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めいすいの写真日記

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高田茜主演 バレエ「白鳥の湖」・・・ 英国ロイヤル・バレエ団

2021-05-25 | オペラ・バレエ

                                                                      NHK BS プレミアム 2021/5/17

 パレエのチャイコフスキー作曲「白鳥の湖」(全4幕)が、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル高田茜に
よりオデット姫とオディールを踊ります。同バレエ団では、日本人では吉田都(現 国立歌劇場舞踊芸術監督)
以来の傑出したバレリーナで、美貌に優れ、長い手足を優雅に用いて踊り、役作りにも秀でた彼女を現地の方々
は大絶賛しました。

 【音楽】    ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
 【原振付】   マリウス・プティバ レフ・イワノフ
 【追加振付】   フレデリック・アシュトン
 【改訂振付】   リアム・スカーレット
 【舞台美術】  ション・マクファーレン
 【照明】   デーヴィッド・フィン 
 【管弦楽】   英国ロイヤル・オベラ・ハウス管弦楽団
 【指揮】    コーエン・ケッセルス
  
 【出演】
  オデット:高田茜 白鳥に姿を変えられた姫 呪いを解くのは真実の愛だけ 
  オディール:(高田茜 一人二役) 黒鳥 ロットバルトの娘オディールのふりで
                   王子を誘惑  
   ジークフリート: フェデリコ・ボネッリ
   ロットバルト:女王の側近 妖術師 オデットを白鳥に変えてしまう
   トーマス・ホワイトヘッド
   ベンノ   :ジェームス・ヘイ  王子の友人 いつも王子を気にかける           

  【プロローグ】
   湖の畔で一人 遊ぶオデット。妖術師ロットバルトがやって来てオデットの姿を白鳥に変えてしまう。
呪いを解くただ一つの条件は誰も愛したことのない男性に不滅の愛を誓って貰うこと。オデットが,
ロットバルトによって人間から白鳥に変えられるのは、日本人配役の前田紗。
【第1幕】宮廷の庭
 今日はジークフリート王子の誕生日。ベンノや友人達から祝いを受ける。
    母である女王は 王子に花嫁を見つけるよう迫る。その横に人間に化け側近として振る舞う
ロットバルトの姿がある。

  中央は母、その右、明日のロットバルトからわたされた舞踏会のプログラムを持つジークフリート、
さらにその左はロットバルト

【第2幕】湖のほとり
  「白鳥の湖」の代名詞といわれるほど有名な旋律の「情景」は、第3幕では、冒頭のシーンと第3幕の最終で演奏される。
    王子はジークフリートと出会い愛し合うようになる。

 オデットとジークフリートのグランド・パ・ド・ドゥ
 ハープとヴァイオリンの甘美で艶麗な旋律によって踊られる。オデットの踊りではこの場面が白眉といえる。
 ロイヤルバレエ団の男子プリンシパルでは随一のサポート役といわれるジークフリート役のボネッリも見事な
サポートで高田茜を引き立てている。彼女もこの踊りに充足感を味わったことだろう。

有名な「四羽の白鳥の踊り」。いつも見ていて楽しい気分にさせられる。

第3幕【宮殿の広間】

  各国の姫達を招いた舞踏会が始まる。

 ファンファーレが鳴り、各国の姫たち4人の踊りがあり、女王は4人の姫の中から花嫁を決めろるように迫るが
オデットとに心を奪われた王子はそれを拒む。さらにファンファーレが鳴りオデットそっくりのロットバルトの
娘・オディールが登場する。

 その後、「ハンガリーの踊り」「スペインの踊り」「ナポリの踊り」「マズルカ」などが行われる。
これは異国情緒が溢れていて、おおいに楽しめる

  続いてオディールの踊りが行われるが、そのオディールの踊りは見事。長い手足がのびのびとし、表現が繊細で
しなやかで引き込まれてしまう。誘惑する女性としては気持ちがリラックスするのだろうか?
表情も艶やかである。まさに絶賛に値する名演技。(オデットとの一人二役だが、まるで別人のよう)

そして、黒鳥オディールの最大の見せ場、32回転 グラン・フェッテ・アン・トゥールナン。
ウルトラC級の技ですが、高田茜の軸は保たれ、らくらくとこの難技を見せてくれた。

 ジークフリート王子はロットバルトの娘・黒鳥オデットを花嫁とすべく申し込みをするのだが、ロットバルト
によって阻まれ、宮殿内は騒然となる。奥には王子に裏切られたオテットの姿が一瞬、現れ「情景」の旋律が流れて消えます。

【第4幕】湖のほとり
   王子の裏切りを知ったオデットは仲間の白鳥に宮殿での出来事を涙ながらに訴える。許しを請うため王子がやっ来る
が,オデットの出した答えは・・・

王子は許しを請うためにオデットのもとにやって来るが、受け入れられない。後にはロットバルト。
また、4幕では「情景」の旋律が、ロットバルトが現れオデットが身を投げるまでを劇的に盛り上げる。

 オデットは湖に身を投げ入れてしまう。王子はロットバルトを倒すこともできず、湖から助けだすことは
できなかった。身を投げた岩にはオデットの亡霊が立つ。

「白鳥の湖」の結末は、白鳥たちに悲劇的な結末となるものと、ロットバルトを倒し、めでたしめでたしとなるもの
とがあるが、今回は、前者ということになる。

 【感想】

 良く訓練され、丁寧に作られたバレエでした。英国ロイヤルバレエの舞台はロシアのボリショイや
マイリンスキーなどと比べるとやや暗めで地味ですが。今回はそれがかえって白いチュチュが見事に映えたと思います。
  今回の演出は「日本人プリンシパルの高田茜が、長い手足を優雅に用いて踊る姿が『輝き』『きらめき』に
満ちていて、彼女が手足を動かすたびに,金の粉がきらきら振りまかれて見える」と書いていた人が
いた通りでした。もともと音楽は素晴らしいので何度でも見たくなる魅力的なバレエでした。

 2021年6月6日(木)にNHKの4k、8K放送で再放送とのことですが期待に応えてくれる放送
となるでしょう。

                                           (敬称略)

(了)


シンデレラ・・・マシュ-・ボーン演出・振り付け

2021-05-12 | オペラ・バレエ

                                                                                                                            WOWOW 2021/5/9

 第二次世界大戦下(1940年)のロンドンを舞台に空軍のパイロットとシンデレラが出会うというスリリングかつ刺激的なラブストーリーが繰り広げられる。イギリスのコンテンポラリー・ダンス演出・振付家マシューボーンの代表作。バレエの古典作品を斬新な解釈により新しい世界観で創り上げられた。

【演出・振付】マシュー・ボーン
【舞台・衣装デザイン】レズ・ブラザーストン
【照明】ニール・オースティン
【サウンドデザイナー】ポール・グルースイス
【音楽】セルゲイ・プロコフィエフ
【出演】
 シンデレラ:アシュリー・ショー
 パイロット:アンドリュー・モナガン
 継母:ミケラ・メアッツァ
 天使:リアム・ムーア
 父親:アラン・ヴィンセント

普段着のシンデレラは眼鏡をかけている。右はパーティー姿のシンデレラ。

   床をモップ掛けするシンデレラ、グリム童話の「灰かぶりの女」の世界。
 車椅子に乗っているのは父親。バレエの世界なので父親はほとんど活躍出来ない。

家族達はパーティーの招待状を手にしているが、シンデレラの手にはない。

収納庫からガラスの靴を取り出すシンデレラ

 天使に連れられて招待状を持ち、パーティ会場に向かうシンデレラ

 しかしパーティーの会場はドイツ・ナチス軍により空爆される。

爆撃で被害を受けた「カフェ・デ・パリス」。被害の残る中、パーティーか始まる。

シンデレラとパイロットは一目ぼれして結ばれる。

しかし二人の愛の巣に天使から12時の制限が告げられる。

シンデレラは一足だけ残ったガラスの靴を履いて、病院内で別れを嘆く。

そこにパイロットがもう一方のガラスの靴を持って病院に現れる。

パイロットとシンデレラは新婚旅行に出発する。それを車椅子の父親が見送る。

【感想】
 舞台は、しっかりと出来ていたと思う。
 しかし、プロコフィエフの音楽は「ロミオとジュリエット」とは異なり、演奏会で単独で取り上げられることは、ほとんどないので、親しみを持つことが難しい。また、バレエそのものも魅力的なところが少なかった。バレエには言葉が一切ないので,ストーリーを理解するには努力が必要と思う。ネットで分かりやすいストーリーを探すことができなかったのは残念だった。

