日本は総選挙が大変なことになっている中、私はついにiPhoneを購入。
MITの学生はiPhoneが大好き。
特にビジネススクールの学生に限ると約半分の学生が持ってるんじゃないか、という勢い。
MITのメールなどにも対応してて、IT部門がサポートもしてくれるし、ブラックベリーより便利そうだ。
更に西海岸のソフトウェア企業に行って、ここでも大半の人-特に若い人はほとんどがiPhoneを使っていた。
みんなの使ってるのを見ていて、便利そうだから、私もついに買うことにした。
(あとは、仕事柄、米国の製品技術の最先端に触れずに日本に帰るわけにいかないだろう、という思いもあった。こっちの方が理由としては大きかったかな)
アメリカでは、iPhoneはAT&Tの一社のみの扱い。
私はVerizonユーザだったので、キャリアを変更する必要があったのだが、これがとても簡単だった。
AT&Tの店舗に行って、「今までVerizonだったが、iPhoneに変えたい」と言ったら、
「じゃあこの建物の2階にあるVerizonに行って、Account number(電話番号とは違う)をもらってきて」
と言われる。
で、Verizonで申し訳ないながらも番号だけ教えてもらい、1階のAT&Tに戻ると、
Verizonの解約手続き→AT&T加入手続きを全部やってくれた。
アメリカはナンバーポータビリティは当たり前なので、それに特別な手続きや料金が発生したりはしない。
しめて30分。早い。
iPhoneは一番安いiPhone3Gにして、99ドル。
私のSocial Security Numberに記録が無かったので、更に500ドルのデポジットを払わないとならなかった。
(1年後に戻ってくるらしい。1年後にアメリカにいるのか?)
あとは、Verizonから2年契約中途解約の違約金、400ドル相当がかかるが、これは最初に取られたデポジットが帰ってこない、という話。
やっぱりスイッチングコストは高かった。
で、使い始めると、やっぱり便利だ。
インターフェースやデザインの良さは好みもあるが、それ以外の機能的な部分で見ても、ブラックベリーなんかよりずっと便利。
例えば、iPhoneは日本語が読めるだけじゃなく、書ける。
そのために、日本語ソフトをインストールする必要も無い。
日本語の変換ソフトも優秀で、普通変換で出てこない人の名前なんかもちゃんと出る。
このあたりは日本のその辺の携帯電話より優秀だ。
WiFi環境にあれば、Skypeも使えるから、タダみたいなコストで国際電話も出来る。
GPS地図も、Google mapを使っているから、Blackberryや日本の携帯よりよっぽど優秀。
(日本のNAVITIMEとかは素晴らしいが、Google mapはやっぱり無料だしね)
あとは結局iPodと同様の話になるが、周辺アプリケーションが充実してるのが素晴らしい。
ファイナンシャル・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルなどのニュースフィードがダウンロードできる、とかっていうのは、
日本の携帯を使い慣れてる人には当たり前に思えるが、その数が圧倒的に多いのは素晴らしい。
以前私が書いた記事で、
Appleが周辺のアプリケーションを作る会社に投資することで、iPhoneのプラットフォーム化を進めてる、
というのを書いたが、その威力を目の当たりにした感じだ。
日本は、これをドコモやAUなどがキャリア主導でやってるのだが、
iPhoneは端末主導でやっているため、WiFiなど端末の機能を利用した-しかもキャリアと利益相反するようなアプリが大量にある、というのも違う。
こんなことなら最初からiPhoneにしておけばよかったな、とも思うが、
1年間アメリカの「普通の端末」を使っていたことで、如何にiPhoneが画期的だったかが良くわかる。
日本の携帯と比較しちゃうと、この良さはわからないかもしれない。
だって日本の携帯電話はやはりすごいからね。
今年の2月末、「iPhoneは日本じゃ嫌われる (Why the Japanese Hate the iPhone)」という記事が出て、アメリカのネット上では大論争になった。
日本ではソフトバンクがiPhoneを扱い始めたが、米国と比べて全然売れてないことに対して、何故か?を書いた解説記事だった。
曰く、
・日本の携帯は処理速度も速いし、テレビも見れるし、カメラの解像度も良いのに、実質タダのような値段で購入できる。
