ある日「ごめんください!」と
誰かがやってきた。
「ギュナイドゥン」(おはよう)と
トルコ帽を被った男は、絨毯を勧めてきた。
このうちの玄関マットを「バンビィくさい・・
でしたっけ?」とまで言う。「ボウビンくさ
いだ!」「貧乏くさいのまちがいでしょう!」
5億円だというトルコじゅうたんを、四万九千
九百九十九円で買うことになった。
そのじゅうたんは、見えない穴から
取り出された。見えない穴をというものも
合わせて五万円で買うことになった。
そのじゅうたんは空飛ぶじゅうたんだった。
そして、別の日、トルコ人は、ベランダに
やってきた。そらとぶじゅうたんにのって。
今度は、宅地建物取引主任の免許を取った
のだという。「わたしは、あなたに最
優良物件を売りにきたのです。」
次々と、不思議なものを売りに来る
トルコ人。
マンションの男は、空飛ぶじゅうたんに
命令をするためにトルコ語を勉強し始めていた。
「ギュレギュレ」はトルコ語でさようなら。
見送る側が使う言葉だそうです。
いくつかのトルコ語が繰り返して出て来る
奇妙なお話。