俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!
〜Facebook「 Haiku Column」 「今月の秀句」2019・11〜 【HAIKU】
◆俳句総合誌『俳句界』11月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
※ 『俳句界』10月号から、優秀な作品が揃って来ましたので、1ページ増えて、3ページに渡って掲載しました。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】を出しました。「HAIKU」6号と「歳時記」は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
永田満徳選評/向瀬美音選訳
※
Mohammad Azim Khan
●
mannequins waiting for their turn ~
seasonal change of clothes
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
It is the season of changing the clothes, A scene of changing summer clothes on naked mannequins one after another. As if mannequins change themselves,the personnification is very good.
マホメッド アジム カーン
●
マネキンが順番を待つ
衣更
〔永田満徳評〕
替えのシーズン。はやりの夏の服を裸のマネキンに次々に着せ替えている情景。マネキン自身が衣替えを促しているように、「マネキン」を擬人化しているところがよい。
※
Seby Sebi
●
pașii ei răspândind valuri -
kimono de vară
her footsteps spreading waves-
summer kimono
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
In the village beautiful women in summer kimono walking. By [spreading waves ] we can see that everyone watch her intentively.
セビー セビ
●
彼女の歩みが波紋を広げる
浴衣
〔永田満徳評〕
街中を浴衣美人が颯爽と歩いているのであろうか。「波紋を広げる」という措辞から、彼女が通り過ぎるたびに、周囲の視線を一身に集める情景がありありと目に浮かぶ。
※
Elhoucine Bouhlou
●
Epis dorés~
Le paysan aiguise sa faucille
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
Épis de blé dorés. Le paysan est en train d'aiguiser sa faucille pour couper le blé. Avec [aiguise sa faucille] nous pouvons imaginer l'enthousiasme des paysans qui veulent obtenir plus de récolte.
エルシン ブルー
●
金色の小麦
農民は半月鎌を尖らせる
〔永田満徳評〕
黄金なす麦の穂。麦刈りをするために鎌をよく研いでいるのである。「尖らせる」という措辞に、より多くの収穫を得たいとする「農民」の意気込みが読み取れる。
※
Sarra Masmoudi
●
retour au bled~
cette chanson que je fredonne à mon insu
サラ マスモウディ
●
帰省
知らずに口ずさむ歌
※
Bernadette Couenne
●
pélerinage à Shikoku -
la carte des 88 temples sur la table
ベルナデット クエンヌ
●
四国の遍路
机の上に88個の寺院の地図
※
タンポポ 亜仁寿
●
flickering fireflies above the footsteps
homecoming
タンポポ 亜仁寿
●
足音の上に明滅する蛍
帰省
※
Joëlle
●
soubresaut du chat
les baies de cassis éclatent dans la casserole
ジョエル
●
猫の不意のジャンプ
鍋の中のカシスの実が弾ける
※
Isni Heryanto
●
kitchen window
Mother gently sings the May Day song
イスニ ヘイヤント
●
キッチンの窓
母が静かにメーデーの歌をうたう
※
Igorina Darsa
●
the moon follows wherever I go
homecoming
イゴリナ ダルサ
●
どこへ行こうとも月が付いてくる
帰省
※
Siu Hong-Irene Tan
●
clear blue sky
an eagle flies freely to the highest
シウ ホング イレーヌ タン
●
澄んだ青空
ワシが自由に高みを目指す
※
Rosa Maria Di Salvatore
●
another summer...
another dream to be dreamt
ローザ マリア ディ サルバトーレ
●
もう一つの夏
夢みるべきもう一つの夢