・そもそも日本は、こういうテッキーな技術ではアメリカより常に1,2年進んでるわけ。
・だから、iPhoneなんか出てきても「何をいまさら」って感じなのに、300ドルも400ドルもふっかけるから、売れないんだよ
という内容である。
これに対して、特にAppleファンなどが猛反発。
新たな解説記事や反論などが次々と出て、かなり面白い議論の様相を呈していた。
iPhone大好きで、
実際AT&Tのような負け組(失礼)キャリアが、iPhoneのおかげで契約者数が復活してきたのを見てきたアメリカ人としては、
「日本で売れない」という事実が受け入れがたいのである。
MITスローンのモバイルビジネス好きな面々の間でも、これはかなり話題になっていた。
(余談だけど、こういう「モバイルビジネスが好きな人々」がそれなりの数いて、かなりマニアックな話ができるのがMITスローンの素敵なところ)
私も「日本でiPhoneは本当に売れてないのか?何故なのか?」というのを大分聞かれた。
まず、端末の処理速度が遅いのは問題だ。
韓国人の友人のWoojaeがiPhoneを使っていたのだが、彼の弁を引用すると、
「うーん、確かにiPhoneは、日本や韓国の携帯に慣れた感覚からすると、動きがとろい。」
日本人にとって、端末のサクサク感というのは大切で、これが無いのは結構痛い。
第二に、日本では携帯を暇つぶしメディアとして、ワンセグ視聴に使ってる人も相当数いる。
ワンセグが見れないiPhoneは、このセグメントには全く受けないだろう。
このセグメントには、アプリが色々ダウンロードできますよ、と言っても刺さらない。
iPhoneはYoutubeは簡単に視聴できるけど、Youtubeを使ってる人なんて日本じゃまだまだ一部だ。
ワンセグのほうが普及してるくらいじゃないか。
一方で、この記事にあったように、カメラの解像度が問題とは私は思わない。
おそらく日本でiPhoneを買うセグメントは、携帯のカメラの解像度を気にするような10代のセグメントではなく、ビジネスユーザと大学生以上だろう。
ただし、「写メール」が長いこと普及してる日本では、「取った写真をすぐにメールで送信」機能がついてないとしたら、それは問題かもしれない。
これらの弱点に対応すべく、Appleは今年の7月から、iPhone-3Gsというのを発売。
これは今までのiPhone-3Gよりも、1)処理速度が速く、2)カメラの解像度が3メガピクセルと高い、というモデル。
まさに、「東アジアで売れてなかった問題を解決した」バージョンだ。
それから、売り方も、日本独特の「端末ゼロ円」に対応。
購入時の端末価格は1万円前後で、2年間にわたって残りを払い続ける、というソフトバンクのモデルに組み込まれた。
これを受けて、日本でiPhoneが月間売り上げ第一位になった、という記事が米国では早くも駆け巡っている。
いろんなテッキーなブログでも、「今年の2月に出た、日本人はiPhoneが嫌いという記事を覆す結果だ!」と喜ばれている。(例)
やはりアメリカ産のガジェットが日本でも売れるのはアメリカ人としてうれしいのか。
しかし、個人的には、これは一時的な結果なのではないか、と思っている。
日本にも、新し物好きの人やAppleユーザという層が一定数おり、その人たちが、7月の発売に合わせてラッシュで買ったんじゃないか。
7月に日本で発売された、iPhone日本版もいじってみたが、変に日本仕様(キーボードの代わりにテンキーが出てくる)になっていて、
正直、他の日本の携帯に比べて使いにくい印象だった。
処理速度も、iPhoneのような画面でのセンサー認証はどんなに早くても、実際にキーを打つ速度にはまだ劣る。
若いモバゲーユーザがiPhoneを使ってるのは想像できない。
さっきも書いたように、ワンセグユーザは乗り換えないだろうし。
そもそも日本は、キャリアを変更するのがアメリカに比べてもまだまだ面倒である。
(番号はポータブルでも、携帯メールアドレスが変更が出来ないのが面倒。手続きも)
しかも、もともとソフトバンク(元J-Phone)を使っているのは、割とコストセンシティブな層が多く、この層に金がかかるiPhoneが受けるかはかなり疑問だ。
端末やアプリのサービスにお金を使うような層は、どちらかと言うとドコモなんかにいるのではないか。
iPhoneのインターフェースは素晴らしいが、それだけの理由で、ドコモやAUからソフトバンクに移行する人が果たしてどれだけいるかは不明なところだ。
日本で、新しいiPhoneがどうなるか、はきっとこの2カ月のうちに決着がつくでしょう。
