【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

〜【読書の秋】【読者の声】〜

2021年10月07日 15時08分15秒 | 俳人協会

俳人協会協会機関紙「俳句文学館」(2021年10月5日)

 

〜【読書の秋】【読者の声】〜

 

  • 「俳句文学館」の【読書の秋】に熊本を舞台にした夏目漱石の『草枕』を取り上げ、「俳句的小説」としての面白さについて書いています。
  • また【読者の声】にも私の提言が取り上げられました。

 

【読書の秋】

『草枕』 夏目漱石

永田満徳

 

グレン・グールドの愛読書『草枕』は、夏目漱石が意図した「俳句的小説」として面白い。 

『漱石俳句研究』(1925年7月、岩波書店)に見られる〈俳句のレトリック〉がふんだんに応用されている。

例えば、『草枕』のキーワードである「非人情」は「写生」から来ていること、画工が那美に小説はどこから読んでもよいと教えているように、各章が俳句の一句の独立世界であり、章末は「省略」が用いられていること、画工と那美の関係は〈俳句のレトリック〉としての「同化」で読み取れること。春の「季語」の多用、「取合せ」、「連想」など、興味が尽きない。

ところで、『草枕』を「同化」の視点で見て、「『憐れ』が一面に浮いている」という、有名な最後の画題成就の場面をどう考えるか。ここはテーマに関わり、探求心がそそられるところである。

〈俳句のレトリック〉を応用した小説に挑戦し、「美を生命とする俳句的小説」(余が『草枕』)に仕立て上げた漱石の手腕はお見事という他ない。

 

大阿蘇を踏石として月昇る  満徳

※永田満徳著

「夏目漱石『草枕』 そのⅠ・その2―『俳句の方法』を駆使した俳句的小説―

「草枕」 Ⅰ 夏目漱石】 - 【永田満徳(みつのり)】俳句大学学長 日本俳句協会副会長 俳人協会熊本県支部長 熊本カルチャーセンター講師(俳句) (goo.ne.jp)

参照

【読者の声】

私は「インターネット

代の到来は、新たな俳

活動の場、つまり「句

ゴ」(句座) の創出とし

て歓迎すべきではない

か」として、コロナ禍に

あっても、俳句の将来が

明るいことを言っていま

す。俳人協会でも、俳句

おけるネットの積極的

活用について検討してみ

はどうでしょうか?俳

句だけでなく、支部長会

議をリモートでやる方法

もあり、ネットの活用は

無限大です。

(熊本県・男性)

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インターネット時代の「句会」(句座)

2021年10月07日 14時55分04秒 | 月刊「俳句四季」

「俳句四季」(Haiku Suki )9月号

 

〜「忙中閑談」掲載〜

 

◆ 「俳句四季」(Haiku Suki )9月号(2021年の執筆した「インターネット時代の「句会(句座)」と題した「忙中閑談」を執筆しました。

◆そこで、私は「インターネット時代の到来は、新たな俳句活動の場、つまり「句会」(句座)の創出として歓迎すべきではないか。」として、コロナ禍にあって、俳句の将来が明るいことを述べています。

◆折りしも、「俳句四季」9月号の編集室では「俳句の世界は元気だ。」(洋)と書かれています。

◆お読み頂ければ幸いです。

 

【忙中閑談】

インターネット時代の「句会」(句座)

永田満徳

 

俳諧連歌が成立した室町時代末期より、俳諧の発句を芸術の域に高めた芭蕉による蕉風俳諧、正岡子規による近代俳句改革を経て、今日、俳句の歴史はおよそ五百年を閲(けみ)している。そして、今や、俳句は、世界に開かれたインターネット時代を迎えて大きな転換期を迎えている。

折しも、去年、今年と、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、三密を回避せよとの警告を受け、人との関わりを遮断することになったことは、俳句研鑽の場である句会の消滅に関わる、極めて重大な事態である。しかし、句会の喪失を嘆き悲しんでばかりでは俳句の将来はない。そこで、その多くは、リモートやインターネット、夏雲システム(オンライン)を使った俳句活動に移っている。

インターネット時代の到来は、新たな俳句活動の場、つまり「句会」(句座)の創出として歓迎すべきではないか。

もともと、俳句大学は発足当時から、今の時代は「一個人がインターネットによって全世界に自らの俳句を発表できる時代」(「学長挨拶」俳句大HP)との認識に立って、インターネット時代の俳句の可能性を探ることを目的に設立した。Facebookやネットが俳句大学の活動の拠点であったことから、コロナ禍の影響がないとは言わないまでも、より活発に活動している。