(了)


METオペラ ヘンデル作曲「アグリッピーナ」

2021-05-05 | オペラ・バレエ

                                                                                                                                             wowow 2021/5/1

 オペラ「アグリッピーナ」は、ヘンデルが1709年に作曲したバロックオペラ。紀元1世紀のローマ帝国の実在した皇妃。
溺愛する息子を帝位に就けるために手段を選ばず、陰謀と策略を張り巡らせた人物。
彼女と周囲の人々とのドロドロした人間関係を、ディヴィット・マクビガーが物語を霊廟で復活させ現代に
置き換えた。ダイナミックかつ華麗に、ブラックユーモアたっぷりに描いている。

【作曲】 ヘンデル
【演奏】 メトロポリタン歌劇場管弦楽団 指揮 ハリー・ビケット
【演出】  デイヴィッド・マクヴィカー

【出演】
    ジョイス・ディドナート・・・アグリッピーナ(メゾソプラノ)
    ケイト・リンジー・・・ ネローネ(メゾソプラノ)
   イェスティン・デイヴィーズ ・・・オットーネ(カウンターテナー)
    ブレンダ・レイ・・・ポッペア(コロラトゥーラ・ソプラノ)
    ケイト・リンジー・・・ ネローネ(メゾソプラノ)
    マシュー・ローズ・・・クラウディオ(バス)
【上演】2021年2月21日 イタリア語  3時間56分

【第1幕】

 皇帝クラウディオが海難事故に遭い死亡したとの一報が皇妃アグリッピーナに入る。その手紙を持ちネローネに語りかける。

 早速、アグリッピーナは後継者を決めるのは軍と民衆と知りながら、策略を巡らせる。

 まず家臣のパットンテを呼び、ネローネが皇帝の地位に就けるようにと色仕掛けの指示をする。

 続いて家臣のなるチーゾにも同様の指示を出す。

 群衆の前で「ネローネ陛下万歳」と唱えることは出来たのだが ・・・

 皇帝クラウディオは武将オットーネに命を救われて帰還する。クラウディオはオットーネに帝位を約束していた。
  オットーネは帝位より美女ポッペアが欲しいとアグリッピーナに打ち明ける。しかし、クラウディオもまたポッペアに
惹かれていた。
 アグリッピーナは一計を案じ、ポッペアには、「オットーネは帝位のためにあなたを捨てた。皇帝には嫉妬心を起こすよう
「オットーネには”会うな”、愛を求めてきたら、オットーネの追放を願い、泣いて、ため息をついて頼むように」と告げる。

  ポッペアは、オットーネからの引き出しに入っていた、たくさんの愛の手紙を破り、捨ててしまう。「侮辱されたら愛は怒りに
変わるのよ」と歌う

 一方、オットーネは企みをしらず、皇帝の座よりもポッペアを熱望すると歌う。

   皇帝クラウディオの凱旋祝賀会が開かれるが

  アグリッピーナの企みは成功し、その式典でオットーネは皇帝クラウディオから
「お前は裏切り者だ」、「お前の罪は死に値する」「だか、私の命を救ったから命だけは助けてやる」と告げられる。

第1幕の幕切れ
 皇帝から「裏切り者」と告げられ、帝国のすべての人から孤立してしまった理由が分からないオットーネは
  「なんと驚くぺき雷(いかづち)か」
  「私の苦しみに同情してください」「皇帝の座を失ってもかまわない。」と切々と歌う。

【第2幕】

 ポッペアとオットーネはナイトクラブで会い、お互いに「企みがアグリッピーナによるもの」と知る。

 ポッペアはアグリッピーナに復讐を誓う。

 そこで、ネローネを騙して、ポッペアを自宅に引き込むことにする。  

 この場面はケイト・リンジーはジムへ通い、体力を付けたという。

ポッペアとオットーネへの騙しが分かってしまいそうなのでアグリッピーナは「様々な思いよ」
「わたしの息子が君臨するようにして下さい」「天よわたしの計画をささえてください」
  「オットーネは勇ましく、ボッペアには勇気がある。私の策略がバレたら、何か仕掛けてくるはず、陰謀を企てる今がその時よ」
「陰謀よ私を見捨てないで」「お前は私を苦しませる」と歌う。ヘンデル流の”狂乱の見せ場”である。

 皇帝クラウディオの考えをなんとかつなぎ止めようとするアグリッピーナ。
 何故かゴルフの場面が・・・物語は霊廟から出て来た人達の現代での行動ということらしい。

 ネローネがポッペアの家にいたことが発端となり、オットーネとポッペアは一緒になることが出来た。

 ネローネは 皇帝クラウディオの怒りを買うが、アグリッピーナの言い回しの巧みさにより、なんとか皇位に着くことが出来た。
 しかし、権力を意味する高くて長い階段を腰をふりふりセクシイな動作を交えながら登る姿は、真面目に権力を捕らえているとは言えない。
ここに演出者のブラック・ユーモアを見て取れるだろう。演出者がネローネが暴君ネロの前身だということを良く知った上でのことでは
あるが・・・。

 権力をさえ我が物にすれば良いという考えが透けて見える悪役アグリッピーナの世界を示している。

【第3幕】

再び出演者が霊廟に戻り、物語は終わりを告げる。

 【感想】 「このオペラの作曲の当時、反逆児ヘンデルは ”性を利用した政治”という衝撃的な話を18世紀の観客に華々しく提供することにあった」
そして、今回はそれを現代に蘇らせて「歴史は繰り返す」ということを示す目的があった。
 と理解してから、このオペラを見ることが必要かなと思う。 

  METの常連となった ”ベルカントの女王”J.デイドナートはタイトルロールの役柄を思う存分の歌唱力で演じてくれている。

  ネローネ役のケイト・リンジーはズボン役を演じることが多いというが、今回では、まさに男役で女性とは思えないほどである。
 目つき動作が不良少年の役割を実に上手く演じている。また、”美男子”でもある。

 オットーネは、カウンターテナーのイェスティン・デイヴィーズが「天上の声」をしっかりと聞かせてくれた。
 MET初出演のブレンダ・レイ演じるポッペアも“モテモテ女性”にふさわしい魅力的な女性だった。歌手陣は良く揃っていたと思う。

【ジョイス・デイドナートの言葉】
 タイトルロールのJ.デイドナートが「楽しんで演じているようね?」との問いに以下のように答えているのが参考になる。
 「悪女になれることよ。ドン・ジョヴァンニなど悪役を歌うのが夢よ。善し悪しは別にして彼女は大胆不敵。無情で残忍で自分の人生に
必要なことをする。思いっきり悪者になれて最高。これは喜劇だから笑いの間は演出家がたよりよ。

 ビケット氏は”歌唱の絨毯”を用意してくれてしっかり支えてくれる。ヘンデルは大役を含めてずっと歌ってきた。
  今回、この役で私の違った面を見せられるのは嬉しいわ。
 2幕では見せ場のアリアを歌うけどヘンデル流の”狂乱の場”であり、主役の見せどころよ」

【史実】
 アグリッピーナは皇帝クラウディオの4人目夫人
 ネローネはアグリッピーナの連れ子で、暴君ネロの前身、後にネロは母親を殺す。
  このオペラ以降の史実を考えるとさらに悲惨なことになっていくと思う。

(了)


プッチーニ作曲「ラ・ボエーム」

2021-04-18 | オペラ・バレエ

                                       wowow 2021/4/16

 「ラ・ボエーム」はプッチーニの一番の人気作で、METで最多上演の作品でもあります。パリの放浪芸術家(ボヘミアン)を描く物語で、病に冒されたお針子のミミと売れない詩人のロドルフォが恋に落ちます。舞台は19世紀半ばのカルチェ・ラタン。若者が芸術と愛に酔いしれていた場所です。第1幕は芸術家達の住む屋根裏部屋で、第2幕はクリスマス・イブのパリの夜、街は二層構造になっていて豪華絢爛。観客をバリの虜にさせるべくF・ゼフィレッリの演出はMETの舞台機構をフル回転させます。1981年の初演から人気を博す理由も一目瞭然です。脇を固めるのはムゼッタ役でコケットなSフィリップスやマルチェッロ役のM・カヴアレッティに100人以上のキャスト 彼らが今も色あせない青春の悲恋物語へと誘います。