どうなることか、楽しみです。
恐らくiPhoneは、どの日本産ケータイより早く入力できる。
http://jp.youtube.com/watch?v=OOHp3BlgbPw
http://www.youtube.com/watch?v=mY9H7CemcDs
僕は渡米後iPhone 3Gsしか使ったことがありませんが、周りでは一体何年前のモデルだという携帯を使っている方が多いですし。
日本でiPhoneが売れない理由として、僕はキーパッドの処理速度が遅いということよりも、タッチ感が存在しないことにあるのではないかと思います。
少なくとも僕の世代では、相当な人が日本の携帯のキーパッドに慣れていて、キーパッドを見ることなくある程度メールを打てると思いますが、
iPhoneであれば画面のどこを触っているかわからず、いちいち確認しなければならないので、メールが打ちづらいと感じる人が多いのではないでしょうか。
(英語入力に関しては、iPhoneを横に傾ければ相当大きなQWERTYボードで打てるので、素晴らしく打ちやすいと思いますが)
そういう意味でメール利用が頻繁な層(特に、大学生や女性ビジネスユーザー)には受けが悪いんじゃないかなと思います。
映像シェアありがとうございます。
これはすごいですね。このスピードで打てるなら、確かに日本の普通の携帯端末と同じかそれ以上で打てるかもしれませんね。
この映像は面白いです。
早速米国の友人にもシェアします。
(彼らの反応が楽しみ)
ただし、iPhoneでここまで出来るのって、例えば親指族の高校生たち全員できる、位のレベルなのでしょうか。
それとも一部のマニアックな人だけが習熟できる技?
>Masaaki様
コメントありがとうございます。なるほどタッチ感ですか。
確かにiPhoneは「押した」感が無いですよね。
カチカチとキーボード音は出ますけど(出せるように設定できますが)
ちなみにこのタッチ感は米国でも一部の層で問題視されていて、
Verizonは、iPhoneへの対抗機種として、iPhoneと同じ画面パネルセンサーでありながら「タッチ感」のある、パネルがカチカチと動くモデルを発売しています。
たしかこれだったかな
http://shop.verizonwireless.com/?id=LG+enV%AE+TOUCH+Cell%20Phone
私の友人でやはり家電製品フリークのCraigが早速買い換えてました。
普通のPCのキーボードでもそうですが、あのタッチ感がないと「打った気がしない」という層が必ずいるんですよね。
それにしてもMassakiさんとは私は同世代だと思っていたのですが(2,3歳は違うかもしれませんが)、
やっぱりこの世代ってメール族なんですよね。
私はいわゆるSMSをほとんど使わないので、親指の動きは鈍いです。
ブラックベリーみたいなキーボード入力がやはり便利だな、と思ってしまいます。
iPhoneの一番の問題は、日本人のどのセグメントに売るつもりで出してるのか全くわからないとこだと思ってます。
ビジネスユーザなのか、電話でのコミュニケーションを重視する若い女性や学生なのか、モバゲーのようなインターネットツールやメールでのコミュニケーションが中心の中学・高校生ユーザなのか。
最近の事情は疎くなりましたが、携帯電話は層によってかなりニーズが違い、
ちゃんとアドレスしないと受け入れてもらうのは難しい。
そのあたりをAppleはちゃんとわかってるのか、
「良いものは売れるはずだ(しかもアメリカ人にとって良いものってだけなのに)」というような技術者的信仰だけで売ってないか、というのが最も心配されるところだと思ってます。
「タッチ感で押している位置を確認する」というMasaakiさんが触れていた点にちゃんとアドレスして無かったですね。
自分が親指族じゃないものだから、理解しきれてなかったです。
将来的にはPCのキーボードもタッチパネルになっていくでしょうが、これはタッチパネルについてはしばらくは課題ですね。
人間の指先が、隣のキーに間違って触れた瞬間に位置を微修正できるだけの、繊細な感覚を持っているのを利用し切れていない、という。
こういう問題は新しい技術ではなく、意外と今までの技術の棚卸と、新しいアイディアで解決できたりするものなので、今後の技術者のイノベーションに期待ですね。
