My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

もつ鍋ビジネス考

2008-12-30 18:24:26 | 7. その他ビジネス・社会

前から非常に疑問だったことが昨日ひとつ解決。

東京には最近、もつ鍋屋さんが増えてきた。
勤務先の六本木にも何軒かあったので、良く通っていた。

とにかく安い。一人当たり、1,300円とかいう低予算からもつ鍋が食べられる。
疑問だったのは、こんなに客単価が低いのに、六本木なんかの地価が高いところでどうやって成り立っていられるのだろう、ということ。
もつの原価がいくら安いのか知らないが、どんなにコストが安くても、客単価が低ければ粗利に限界がある。
地代だって払えないだろう。

昨日、久し振りにもつ鍋屋さんに行ってみて、ゆっくり観察してみて理由が分かった。

1, 回転率が高い
実はもつ鍋って、普通の鍋より圧倒的に回転率がいいことがわかった。
見てると、早くて1時間、ゆっくりの客でも2時間程度で、店から出て行く。
そして新しいお客さんが次々に入る。
最初の客が、開店時の5時に入店し、7時前には出る。
そして7時頃から入店する客がその席に座り、9時頃から入店する客が交代する。
夜だけで、ひとつのテーブルが三回転くらいしているように見える。
六本木なんか、私みたいな不健康な外資系社員なんかが11時ごろに入店したりするから、四回転くらいしてるのかも。

これは普通のレストランや居酒屋が、夜は一回転、多くて二回転なのに対して、圧倒的な量だ。
3倍稼げるってことだからね。

何でこんなに速いのだろう。
ひとつに、鍋の盛られ方にコツがあると思った。

普通の鍋料理(すき焼きもしゃぶしゃぶも)は、具材を自分でとって料理するから、時間がかかる。
居酒屋では、料理を幾皿も注文するから、時間も人手もかかる。
ところがもつ鍋は最初から鍋の中に具が入っており、煮立ちはじめたら、一気に食べる。
そして、それだけでおなか一杯になる量だから、それ以上に頼もうと思わない。
料理を頼まないと、手持ち無沙汰になるので、飲み物を頼む。
それでも手持ち無沙汰になるので、店を出る。
所要時間は1.5時間。

普通の居酒屋みたいに「2時間制」とかしなくても、回転率が圧倒的に高いのは、もつ鍋という料理の形態のせいなのでは、と思う。

2, 利益率の高い飲み物で戦う
それから、もつ鍋自体が安いこともあるのか、結構いろんな飲み物を頼んでいる。
もつ鍋に行ってビール一杯で終わらすってことは余り無い。

鍋自体がとても味が濃いので、のどが渇いてしまうこともあり、みんなじゃんじゃん頼むよね。
焼酎もいろんな種類があって、みんなついつい数種類頼んじゃってるしね。
個人的には、あれって本物の佐藤黒や富之宝山なのかな、って疑ってるんだけど。

ともかく、通常飲食店では、食事の原価率が3-5割なのに対し、飲み物の原価率は1-3割と言われている。
同じ客単価でも、飲み物がたくさん出るほうが、店としては儲かるのだ。

さっそく計算してみよう。
お通し300円(原価20円)、もつ鍋1,300円(原価400円)に加え、飲み物は平均ビール2杯として平均客単価1,200円(原価300円)とする。
と、客単価平均2,800円、粗利で2,000円程度は行くに違いない。
一平方メートルに1人の計算で、三回転とすると、一平米あたりの売上は8,400円(粗利6,000円)
一ヶ月なら、一平米25万円(粗利約18万円)。
これなら確かに地価の高い六本木でも十分いける。

しかも、もつ鍋って、もつ買ってきて客席で煮込むだけだから、調理場ほとんど要らないし。
シェフも雇う必要なし。バイトだけでいけるもんね。
コストサイドも切り詰められる。

とても客単価安いように見えて、流行れば結構おいしいビジネスなのかもしれないと思った。

←明日はまたMBA受験情報に戻りますので、応援してください!



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