて味見いや毒見。
「旨いでないのー!」
いや~一安心。これなら明日腹痛で電車でもんどりうつことはなさそうだ。エステールとフランクの友達のリオネルおじさんも一緒に5人でディネをした。リオネルおじさん(レ・ブルーのサニョル似)はよくこの家庭にやってきて私たちも何度もごはんを一緒に食べたことある人。しかし彼の家庭はちょっと複雑で彼の奥さんは別の男を作り、週末は男の家に入り浸り、普段の生活はヘビースモーカーのアル中で5歳になる息子の世話を一切しないという、みのもんたが聞いたら激昂しそうな奥さんがいるのだが、子供が小さいからという理由でエステールとフランクの離婚をしろという助言もリオネルは耳を貸さない。そんな家庭にいるのがいたたまれないのかよく私たちのステイ先に週末やってきてそのまま数日泊まったりするのだがそんなとき息子はどうしてたのかな~?私はあんまりプライベートなことに首を突っ込んで聞くことがはばかられたずねたことはないけど・・。
リオネルにとっては日本食なんて食べたことも見たことも無い未知の食べ物。しかも生魚。ちなみに中国でも生で魚を食べる習慣は無いそうだ。さらにエステールが「前にうちにいた日本人の女の子が綺麗なお箸をくれたのよ。」といってお箸を使って食べることに。もちろん私とレティシアはOKだが、フランクは「こんなの使ったら指がつる!」と即フォークに切り替えてた。リオネルおじさんもお箸に挑戦してくれて私も持ち方とか教えたけど無理だった・・。でもエステールは気合で使いこなし見事にお箸で刺身を食べてた。エステールが大好きなワサビ(彼女はワザビと発音してたけど)、家にはわざわざリヨンで買ったというS&Bのチューブ入りワサビ。小さめの皿に醤油を入れて「どのくらい入れればいいの?」と尋ねるエステールに日本人の私にとってはワサビの適量なんてわかりきったことだが、彼らにはわからないのか・・と改めて思ったりした。
さて肝心な刺身の味だが、一応みんな美味しいと言っていた。私は普通に美味しいと思ったけど「生臭くない?」って聞いたけどみんな「大丈夫。美味しい。」といって食べてくれた。ちょっと感動。豆腐は塩コショウで味付けしただけだがこちらも好評でした。エステールのお米は「お店の人がたっぷりのお湯で炊くって言ってたわ」とおかゆ状態のご飯が出来上がりました。
みんなで写真を撮って、いっぱい食べていっぱい飲んで楽しい夜を過ごした。私はやっぱりこの家庭に来て良かったと思うしラッキーだったと思う。レティシアも人懐っこくていい子だったし何事もトラブルなくやってこれました。エステールとフランクも私たちが来る直前にいたコロンビア人の女の子に悩まされてた(部屋を汚す(使用済みの生理ナプキンがベッドに置いてある証拠写真を見せられた。)、男(しかも40過ぎのフランス人オヤジ)を連れ込む。2人に対して高圧的など・・)こともあり、真面目な私たちにはとても好意的に接してくれました。
「ヴィシーに来るときはいつでも私たちに連絡しなさいね。ここはあなた達の家だよ。」と言ってくれたりした。
そんなこと言ったら本当にまた来ちゃうよ?
コッチも頼も~