作曲:ジャコモ・ブッチーに 
演奏:メトロポリタン歌劇場管弦楽団 指揮 ステファーノ・ランザーニ
演出:フランコ・ゼフィレッリ
出演:
  クリスティーヌ・オボライス ・・・  ミミ お針子
  ヴィットーリオ・グリゴーロ ・・・  ロドルフォ 
  スザンナ・フィリップス        ・・・  ムゼッタ マルチェロの恋人
     マッシモ・カヴァレッティ  ・・・  マルチェッロ 画家
     パトリック・カルフィッツィ ・・・  ショナール    音楽家
  オレン・グラドゥス     ・・・  コルリーネ  哲学者

時間:3時間7分(休憩2回含む)
MET上演日:2008年3月29日
言語:イタリア語

【あらすじ】
  第1幕

 クリスマス・イブ夜、ミミはローソクの火をもらいにロドルフォのいる部屋を訪ねてくる。
 ロドルフォは「冷たい手」を歌う。

  ミミは「私の名はミミ」を歌う。

第2幕

 クリスマス・イブでにぎわうパリの街(カルチェラタン)に出かけたミミとロドルフォ。芸術家の仲間達も合流する。

 2層になった街、1層はカフェ・モミュス。前の通りには出店が並ぶ。

 子供達に人気のパルビニョールの屋台など賑わいを見せる。他にも足長おじさん(竹馬使用)が登場する。

 そこに、マルチェロのかっての恋人ムゼッタがパトロンと共にやって来てアリア「私が街を歩くと」を歌う。

 最後は2階から降りてくるフランス軍楽隊の行進でお祭り気分が絶頂に達する。

第3幕

 2ヶ月後、雪の降りしきるムゼッタが経営する居酒屋の前、「ミミは肺病を患い症状が悪化しているが、貧しさのために助けられない」とロドルフォはマルチェッロに話す。二人は愛を確認しながら 別れることになる。手前左マルチェッロ、左ロドルフォ。奥で話を聞くミミ。その後、マルチェッロとムゼッタの喧嘩が始まる。

第4幕
 それから数ヶ月、男四人はまた元の屋根裏部屋に過ごしている。
 ロドルフォとマルチェッロは昔の恋人が忘れられず,ふざけて気を紛らわしている。

 そこに、ムゼッタに連れられてミミが運び込まれてくる。なんとか助けようとするが間に合わず、ミミは愛するロドルフォのそばで息絶える。

【感想
 プッチーニの美しいアリアと音楽によってパリの学生街に花開く恋と友情。METで半世紀近く、同じプロダクションで演じられる舞台は、クリスマス・イブの華やかさで花開き、冬の寒さに凍り付ついて愛と悲しみが広がる。
 ミミ役の代役となったクリスティーヌ・オボライスは前日に蝶々夫人を歌い、当日にミミ役を引き受けたというが、上手くこなせるかという不安を払拭するかのように素晴らしい歌唱を見せた。ロドルフォ役のヴィットーリオ・グリコーロも出来るだけのサポートを心がけたと言うが、良いチームワークで公演をやり終えたと思う。 
 ムゼッタ役のスザンナ・フィリップスはMETでの初演はムゼッタだったと言うが魅力たっぷりな演技は第2幕の花形というのにふさわしかった。 
  やはり、フランコ・ゼフィレッリの演出は第2幕のパリのクリスマスイブの雰囲気がまさに絢爛豪華、第三幕の雪降るシーンは悲しみ・切なさを倍加させるに効果的な設定であった。
 解説者のJ.ディドナードが第4幕で涙がで出来そうなのでティシュを持ってきているとも・・・。そういうオペラなのかも知れない。

(了)


マスネ作曲「サンドリヨン」~シンデレラ~

2021-03-22 | オペラ・バレエ

                                   WOWOW 2021/3/18

うっとりさせる演出のシンデレラ物語、17世紀フランス人ペローによる童話をマスネがオペラ化し1899年に初演された。METでは今回のロラン・ペリーの演出が初めてである。

【演出】
 ロラン・ペリー フランスパリ出身 
【出演】
 サンドリヨン(リュセット)・・・ ジョイス・ディドナート(メゾソプラノ)
 シャルマン王子・・・ アリス・クート (メゾソプラノ)
 父 バンドルフォ・・・ ロラン・ナウリ (バス・バリトン)
 継母  ド・ラ・アルティエール夫人・・・ステファニー・プライス (メゾソプラノ)
 妖精   ・・・ キャサリーン・キム【あらすじ】

【あらすじ】

アルティエール伯爵夫人と再婚したパンドルフォの連れ子リュセットは、継母にこき使われ、台所で灰にまみれているため「灰かぶり=サンドリヨン」と呼ばれている。伯爵夫人の2人の娘が、王子シャルマンが花嫁を選ぶ舞踏会へ出かけるのを、羨ましく見送るリュセット。

 継母(アルティエール伯爵夫人)と娘二人は王室での舞踏会の準備に怠りがない。丸いドレスはフレンチティストの香り。

シンデレラ(リュセット)は家で一人、留守番しなければならないことを嘆く。

 しかし妖精が現れ、彼女を着飾らせ、ガラスの靴を履かせて舞踏会へ送り出す。

ただ、「12時の鐘が鳴る前に舞踏会から帰らなければならない」と妖精に告げられる。

 王宮では華やかな舞踏会が始まっていた。

花嫁候補の女性達が愛嬌を振りまくが王子は興味を示さない。

 舞踏会に現れた純白のドレスのリュセットを王子シャルマンはその美しさと気品に惹きつけられ

 一目で恋に落ちるが、彼女は真夜中には帰らなければならない。

 時間が12時となり、リュセットは王宮を去って行く。

 後ろ髪を引かれながら家に戻ると、そこには舞踏会から憤慨して戻ってきた継母と娘たちが…

 父親と共に、家を出ようと思い込むようになったリュセット。そこに妖精が表れシャルマン王子との出会いの場を作ってくれる。

共に姿が見えないながらも愛の二重唱を歌う。

王子は、リュセットが残したガラスの靴が合う女性を探し、国内外の多くの女性に声をかける。

王子は、リュセットの残したガラスの靴が合う女性を探し、国内外の多くの女性に声をかける。写真の女性はチキン・ドレスを着ている。

 ついにリュセットが見つかり、妖精の立ち会う中、シャルマン王子とのハッピーエンドとなる。

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【感想】

  やはり、METのメゾソプラノの新星、ジョイス・ディドナートの存在感は大きく、魅力的です。見ていても安心感があります。

    つぎに、このオペラの特筆すべき点は、ロラン・ペリーの家族が所有していた本(C・ペローの原作本で挿絵G・ドレ)に大きインスピレーションを得ているということです。極端に言えば、この本にある3色(表紙の赤と紙面の白と文字のインクの色)だけをセットに採用したとも言えます。始めから終まで本のイメージがステージに溢れました。斬新なセットで笑いと涙を誘っているといえるでしょう。舞台の文字はフランス語でシンデレラの物語が書かれているかも知れません。
 そうしたことから、舞台を見て、童話の本のイメージが乗り移ってくると感じた時に,今回のオベラの良さを感じたことになるのかも知れません。なかなか良く出来ていて計算もされていると思います。なお、ロラン・ペリーは衣装のデザインも行っていて、美しいドレスに対する特異な才能を見せています。

  このオペラ「サンドリヨン」、これまで、今ひとつ人気がなかったのはロッシーニの『チェネレントラ』があったからか・・・また、リュセットと王子が共にメゾソプラノで、テノールとソプラノの作品でないからかもと言われます。しかし、情感豊かで、喜びも笑いも軽やかさも深さもある作品なので、上演機会はこれからもあるかも知れません。


