船橋情報ビジネス専門学校

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ITを題材にしたお勧めの小説

2024-05-08 15:24:02 | Weblog

ITエンジニア科の倉持です。今日は、いつものランニングの話ではなく、お勧め本の紹介です。

『東京都同情塔』九段理江
今春の芥川賞受賞作。主人公の建築家がAI-builtという生成AIに問いかける場面がたびたび登場します。
1%くらいはChat-GPTの作る文章を取り入れているとご本人が公言していることから、AIが生んだ芥川賞作品という評価もあったようです。ザハ・ハディド設計の国立競技場が建つ東京という舞台設定。受刑者をホモ・ミゼラビリスと呼び、人権に配慮した刑務所「シンパシータワー東京」が計画され、その設計に挑むという設定。平均的な望みを集約し批判を最小限に留める模範解答だけを返すAI。興味をひく要素がちりばめられていて、面白い作品です。『文藝春秋』3月号に全文掲載されていて、書評やAIに関する対談なども一緒に読めるので、図書館などで見つけたら読んでみてください。


『パワー・オフ』井上夢人
90年代後半の作品で『小説すばる』の連載で読んでいました。人工生命の研究者がコンピュータウイルスを改変したらどうなるかという話です。ハードカバー版が出た2000年頃は、ラブレターウイルスという画像ファイルを破壊するウイルスが全世界に拡大して話題になりました。インターネットが世界中に繋がると言われていたものの、ダイヤルアップという接続の方法から、間にプロバイダがあるという意識が強かった頃のことだったので、世界中にコンピュータウイルスが広まった状況の描写が難解でした。今読むと、そのあたりを理解しやすくなっているのと、それが90年代に書かれていることの面白さで、楽しめると思います。同じ作家がコンビ作家時代に書いた『クラインの壷』もVRを主題にした80年代の作品として稀有な存在です。併せてお勧めします。

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