具体的には、俳句大学ではインターネットの「俳句大学ネット句会」、あるいはFacebookグループ「俳句大学投句欄」における、①講師による「一日一句鑑賞」、②会員による「一日一句互選」、③特別企画の「写真で一句」、またはオンラインによる、①第一・二・三週末の「席題で一句」、②第四週の「テーマで一句」、さらにFacebookグループ「俳句大学初心者教室」など、インターネットを積極的に使った俳句を展開している。

令和二年八月発行の機関誌「俳句大学」第四号は、その俳句大学が運営するネット句会、Facebookの活動は無論のこと、国際俳句のFacebookグループ「「Haiku Column」のHAIKU、中国圏のFacebookグループ「華文俳句社」の華文俳句などを掲載し、ネット上の俳句活動の模索から定着に移行しつつある俳句大学の取り組みを明らかにすることを目的に編集し、二〇〇ページに近い俳句誌になった。

さて、俳句大学国際俳句学部では、国際俳句交流の場を提供するFacebook「Haiku Column」を立ち上げ、私は代表として、また、向瀬美音氏は主宰として「Haiku Column」を管理している。現在、メンバーは二三〇〇人を越え、一日の投句数も二〇〇句に及ぶ。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その人道主義的スタンスが支持されており、HAIKUによる国際文化交流が国際平和に繋がることを痛感している。

これらの国際俳句の試みは、向瀬美音氏を発行人とする機関誌『HAIKU』のVol.1からVol.6で紹介し、二〇二〇年八月一日に朔出版から出版したVol.5では、一五〇人が参加して、総ページ数は五五〇ページを越える。また、「「Haiku Column」の秀句は、「俳句界」には二〇一九年の一月号から〈monthly excellent Haikus〉〈Kigo of this month〉と題して毎月連載している。「俳句四季」には同じ年の3月号から一年間、〈Today's KIGO〉の題で、春夏秋冬の順に連載した。

今後ますます、瞬時にして広範な俳句活動のできるインターネットの利点をどう生かすかが試されるであろう。俳句大学は、インターネットにおける「句会」(句座)という場の積極的活用によって、国内の俳句活動を始めとして、海外の俳人との交流を深め、真の「俳句(Haiku)」の在り方を探り、ウィズ コロナ、ポスト コロナ社会を見据えた国際俳句文化の更なる発展に寄与していきたいと考えている。

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〜季語で一句 23 〜

2021年10月07日 14時22分23秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

俳句大学投句欄よりお知らせ!

〜季語で一句 23 〜

◆『くまがわ春秋』10月号が発行されました。

◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。

◆お求めは下記までご連絡下さい。

 (info@hitoyoshi.co.jp ☎0966-23-3759)

 

「くまがわ春秋」

【季語で一句】(R3・10月号)

永田満徳:選評・野島正則:季語説明

 

秋寒(あきさむ)     「秋-時候」

茂木寿夫

  •  

うそ寒や玻璃戸に映る我が背筋

【永田満徳評】

「うそ寒」という季語は老いとの取り合せでいい句が多い。掲句はたまたま「玻璃戸」に映った少し猫背になった「我が背筋」を見て、うそ寒さを感じたもの。老いをしみじみと感じたところが共感できる。

【季語の説明】

俳句の世界独特の使い分けがあるような寒さを表す言葉。「やや寒」の「やや」は「いくらか」「少しばかり」などの副詞で、次第に募りくる寒さをいう。「うそ寒」はすこしばかりの寒さである。「そぞろ寒」はなんとなく寒い程度であろうか。秋の半ばすぎから晩秋にかけて次第に募る寒さを思わせる季語である。

 

霧(きり)         「秋-天文」

桧鼻幹雄

  •  

新しきボトルに名前霧の夜 

【永田満徳評】

「霧」はドラマを感じさせる。掲句は、出会いの継続のために「新しきボトル」をキープしている場面。夜霧が二人を包み込んだ場面の逢瀬として、ロマンチックなドラマがあるように感じられて、心惹かれる。

【季語の説明】

「霧」とは、水蒸気を含んだ大気の温度が露点温度に達し、小さな水粒となって空中に浮かび、視界を悪くする現象。俳句の季語としては、古くは春秋ともに霞といったが、平安時代以降、春の方を霞、秋の方を霧と呼び分けている。人吉盆地は濃霧の発生率が1、2を争い、幻想的な風景を楽しむことが出来る。

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