ガーシュイン作曲「ポーギーとベス」

2021-03-08 | オペラ・バレエ

                                WOWOW 2021/3/6

 史上初のオール黒人キャストによる、ガーシュイン作曲のアメリカン・オペラ「ポーギーとベス」。ガーシュウィン自身は白人だったが、黒人音楽のブルースや、宗教的なゴスペル・ソング、また物売りのフシまで研究し尽くして、このオペラに成果として採り入れた。このオペラは作曲者の黒人音楽に対する傾倒と、研究の深さが実った、不滅の傑作である。

【演奏】メトロポリタン歌劇場管弦楽団 指揮  デイヴィッド・ロバートソン 
【演出】ジェイムズ・ロビンソン
【振り付け】カミール・A・ブラウン
【出演】
 ボーギー・・・エリック・オーウェンズ
 ベス・・・エンジェル・ブルー
 クララ・・・ゴルダ・シュルツ                               
 セリナ・・・ラトニア・ムーア 
 マリア・・・デニース・グレイヴス
 クラウン・・・アルフレッド・ウォーカー
 スポーティン・ライフ・・・フレデリック・バレンタイン
【時と場所】1920年頃のアメリカ南部チャールストン、海岸沿いにある黒人たちの集落キャットフィシュ・ロー

「夏は暮らしも楽だよ、魚は飛び跳ね、綿も育っている。父さんは金持ち、母さんは美人、だから坊や、泣くのはおよしよ。ある朝お前は立ち上がって歌うだろう」 ・・・
 クララは赤ん坊をあやしながら有名な「サマータイム」を歌う。

 男達はサイコロ賭博に熱中している。そこにクラウンがベスを連れて現れる。

 クラウンは賭博に参加するが、負け始めるとトラブルを起こし仲間のロビンズを殺してしまう。ベスはクラウンに逃亡するようにいう。

 前からベスを想っていた足の不自由なポーギーにかくまわれ、やがて二人は恋仲になる。
そして、二重唱「ベス、お前は俺の女だ」を歌う。

 ベスは「俺には、何もない、何にもなくても満足さ」「おんなもいるし、歌もあるし、天国が守ってくれる」と歌う。

 キャットフィシュ・ローの人々のキティワー島へのキャンプ。ベスはポーギーの薦めで参加する。

「そうとは限らない」・・・「聖書に書いてあることがそのとお売りとは限らない」「羊飼いのダビデは少年だったが なんと!巨人のゴリアテと闘ってやっつけた」・・・・とスポーティン・ライフが歌う。

 ベスはこのキティワー島に隠れていたクラウンに出会ってしまう。2日後、島から戻ったベスは高熱を出し寝込んでしまった。

 ポーギーは献身的に彼女を看病する。1週間後、回復したベスはクラウンとのことを告白し、ポーギーへの愛を誓う。ポーギーはベスを許す。

 嵐の夜、クラウンがキティワー島から戻ってくる。
 漁師ジェイクの船が転覆し、夫を探しに行ったクララが行方不明となる。

 クラウンはポーギーの部屋に忍び込み、二人は命を奪い合うがポーギーがクラウンを殺す。しかし、ポーギーが警察に取り調べを受け一週間拘束されているうちに、ベスが゜麻薬密売人スポーティン・ライフの「幸せの粉(麻薬)」手にするようになり、ニューヨークに連れて行かれてしまう。

 「周りの人々に、ベスを探しに行くのは難しい」といわれながらもポーニーはニューヨークに向かう。

【感想】
 ガーシュインの音楽をより効果的にするために、このオペラではこれまで少なかったという「踊り」を積極的に取り入れている。ダンサーを登場させたのはもちろんのこと、歌手にも振り付けしている。その激しいダンスは黒人文化のルーツを見るようだ。
 また、カモメの鳴き声など海の雰囲気や嵐(ハリケーン)の空が荒れている様子を薄い幕を利用することによって表現し、イチゴ売り、ワタリガニ売りのかけ声、魚の解体など生々しく伝わってくる素晴らしい演出だ。

 また、アフリカ系歌手などMETの若い黒人歌手が合唱を含めて活躍し30年ぶりの新演出を支えた。


ヴェルディ作曲「ファルスタッフ」

2021-02-25 | オペラ・バレエ

 シェークスピアの喜劇を題材にしたヴェルディ80歳の晩年のオペラ「ファルスタッフ」。最後の傑作、喜歌劇。
  貧乏だが食いしん坊で女に目がない 太っちょの騎士ファルスタッフが 金と女の一石二鳥作戦を思いついた。
  しかし 作戦はあっさり見破られ、そこに相思相愛の恋人とフランス人医師との三角関係がからむ。 

【時と場所】 
ヘンリー4世治下(1399-1413)、ウィンザー
【登場人物】
サー・ジョン・ファルスタッフ(Br):老騎士でも気は若く、太った無頼漢
アリーチェ(S):フォードの妻
フォード(Br):お金持ちの市民
ナンネッタ(S):フォードの娘
フェントン(T):青年紳士、ナンネッタの恋人
メグ(Ms):アリーチェの友達
ドクター・カイウス(T):テノール
バルドルフォ(T):(ファルスタッフの従者) 
ピストーラ(Bs):(ファルスタッフの従者) 
ほか

 【第1幕】

「名誉など」とファルスタッフは厳正哲学を披露する

 居酒屋ガーター亭で酒を飲んでいた老騎士ファルスタッフは勘定を払うお金に困る。そこで、裕福な二人の夫人アリーチェとメグに恋文を送り、どちらかをうまく誘ってお金に困らない生活をしようと企てる。

 アリーチェ(左から2人目」)、メグ(同4人目)

 しかし、アリーチェとメグは、恋文を手にして喜んだのも束の間、二人が出会ったときに恋文を読み比べると、全く同じ文章であるのがわかり、二人はファルスタッフを懲らしめようと意気投合する。
 またアリーチェの夫フォードは、自分の妻にファルスタッフの恋文が届けられたことをひそかに知って、憤慨していた。

【第2幕】
アリーチェは、夫の留守中の家にファルスタッフを呼び寄せる。

ファルスタッフはアリーチェを口説く。

夫フォードが戻ってきたのを知り ファルスタッフは洗濯かごに入れられる。

そしてそこにメグが現る。ここまでは作戦どおりで、二人でいざファルスタッフを懲らしめようとしたところ、メグはアリーチェに「本当にアリーチェの夫フォードが帰ってきた」と伝える。フォードは妻とファルスタッフが逢引しているらしいと聞いて、怒って帰ってきたのである。
 驚いたのはファルスタッフ。彼は、アリーチェに促されるまま洗濯かごの中に隠れる。しかしそのアリーチェ、今度は「その洗濯かごを窓から川に放り投げて」と召使いに命じる。川に落ちてずぶぬれになったファルスタッフを見て、ご婦人たちも満足、フォードも満足する。

【第3幕】
 ここで実はもう一つ問題があった。フォードは自分の娘ナンネッタを、医者のカイウスと強引に結婚させようとしていた。ナンネッタにはフェントンという恋人がいた。
さて、アリーチェとメグは、もう一度、ファルスタッフを懲らしめるため、アリーチェが真夜中のウィンザー公園で逢引しようと彼に持ちかける。

懲りないファルスタッフが喜んで真夜中の公園に行くと、妖精に仮装した村人に囲まれまる。
妖精を見ると命がないという迷信を信じていた彼はその場に身を伏したのだが、妖精たちにさんざん突っつかれた。

ナンネッタとフェントンはついに結婚を認められる

 このときどさくさに紛れてフォードは、娘のナンネッタと医師カイウスを結婚させようと村人に認知させようと画策していたのだが、それを察知したフォードの妻アリーチェの機転で、逆にナンネッタは恋人のフェントンと結婚することを皆に示すことができた。フォードも仕方なくこの結婚を承諾した。

小突かれてさんざんな目にあったファルスタッフも事の次第をすべて理解し、「この世はすべて冗談、最後に笑う者こそが本当に笑う者なのだ」と皆といっしょに歌って、そして笑うのだつた。