予定の販売数量に達しなかった一番の理由はコストでしょう。あまりにも強気の料金設定に欲しくてもついて行ける人が少なかったということでしょう。アップルがNTTとソフトバンクを競わせソフトバンクが甘い見通しで高額を支払うことになり結果料金を高くせざるを得なくなり、アップルの戦略が裏目に出たということです。そこで事実上の料金引き下げにより欲しかった人が買ったので一時的に1位になったというのはわかりやすいことです。
アメリカでは「Cellular Phone」が「Cellphone」と呼ばれるようになりその一種として「Smartphone」があり何れも「Phone」であるが、日本では「携帯電話」は単なる「電話」ではなくなり、ここの表題にもなっているように名称から「電話」がとれて「携帯」に進化しており、だれもが「携帯」と言えばこの機器のことを指していることがわかる携帯するいくつかの機器を一まとめにした機器になっているので、その携帯する機器の一部がない機器は「携帯」としては不足しており、その別の機器を使っている「携帯」から乗り換えるのに困難があるのでアメリカ程には普及しないということでしょう。
「iPhone」が「Cellphone」の一種としては優秀でも「携帯」とは違うものであり「携帯」のカテゴリーとは違う類似の機器として考えればよいでしょう。アメリカの人にもそのように教えてあげましょう。
「iPhone」に興味があっても乗り換えられないのは、ワンセグ機能がない(チューナーを接続することにより一応対応している)のも理由の一つでしょうが、それよりも更に不都合なのは、おサイフケータイ機能がないことでしょう。鉄道に乗るのに切符を買わないことに一度慣れるともうもどれませんし、航空機のチケットレス(予約は必要ですが)もそうですし、Edyで買い物する人もそうでしょう。QRコードにも対応していないでしょう。
サイズが少し大きくて日本人の手には余るということもあるのでは、「iPhone」を片手打ちでは落としそうになっていませんか。
ただし「iPhone」はエレクトロニクス機器の一種としておもしろい機器なので経済的に余裕のある人は携帯電話としては2台目として「携帯」ではなく「iPhone」というカテゴリーで使っている人も多いでしょう。
デザインも素晴らしく、機器の出来も良いですね。バックカバーもきれいですぐにはげはげになる中国製の北欧勢や韓国勢のものとは一味違います。アプリもアプリの開発システムも良いですね。
スマートフォンを使っている人はビジネスユースが多いが「iPhone」を使っている人は日本ではビジネスユースよりもホビーユースの方が主流でしょうね。現状ではビジネスでの使用には物足りないという方と携帯電話は電話とメール機能で十分という方の方が多くてその中間のスマートフォンは携帯の主流にはならないという状況でしょう。昨日のJ-CASTニュース(先週の日経にも類似の記事がでていた)でもスマートフォンが増えているとのニュースの中でスマートフォンの9割は20代から40代の男性が使用しているが、「iPhone」は男女比が6対4だということ報じていることからも類推できると思います。
「iPhone」は「Smartphone」のカテゴリーとも違う新たなカテゴリーを形成しているのでしょう。3GSがでて一番購入が増えたのはF1層のようですよ。
ああ、そうでした。おさいふケータイの問題もありましたね。
ちなみにおさいふケータイ自体の普及率は60%と高いですが、実際に利用しているのはその10%未満、というデータがどこかにあった気がします。
(つまりケータイユーザ全体の6%未満しかオサイフケータイを使っていない)
それだけ見ると、お財布ケータイを搭載していないことがネックになるとは思えないですが、iPhoneが狙ってるセグメントでは、おさいふケータイの普及率が高いであろう、というところが問題ですね。
つまり、iPhoneを買いたい、と思う人たちは、多くが現状がおさいふケータイを使っていて、それをやめてまでiPhoneにしたいとは思わないかもしれない、という。
結局、前のコメントに書いたように、すべてiPhoneが売るターゲットセグメントを定めていない、という問題だと思いますね。
ターゲットセグメントを定めて、それに合うように4P(Product=製品仕様、Price=価格、Place=販売チャネル、Promotion=どう宣伝するか)を定める、なんてマーケティングの基本中の基本なのに・・・
きっと、自分たちの商品が刺さるセグメントがどういう人たちか、と言うのが見えてないんでしょうねAppleには。
私はiPhoneはビジネスユースで一番売れる、と思うので、そういうセグメントをターゲットすべきと思うんですけどね。