涙と笑いのHIV奮闘記II

自分とは無関係と思っていた病気の闘病を続けるオヤジの日記。
歳のせいか治療の副作用のせいか忘れ物がひどいんです。

夏休み文楽特別公演第2部、第3部を観にでかけてきました。

2016-07-28 22:00:00 | 古典芸能

毎年恒例の夏休み文楽特別公演。
仕事が午前中で終わりなので、午後から国立文楽劇場まで。

文楽劇場の入り口の両脇にある柱に、今回の演目の宣伝。

向かって左に第3部の「金壺親父恋達引」の金仲屋金左衛門、
右には第一部の「新編西遊記 GO WEST! 玉うさぎの涙」の孫悟空と猪八戒。 

今回はちらしが4種類あります。
向かって左がちらし、右が劇場内の絵看板。 

八月公演のちらしは第二部の「伊勢音頭恋寝刃」の福岡貢と中居万野。

 

第一部のちらし。

 

第二部の「薫樹累物語」の絹川谷蔵 後に 百姓与右衛門と娘 累。

 

第三部の「金壺親父恋達引」の金仲屋金左衛門。

 

劇場2階の文楽スタンプ。

 

2階の売店で買ったプログラム。

二階へ上がる階段の上にある吊広告。

公演が終わったのが午後8時。

帰りになんばウォークで天丼を食べて帰宅です。

簡単なあらすじと感想など。

薫樹累物語

 力士の絹川谷蔵は、傾城・高尾に溺れて政治を省みない主君を思うあまり、高尾を殺してお尋ね者になってしまいます。
たまたま高尾の兄・三婦の豆腐屋に逃れた谷蔵は、正体を知られて斬りかかられますが、忠心を認められ、
お家安泰を見届けるまで命を長らえることになります。
高尾の妹・累は谷蔵との祝言を兄に許されるものの、高尾の怨念によってその美貌は変わり果ててしまいます。
 故郷の埴生村に戻った谷蔵は与右衛門と名を変えていますが、主君の許嫁歌潟姫を助けるために百両の金が必要に。
与右衛門の計らいで容貌の変化を知らない累は、女郎屋に身売りを持ち掛けるものの、
己のありさまを知って身投げを決意。川へと向かう累を与右衛門が追う。
 そんな醜い姿となってしまった累に変わらぬ愛情を抱く与右衛門なのですが、歌潟姫を与右衛門の新しい思い人と誤解する累。
嫉妬に狂った累が歌潟姫に鎌で切りかかるために累を手に掛けることに。

 初めてみた演目です。

 累といえば、与右衛門に殺され、その怨霊が与右衛門を悩ませるという伊達騒動狂言の一つの物語なのですが、
(伊達騒動と言えば、「伽羅先代萩」が有名ですね。)
この作品では怨霊ではない累、そして悪人ではなく忠義一途な与右衛門として描かれています。

 最後の「土橋の段」の累の頭(かしら)は「ガブ」というかしらが使われています。


伊勢音頭恋寝刃

これは歌舞伎でも文楽でも何度も観たことのある演目です。

印象に残っているのは平成四年、まだ建て替え前の歌舞伎座での四代目中村梅玉・九代目中村福助襲名披露公演。
中村歌右衛門が中居万野、中村吉右衛門の喜助、坂田藤十郎の万次郎、尾上梅幸のお紺、中村富十郎のお鹿という豪華な顔合わせ。
歌右衛門の万野が凄く印象的でした。 

伊勢神宮に使える御師の福岡貢は、以前は阿波国の侍でした。
主筋にあたる今田家から盗まれた銘刀「青江下坂」を取り戻そうとしています。
青江下坂は手に入ったものの、その鑑定書である「折紙」の行方を探索しています。
今田家失脚をたくらむ徳島岩次が折紙をもっているとにらんだ貢は、遊郭の油屋に努める恋仲のお紺に岩次を探るように頼んでいます。
折紙を身に着けているために、お紺は岩次になびいたふりををして折紙を取り返そうとします。
岩次に味方する中居万野の勧めにのって、お紺は岩次と婚礼をし、その場で貢に別れを持ち出し、
貢は逆上して、預けてあった刀を手にして店を飛び出します。 

実はその刀は岩次の刀を間違って渡されたことに気付いて戻ってくるのですが、
その前に岩次は貢の持っていた青江下坂と自分の刀をすり替えていたのです。
それを盗み見していた料理人喜助(実は貢の家来筋)が、わざと刀を渡したのです。

妖刀青江下坂を手にした貢は万野を斬り殺し、次々と遊郭の人々を手に掛けてしまいます。

お紺の愛想尽かし、万野の策略でお鹿が貢に金を貸しているという偽の証文の下り、十人斬りの場など、見所が沢山です。

 

金壺親父恋達引

フランスの大劇作家モリエールの「守銭奴」を、井上ひさしが文楽に翻訳した作品です。
過去にはNHKのラジオ放送で、またスタジオ録画で テレビ放送されたことはあるようですが、
舞台にかかるのは初めてのようです。

呉服屋「金仲屋」の主人金左衛門はひどいしまりやで、ためたお金を壺に入れて庭に埋め、
こっそり取り出しては眺めるのが日課。
今日は町内で評判の母と二人で住んでいる評判の美しい娘お舟が三十両の持参金付きで嫁にくることになっています。
しかしそのお舟は金左衛門の息子万七と相思相愛の仲です。
そして金左衛門は娘のお高を呉服問屋として勢いを伸ばしている京家徳右衛門の後添にしようと計画をしていますが、
そのお高は番頭の行平と恋仲。
お互い、思い人と一緒になろうとしたドタバタ劇です。
最後で、京家徳右衛門は、昔長崎屋徳兵衛であったのですが、
行平は徳兵衛の死んだと思っていた息子、
お舟とその母親も徳兵衛の死んだと思っていた娘と妻であることが分かり、
お舟と万七、お高と行平はめでたく結ばれます。
残された金左衛門はというと、金壺を抱きしめ、恋の相手は金壺に限ると言うのだった。

字幕が出ないので、三味線の音に義太夫が聞き取れない部分は所々あるのですが、
難解な言い回しは無いし、筋もわかりやすいので、たった一時間しかないこの作品は十分に楽しめます。

お高が「いまごろは行平さん、どこにどうしてござろうぞ。」と言うと、
行平が「いまごろはこの私、ここにこうしてハイございます」

これって次の公演「錦秋文楽公演」の第2部の演目「「艶容女舞衣」の酒屋の段でのお園の口説きのパロディーですね。

時間があったら、「伊勢音頭」と「金壺親父」もう一度観たいなぁ。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