【感想】
 (1)タイトルロールであるファルスタッフはアンブロージュ・マエストロでほぼ決まりと言っていいくらい世界の歌劇場で演技していて、その上演数は202回だそうな。太っちょでバリトンとして声が良く。演技が上手ということで当代随一のはまり役になっているようだ。
 そして、ヴェルデイは晩年になって人生を達観したが、そのキャラクターがヴェルディ自身、ファルスタッフで、まさに最重要な役柄といえるわけである。
 メトロポリタンオペラのアディーナ役をアンナ・ネトレプコが演じた「愛の妙薬」での薬売りのドゥルカマーラ役をした時も彼の雰囲気はとても素晴らしかった。
 (2)「ファルスタッフ」は晩年の作品とはいえ、ヴェルディは精密なアンサンブルを主体として作曲しており、フィナーレの合唱はフーガ (17世紀バロック音楽で重要視された楽曲形式複数の旋律を積み重ね繰り返す)アンサンブルとされ、イタリアオベラに大きな影響を与え、その遺産となっている。
 (3)このオペラは2月15日にNHKBSのプレミアム・シアターで放映された「ハンブルグ国立歌劇場公演」(上演日2020年1月19日)を取り上げるつもりでいた。
  しかし、ダークで暴力的な作品解釈で知られるカリスト・ビエイトの演出が、私には肌に合わなかった。
 このため、2013-14シーズンのメトロポリタンオペラ版が録画してあったので、才気あふれるロバート・カーセンの演出の舞台を取り上げることにした。こちらの方が明るく、清潔、ロマンに溢れていて見やすい。指揮はジェームス・レヴァイン MET上演日:2013年12月14日
 共に、ファルスタッフを歌うのはアンブロージュ・マエストリである。


NHKニューイヤーオペラコンサート2021

2021-01-04 | オペラ・バレエ

  今年も、恒例の「第64回ニューイヤーオペラコンサート」が1月3日に行われました。
 (出場者名・・・敬称略)

 コンサートのテーマは「希望を歌う」
 司会者は森田洋平アナウンサー、秋本才加。
 管弦楽は、広上淳一指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
 広上淳一は、年末にNHKのクラシック番組によく登場していたので親しみが持てます。

 放映されたオペラの曲目のうちから13曲を掲載しました。

■ オープニング

 オープニングはベートーヴェン作曲 交響曲第9番第4楽章から「歓喜の歌」が賑やかに歌われました。昨年の2020年12月はペートーヴェン生誕250年ということもあって盛り上がりました。

プログラム前半

■ プッチーニ作曲「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」

テノールの歌い始めはプッチー二の名曲。カラフ役の宮里尚樹が素晴らしい声で熱唱しました。
トゥーランドット姫を手に入れたと確信したカラフは「勝利は私のもの」と力を込めて歌います。

■ ベッリーニ作曲「清教徒」

 美しい旋律で知られるベッリーニ34歳の短い生涯の最後の作品。実はこのオペラ、「ノルマ」と夢遊病の女」は見ているのだが、見ていない。METで公演するのを待っています。
「ラッパの響きが聞こえ」上江隼人、妻屋秀和の二重奏は見事。   

■ ヴルディ作曲「椿姫」

ソプラノの歌い始めは、伊東晴。「ああ、そはかの人か~花から花へ」。これもヴェルディの名曲を見事に歌い上げました。さすがに素晴らしい歌唱でした。

 ■ ヴェルディ作曲「トロヴァトーレ」

「見よ 恐ろしい火よ」を歌う笛田博昭。このオペラは「椿姫」、「リゴレット」と並びヴェルディ中期の傑作。

■ ヴェルデイ「リゴレット」

「 麗しい人の名は」ジルダ 幸田浩子 円熟味を増した歌声を聞かせてくれました。

「女心の歌」より「 風の中の羽のように」 マントヴァ伯爵 望月哲也

■ ワグナー作曲 「タンホイザー」

巡礼の合唱「ふるさとよまた見る野山よ」 

■ ピアノ 反田恭平

   チャイコフスキー作曲・リスト編曲「エウゲニ-・オネーケギン」からポロネーズ
     シューマン作曲・リスト編曲「献呈」

 若きヴィルトーソといって良いピアニスト反田恭平の名演奏。貫禄も出て来ました。今、最もチケットが取りにくいピアニストの一人と言われています。

プログラム後半

■ ビゼー作曲「カルメン」

「恋は野の鳥」 カルメン役、メゾソプラノ林美智子の十八番、聴き応えがあります。

「花の歌 お前が投げたこの花は」 悲劇に向かって突き進んでしまうドンホセを村上敏明がうたいます。

■プッチーニ「マノンレスコー」

マノン・レスコーの歌「はなやかに着飾っても」
砂川涼子が雰囲気をかもし出して魅力的に歌い、とても感動しました。

 ■ グノー作曲「ロミオとジュリエット」

 ジュリエットのワルツ「私は夢に生きたい」を歌う森谷真理

■ プッチーニ「蝶々夫人」

 オペラコンサートの定番「ある晴れた日に」
 海外でも活躍する大村博美、さすがに落ち着いた美声を聞かせてくれました。

■ ジョルターノ「アンドレア・シェニア」

フランス革命の時代、実在の詩人シェニエと伯爵敷く令嬢の永遠の愛を描いたオペラ。
シェニエのアリア「ある日、青空をながめて」を歌うオペラ界の大御所。

 ■ ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

  上演に 4時間半もかかる長編のワーグナーのオペラ。彼の作品としては、唯一、明るい楽劇

 「親方たちをさげすんではならない」を歌う ザックス・妻屋秀和

(フィナーレ)

■ヨハン・シュトラウス作曲「こうもり」から「ぶどう酒の燃える流れに」

 NHKのニユーイヤーコンサートも、年々魅力が増してきています。今年もおおいに楽しむことが出来ました。
 こうしたガラ・コンサートを聴くと,これまで見たことのないオペラなど、このコンサートで聞いたアリアを
聞く時に理解が深まるという効果があります。そうしたことも長所のひとつでしょう。


ドニゼッティ「連隊の娘」

2020-11-19 | オペラ・バレエ

                                                                                                                                 WOWOW 2020/11/14

 第1次世界大戦時のスイスのチロル地方が舞台。 L.ペリーのお茶目でお洒落な演出で物語が活き活きとするラブコメディー。
 P.イェンデ演じるマリーは、フランスの連隊で、育てられたお転婆娘で、隊員は、皆パパ、J.カマレナが演じるトニオは仏軍の敵、チロルの青年でマリーに恋しています。二人の圧巻のベルカント歌唱は見どころ。途中、マリーは伯爵夫人にパリに連れて行かれ、不運な恋人達になるのかと思えますが・・・

演奏:
メトロポリタン歌劇場管弦楽団 指揮  エンリケ・マッツォーラ
演出:
ロラン・ペリー
出演:
プレティ・イェンデ・・・マリー
ハヴィエル・カマレナ・・・トニー
マウリツィオ・ムラーロ・・・軍曹シュルピス
ステファニー・ブライズ・・・ベルケンフィールド公爵夫人

上映時間:3時間
MET上演日:2019年3月2日
言語:フランス語

【あらすじ】

 第1幕

孤児のマリーはフランス軍21連隊の料理、洗濯などの小間使い。左は軍曹シュルピス

 トニーはチロルの青年で、マリー逢いたさに連隊の敷地に入り込んでスパイとして捕らえられる。しかし、マリーの命の恩人として一命を取り留める。そして、21連隊に入隊する。

  マリーは「連隊の歌」を歌う。

トニーも「友よなんて楽しい日」ハイCを連発する超難関アリアを歌う。この日は、観客のアンコールに応え、再度歌う。METライブビューイング史上初めてだという。

 マリーは、21連隊を離れ、パリの公爵夫人邸宅に連れて行かれる。

第2幕

 公爵夫人の家。掃除夫が清掃していると、急にほこりが立つシーン。お茶目な演出だ。

貴族の生活に馴染めないマリーは、伯爵夫人の礼儀作法教育で、立派なドレスを着て、歌「愛の神」のレッスンを受けるが 気乗りがせず、結局シェルビスと連隊の歌を歌うことになる。

 

21連隊の隊員が邸宅を訪れる。

マリーの結婚の誓約書の調印という時に、トニーは最後は連隊仲間と戦車を仕立てて彼女を取り戻す。

【感想】
  ドニゼッティのオペラといえば、「愛の妙薬」(人知れぬ涙)、「ランメルモールのルチア」(19世紀に流行した「狂乱オペラ」で唯一生き残った名作)などが特に有名です。そして今作品の前にイェンデがこれらの2作品をメトロポリタンオペラで歌っているのも特筆されます。
 彼は70ものオペラを作ったそうですが、この中で、「連隊の娘」はベスト5くらいに数えられる作品といったところでしょうか。メトロポリタンオペラでも、1972年 ルチアーノ・パバロッティがトニオ役で、2008年に、ナタリー・デセイがマリーをファン・ディエゴ・フローレスがトニー役でと、過去2回上演されています。
 このオベラは、なんと言ってもドニゼッティの心に染みる素晴らしい旋律、胸躍るような楽しさがバランス良く組み合わせられているということでしょう。幾つもの素晴らしいアリアがイェンデとカマレナのベルカント歌手によって見事に歌われます。特にイェンデはアドリブを入れたり、舌打ち(彼女の出身の南アフリカ、ズールー民族独自のもの)を曲に挿入するなど縦横無尽の活躍でした。
 また、ラブコメディということもあって,ストーリーは素朴なので肩を凝らせずに見ることが出来ます。
 ロラン・ペリーの演出は2008年に続き2度目ということですが、前回も絶賛されたというお洒落で上品な演出で、さらに、このオペラを盛り上げていました。


ブロードウェィ・ミュージカル「42ndストリート」

2020-11-10 | オペラ・バレエ

                                    wowow 2020/10.28
 WOWOWの「おうちでブロードウェイ」の第4回目

 1933年公開の名作ミュージカル映画『四十二番街』を舞台化したブロードウェイ作品「42ndストリート」の劇場上映版。
 当時、大恐慌に陥っていたアメリカにおいて、希望を胸に笑顔で前進していく主人公たちの姿を描いた傑作、華麗でセクシーなミュージカル。

【出演】
ジュリアン・マーシュ・・・ トム・リスター
ペギー・ソイヤー  ・・・  クレア・ハルス
ドロシー・ブロック ・・・ ボニー・ラングフォード
【配給】松竹、2時間15分

 華やかなショーの舞台裏を描いた作品で、大恐慌で心も体もボロボロになったかつての名演出家のジュリアン・マーシュと、上演中に足に怪我をした主演女優ドロシー・ブロックの代役として選ばれた若いコーラス・ガールのペギー・ソイヤーが、最初で最後のチャンスの新作ミュージカル「プリティ・ガール」に挑むというストーリー。ミュージカルシーンは、数々の大迫力の名シーンを繰り広げ、中でも、万華鏡のように群舞のダンサーを上から撮影する“バークレイ・ショット”は最大の見どころだ。50人ものダンサーたちが生き生きとした踊りを披露する映像は圧巻。「どんなに苦しくても希望がある」という前向きなメッセージを感じることができる。

オーディションに合格したダンサー達の踊り。これだけの人がタップダンスを踊る。壮観だ!!。

 ソイヤーはオーディションが終わった後に到着したため、入団は出来ない。

ソイヤー(右から2人目)はコーラスガール(女性ダンサー)のお昼のおしゃべり中に入り、タップダンスの技術を試されるが、見事な踊りに実力を認められる。
 そこにマーシュが通りかかり、予備採用が1名必要ということで、踊りを見てソイヤーは採用される。

 群舞のダンサーを上から撮影する“バークレイ・ショット”

美しい花の踊り

年配ではあるが実績のあるドロシー・ブロックは、大聖堂の前で見事な歌唱を披露する。

第1部での華麗な踊り

 しかし、ドロシーは「42番街の歌」歌唱中にソイヤーとぶつかり転倒、足首を骨折する。ソイヤーは解雇され、主役のいない公演は中止となる。
 しかし、時期が大恐慌ということもあり、団員は路頭に迷うことになるので、代役として踊りも歌も上手いソイヤーをマーシュに強く推薦する。実績も無い新人に任すことは出来無いと渋っていたマーシュもソイヤーを抜擢することを決断する。

11時10分の列車でアレンタウンに戻るつもりで駅にいたソイヤーをマーシュは口説くが受け入れない。

 しかし、そこに多くの楽団員が駆けつけ、賑やかな踊りでソイヤーに強い要請をし、ソイヤーは承諾する。

 駅からブロードウェイに戻ると、36時間後には公演が始まる
 演出のジュリアン・マーシュは新人の主役のペギー・ソイヤーに厳しい練習を課す。 
 25ページ分のセリフ、6曲の歌、10曲のダンスを覚えなければならない。
 しばし、疲れで潰れそうになるが、真剣なマーシュに導かれ、ソーヤーは頑張り抜く。

さあ、本番。ピアノの上で見事なタップダンスを鮮やかに踊るソイヤー

 今度は、ソイヤーは「42番街の歌」を歌う。


  「ニューヨークの中心地に大通りがあるの。それはニューヨークを貫き、タイムズスクエアに続く道。ウォール街が作ったキルトのような街並み。もし、あなたに時間があるなら、連れていってあげるわ。ダンスを踊る美しい足が並ぶ。そんな通りを案内してあげる。ダンスを踊る足が並ぶ。42丁目の通りを案内してあげる。聞こえてくるダンスのビート、わが愛する42丁目のメロディー、50丁目の上品なレディたちと80丁目のセクシーでふしだらな女たち、互いに隣り合う、この通り。闇の社会と上流社会が出会う場所。それが42丁目」


 「プリティガール」のフィナーレの踊りを踊る団員。

【感想】楽屋裏の人間関係を含めた様子が盛り込まれていて、「42番街」を演じる人達への理解が深まる。
 タップダンスが上手く取り入れられて、華やかなミュージカルに仕上げられている。
 踊りや衣装が魅力的であり、特に多くの場面で踊られるタップダンスは凄い。純粋にミュージカルを楽しめる作品である。

   今回で4回放映されたWOWOWの「おうちでブローでブロードウェイ」の中では、一番見応えがある作品だった。

 

 なお、WOWOW「おうちでブローでブロードウェイ」(4作全て)は、次の日時で再放送されます。

11月25日(水)

16:00・・・ミュージカル「シー・ラブズ・ミー」

18:15・・・ブロードウェイ版「ロミオとジュリエット」

20:45・・・ミュージカル「ホリデイ・イン」

11:30・・・ミュージカル「42ndストリート」


ボリショイ・バレエ「コッペリア」

2020-10-25 | オペラ・バレエ

                         NHK BS プレミアム・シアター 2020/10/12

   町の広場にたたずむ邸宅    住むのはあやしい人形作家
  窓辺には美しい娘が一人    彼女の正体は何と・・・  恋人達の運命は?
  バレエ史に残るプティパ版をセルゲイヴィハレフが見事に復元したユーモアあふれる名作

<演 目>
バレエ「コッペリア」(全3幕)
【音楽】レオ・ドリーブ
【原振付】マリウス・プティパ
     エンリコ・チェケッティ
【復元振付】セルゲイ・ヴィハレフ

<出 演>
スワニルダ・・・マルガリータ・シュライネル
フランツ・・・アルチョム・オフチャレンコ
コッペリウス・・・アレクセイ・ロパレーヴィチ 
コッベリア・・・ 機械人形  ほか
ボリショイ劇場バレエ団
<管弦楽>ボリショイ劇場管弦楽団
<指 揮>パヴェル・ソロキン

収録:2018年6月8・10日 ボリショイ劇場(モスクワ)

【第1幕】
スワニルダの婚約者フランツは人形作家のコッペリウスの娘コッペリアに夢中
スワニルダは、コッペリアの家に潜入することを決意する

冒頭、有名なコッペリアのワルツを踊るスワニルダ

フランツは窓辺のコッペリアが気になる

第1幕の群舞(コールドバレエ)

人形作家のコッペリウスは広場でハンカチに包んであった邸宅の鍵を落とす。
その鍵を拾い、スワニルダは女友達と一緒にコッペリウスの家に入ることにする。

【第2幕】
コッペリウスの家
スワニルダはコッベリアが機械人形だと気づきコッペリアのふりをする
一方、コッヘリウスはフランスの生気を奪ってコッペリアに命を与えようとするが

 スワニルダと女友達はコッペリウスの家に入り、窓辺から顔を出していたコッペリアの正体を調べる。なお、この部屋には,いろいろな人形が飾られている。

 その結果、コッペリアは人間ではなく人形だと分かる。
 暫くするとコッペリウスが部屋に戻って来たので、女友達は部屋から逃げ出す。

 一方、フランツはコッペリアに逢いたくて窓にハシゴをかけて部屋に入ってくるが、
 コッペリウスに捕まってしまう。そして、眠り薬入りのワインを飲まされ意識を失う。

コッペリウスは眠っているフランツから生気を抜き取り、コッベリアに吹き込もうとする

 その一部始終を見守っていたスワニルダは、コッペリアになりかわり、人形の動作をするなどして、コッペリウスをからかう。

 その後、スワニルダは見事な踊りを見せるようになる。

そして、騒ぎに目を覚ましたフランツを救い出す。

【第3幕】
仲直りしたフランツとスワニルダはめでたく結婚
祝いの宴が華やかに開かれる  

改めて、フランツはスワニルダにプロポーズする。

結婚の宴が華やかに広場で行われる。

スワニルダとフランツのパド・ドゥで結婚式は幕を閉じる。

【感想】
 コッペリアはロマンチックバレエの代表作。まさに古典のバレエである。
 ボリショイ・バレエはこうしたバレエの演出は他の追随を許さないといえるだろう。
舞台、踊り、衣装、小道具、音楽の全ての分野に於いて秀でていると思う。
 なんと言ってもこのバレエの素晴らしさは、第1幕冒頭でのスワニルダの踊りのワルツと第1幕と第2幕との間奏曲に演奏される音楽である。多くの人がこの音楽を聴いたことがあるだろう。パヴェル・ソロキン指揮のボリショイ劇場管弦楽団の演奏はとても素晴らしいものだった。また、ビデオ・カメラの映像も精細で見応えがあった。
 楽しいバレエをおおいに楽しむことが出来たと思う。


プーランク「カルメル会修道女の対話」

2020-10-12 | オペラ・バレエ

                                         wowow 2020/10/7

 1789年、バスティーユ襲撃で始まったフランス革命は、ロベスピエールの恐怖政治へと移り、宗教も弾圧される。そして1794年、信仰を捨てず、殉教を決意したカルメル会修道女16名がパリで断頭台の露と消えるという史実に基づいた作品。革命の恐怖から逃れようと修道女になった公爵の娘ブランシュの悲劇を中心に描かれている。

演奏:メトロポリタン歌劇場管弦楽団 指揮  ヤニック・ネゼ・セガン
演出:ジョン・デクスター
出演:
ブランシュ・ド・ラ・フォルス・・・イザベル・レナード
クロワシー夫人/修道院長・・・カリタ・マッティラ
リドワーヌ夫人/新修道院長・・・エイドリアン・ピエチョンカ
マザー・マリー/修道女長・・・カレン・カーギル
コンスタンス・・・エリン・モーリー
MET上演日:2019年5月11日

【第1幕】

1789年4月フランス革命勃発直前のパリ、公爵家の娘ブランシュは俗世間での生活に不安を覚え、父の許しを得てカルメル会の修道院に入る。

クロワーヌ夫人/修道院長は病の苦痛の中で壮絶な死を迎え、神を呪って絶命する。それをブランシュは看取る。

 修道女のコンスタンス(左)は「修道院長の死は,誰かの運命を肩代わりしたのではないか」とブランシュ(右)に話す。

              リドワーヌ夫人/新修道院長(左)、マーリー/修道女長(右)
 クロワーヌ夫人/修道院長の葬儀の後のリドワーヌ夫人/新修道院長の就任時に歌われるアヴェ・マリア

【第2幕】

 革命の不穏な空気にブランシュの兄は,妹に修道院から家に帰るよう勧めるが、ブランシュは逡巡し、結局は家に戻らない。

 革命政府は修道院に来て「司祭の追放、修道院の解散と建物の売却」を告げる。

]

 修道院長がパリに出かけ不在の中、修道女長マザー・マリーは,殉教の請願を秘密投票で行うことにする。16人全員が賛同。修道服を脱ぎ平服に着替えて修道院を出る。この時ブランシュは家に戻ってしまう。

 別の場所に身を寄せていた16人の修道女達は、刑務所に連れてこられ、「革命裁判所の通達」を受ける。
その内容は「オワーズ県コンピエーニュの”元カルメル会修道女”は革命に反抗し、秘密裏に集まり、狂信的な信仰の書簡を交わし、自由を侵害する書を保管し、犯罪的な望みを抱いた。再び民を暴君の圧政の元におき、神の名のもとに忌まわしい陰謀を企て、流れる血のなかに自由を消し去ろうと望んだ。したがって革命裁判所は申し渡す。上記の被告達全員を死刑に処する。」であった。

信仰を捨てず、殉教を決意したカルメル会修道女16名がパリで断頭台の露と消える。断頭台に一人ずつ送られる修道女たちは〈サルヴェ・レジーナ・・・幸いあれ 天の元后〉を歌う。リドワーヌ夫人/新修道院長が歌い始め、先頭に立つ。

 死刑が執行される。これまでの電子音に変え、初演当時の木製と金属とでギロチンを模したものに戻したという音は、生々しく聞こえて衝撃が大きい。

          コンスタンス(左)、ブランシュ(右)
 修道院から逃げ出していたブランシュは、死刑執行が若いコンスタンスで終わろうとする時、群衆の中から現れ、最後に断頭台に向かう。

【感想】
   印象深い、他に類を見ないオペラである。信仰とは何か、死とは何かを極限の状態で問いかけられる暗いストーリーの悲劇。しかし、プーランクの音楽はあくまで清澄でメロディック。崇高な旋律が美しく感動的である。
  演出はジョン・デクスターで、1977年MET初演時から使われている舞台。モノトーン、抽象的でシンプルな装置は修道女達の深層心理を巧みに暗示、今なおスタイリッシュな美しさを感じさせる演出である。
   指揮者のヤニック・ネゼ・セガンは、最後の場面で演奏者達が涙を流していたという。頷ける話である。


ブロードウェイ・ミュージカル「ホリデイ・イン」

2020-09-26 | オペラ・バレエ

                                      WOWOW 2020/9/23

WOWOWの「おうちでブロードウェイ」の第3回目

【出演】
 ジム・ハーディ・・・フライス・ピンカム
 テッド・ハノーバー・・・コービン・ブルー
 ライラ・ディクソン・・・メーガン・シコラ
 リンダ・メイソン・・・ローラ・リー・ゲイヤー

【スタッフ】
 音楽・作詞・・・アーヴィング・バーリン
 演出・・・ゴードン・グリーンバーグ
 脚本・・・ゴードン・グリーンバーグ、  チャド・ホッジ

 2017年/アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク スタジオ54

【物語】
 ジム・ハーディ(ダンスや歌他に作曲を行う)は、テッド・ハノーバー(タップダンスの名手)とライラ・ディクソンと共にマンハッタンのショーに出演している。しかし、ジムはショービジネスの世界に限界を感じ、コネティカットの田舎で農場を運営することを決意。ショーの長年のパートナーであるライラに結婚を申し込む。ライラは一度は受け入れたものの、ショー・ビジネスを諦められず、農場まで来て断りを入れる。 そしてテッドとの恋に落ちる。さらに、その後キサスの大富豪と駆け落ちする。

                   テッドとライラのダンス

 一方、農場の大きな屋敷に引っ越したジムの前に現れたのは、元の屋敷の持ち主であり今は小学校の先生をしているリンダ・メイソンだった。リンダは昔、家政婦だったルイーズをビルに紹介する。

         リンダはビルに自分の言葉を伝えられないと「おかしなものね 言葉がでこない」
         を歌う。

クリスマスの朝、ルイーズの企画で賑やかなパーティを催すことになり,大勢の人が屋敷に詰めかける。

              ルイーズはバケツを履きながらタップダンスをする

                   タップダンスをしながらの縄跳び

                 タップダンスをしながらの個人の縄跳び

 この楽しい催しがきっかけとなり、祭日のみにショウを行う「ホリデイ・イン」をオープンすることになった。

        ショーを上演できる! 空き部屋を使って劇場付きホテルにしよう!
           祝日だけ オープン出来る劇場だ。祝日ごとに歌を書くんだよ。
        みんな出てくれるか! ここはNYのような過酷な競争はない。

 その日、ジムはリンダに昔、作曲した「ホワイトスクリスマス」を歌って聞かせる。二人の仲は急速に接近する。

 このホワイトクリスマスは、よく歌われる有名な曲である。このミュージカルのオリジナル曲。

 

 大晦日のホリデイインは大盛況だった。

 テッドは大酒を飲み、ジムと話すためにホリデイ・インに酔っ払って到着、リンダとダスをして喝采を浴びる。テッドはリンダの踊りの素晴らしさだけを覚えていた。


 バレンタインのリハーサルをジムとリンダは進めるが、テッドはリンダが大晦日のパートナーであったことを知る。テッドはリンダと踊れば映画に出られることは確実と新しいパートナーとなってくれるよう頼む。

 バレンタインデーのホリデイ・インのショー。テッドとリンダの踊りの際にビルが舞台上に出て来て指揮をし、盛り上がった雰囲気のところを別の曲にしてしまい邪魔をする。

               独立記念日のショー、テッドとリンダの踊り

 ホリデイ・インを有名にするために、リンダはジムの意向に従わず、テッドとのショーで一度はハリウッド映画に出る道を選択したが、最終的にはジムとリンダは結婚し、ホリデイ・インで共に過ごしていくことになる。

 ライラは、大富豪だった男は実は億万単位の借金を抱えていることを知り分かれる。ホリデイ・インでテッドと再会し、再びパートナーになる。

(感想)
 リンダを演じるローラ・リー・ゲイヤーは美しく気品があり魅惑的で好感が持てた。テッド・ハノーバー役のコービン・ブルーのタップダンスはキレがあり、見ていて楽しい。特に爆竹を交えた単独でのタップダンスは見事。
 ホテルの舞台では華やかな歌と踊りのショウが繰り広げられ、衣装も照明も場面に良く合い素晴らしい。
 夢を取るか、愛する人を選ぶのか男女4人(ジム、テッド、リンダ、ライラ)によって描き出されるサクセスとラブストーリーは見応えがある。
 ブロードウェイ・ミュージカルの良さが感じられる作品であった。


ブロードウェイ・ミュージカル「ロミオとジュリエット」

2020-08-29 | オペラ・バレエ

                                                                                                                          wowow 8/26

  WOWOWで,この7月から10月まで4回行われることになった「お家でブロードウェイ」。ブロードウェイミュージカルを、日本語字幕付きで上映するので親しみやすい。今回はその2回目で、 シェークスピア原作の「ロミオトジュリェット」である。

 舞台は美しき都イタリア・ヴェローナ。2つの名家、モンタギュー家とキャプレット家はいずれも劣らぬ家柄。古き恨みが新たな争いを生み、人々は血でその手を汚す。
 いがみ合う良家に生まれた2人の子、ロミオとジュリエット。彼等は恋に落ちるが度重なる不運の末・・・自らのの命を絶ち両親の争いを終わらせる。
 死に至る恋の行方とその死が収めた親同士の根深い怒りを2時間の舞台でお見せします。皆様に辛抱強くご覧いただければ・・・ ご満足いただけるよう・・・人心全霊を傾ける所存です。(冒頭 修道僧ロレンスの言葉)

 このミュージカルは、なんと歌と踊りがない。わずかにキャプレット家の舞踏会でダンスが申し訳程度にあるだけである。

【出演】
オーランド・ブルーム・・・ロミオト
コンドラ・ラシャド   ・・・ ジュリェト                   

【演出】
デヴィッド・ルヴォー

 収録日・収録場所
2013年/アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク リチャード・ロジャース劇場

キャプレット家の舞踏会。楽器はドラムスとチェロ

ロミオとジュリエットは、キャプレット家の舞踏会で初めて出会い、お互いに一目ぼれする

有名なベランダのシーン

ロミオとジュリエットは、教会で修道僧ロレンスの導きにより結婚の契りを交わす

 ロミオは友人のマキューシオを殺したモンタギューの甥ベンヴォーリオを刺し殺してしまい、マンチュアへ追放となる

 大公「いまだかってない痛ましい物語、それがジュリエットとロミオの物語だ」(一同退場)
中央はヴェローナの大公、右キャプレット家の主、左はモンタギューの主

  ミュージカルといってもセリフが主体である。 
   そして、物語、セリフとも シェークスピア原作に沿って進められる。16世紀末のグローブ座で行われた演劇を現代に置き換えたといってもよいかも知れない。
   画面上の日本語字幕を読んでいるうちにシェークスピアの世界に入っていく気持ちになる。まさに「言葉、言葉、言葉」である。
   そしてラブストーリーの原点とも言われる、このシェークスビアの作品が真実味を持って迫ってくる。シェークスピアは400年近く経った今も生き続ける文豪であると思う。

 「お家でブロードウェイ」今回はちょっと変わった演出であったが、引き続きブロードウェイ・ミュージカルらしい作品を上映してもらいたい。


ミラノ・スカラ座バレエ「海賊」

2020-08-26 | オペラ・バレエ

                            2020/7/19 NHK-BS「プレミアムシアター」

ミラノスカラ座バレエ「海賊

 海賊の首領コンラッドはトルコの奴隷市場でメドーラと出会い一目ぼれする。コンラッドは愛を貫こうとするが、メドーラは奴隷商人ランケデムに捕まっている身でありトルコの総督パシャに売ろうとされている。一方、仲間達もコンラッドがメドーラに頼まれて奴隷を解放することに反発している。
 ギリシャとトルコ(オスマン帝国)の対立という構図のもとに海賊達が活躍するエキゾチックな舞台で愛と裏切りが交錯する。

【演目】 ミラノ・スカラ座バレエ『海賊』(全2幕)
【振付】 アンナ・マリー・ホームズ
【原振付】 マリウス・プティパ/コンスタンチン・セルゲイエフ
【音楽】 アドルフ・アダン ほか
【構成】 アンナ・マリー・ホームズ
【編曲】 ケヴィン・ガリエ
【出演】

メドーラ(ギリシャの娘):ニコレッタ・マンニ
ギュリナーラ(メドーラの友人):マルティナ・アルドゥイーノ
コンラッド(海賊の首領):ティモフェイ・アンドリヤシェンコ
ランケデム(奴隷商人):マルコ・アゴスティーノ
ビルバント(コンラッドの友人):アントニーノ・ステラ
アリ(奴隷):マッティア・センペルボーニ 
パシャ(トルコの総督):アレッサンドロ・グリロ ほか

【管弦楽】 ミラノ・スカラ座管弦楽団
【指揮】 パトリック・フルニリエ
【収録】 2018年4月11、16、19日

奴隷達がバザールに連れてこられる

奴隷商人ランケデムとメドーラ

トルコ総督パシャとメドーラ(右)とギュリナーラ(左)

刀を持って踊る海賊達の踊り 海賊ではあるけれど服装はスタイリッシュ

コンラッドとメドーラのパ・ド・ドゥ

バレエダンサーに人気がある奴隷アリ ガラ公演などではメドーラとアリのパ・ド・ドゥが人気のようだ。

コンラッドはビルバントの裏切りに逢う。

パシャの宮殿でのコール・ド・バレエ 豪華絢爛、美しい背景、美しい衣装で行われ感動的である。

バレリーナ全員のチュチュの裏側は同心円状に虹の模様が施されていて見せるためにと思うとまさに驚きである。

 コンラッドとメドーラ達は新天地に向かう。

 バレエ「海賊」は、上演回数が少なく、見る機会が少ないバレエですが、近年人気となっているバレエのようです。
 第1幕バザールでの海賊達の剣を持ちながらの勇壮で躍動感に満ちた踊り、
 第2幕の洞窟で行われるコンラッド、メドーラ、アリによるパ・ド・トロワは大きな見せ場となります。
 特に、 第3幕でのパシャの宮殿でのコール・ド・バレエは背景、衣装などこれまでに見たこともないような豪華で美しいシーンとなりました。
 また、ミラノスカラ座のバレエは、マイリンスキー、ボリショイ(ロシア)、ロンドン、バリオベラ座・新国立などとくらべると,あまり知られていません。また、バレエそのものはもう一つという部分もあります。
 しかし、このバレエ「海賊」では背景、衣装など特に素晴らしく、見ていてとても楽しくなるバレエでした。まさに、ミラノ・スカラ座の出色のバレエといえるでしょう。