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JR西とセブンの提携

2014年08月03日 22時03分07秒 | 学習支援・研究
JR西日本が「セブン-イレブン」と提携した理由
プレジデント
2014/7/28 16:15
オンライン編集部=取材・構成 
熊谷武二=撮影

アベノミクス効果はこれから始まる! 
――西日本旅客鉄道(JR西日本)の2014年3月期の決算は営業収入
1兆3,310億円、営業利益1,345億円、
純利益656億円と過去最高の数字でした。

【真鍋】
前期は中期経営計画の初年度でしたが、
好調な滑り出しができたと思います。
アベノミクスの影響もあったのでしょうが、
想定していたよりいい収入状況でした。
一方、電力(不足)問題もあったので、
コスト面は厳しく見積もっていましたが、
それほどでもありませんでした。
そのように経済状況にも恵まれたと思います。

売上高にあたる営業収益の1兆3,310億円という数字は
中期計画の最終年度の目標が1兆3,060億円ですから、
1年目で達成したことになります。
実は、もともと初年度から2年目では
仕込みの年で、非常に厳しくなると想定し、
そこから改革していくというシナリオだったので、
少し慎重に計画数字を設定していたからです。

来年春には北陸新幹線の開業もあります。
貸付料が決定していないこともあり、
計画にはその影響は盛り込んでいません。
貸付料が決着した段階で、
1年目のギャップの修正と併せ、
現在の中期計画の見直しをする必要があると考えています。

――アベノミクスはどのように評価していますか。
【真鍋】
昨年は安倍政権の1年目でしたが、
心理的な効果があったのかなと思います。
実際にビジネスを中心とした旅行を含めた動きが、
想定よりよかったと分析しています。

やはり日本経済はあまりにも停滞の時間が長かったので、
ある意味で、先行きが開けるのではないかと
国民の皆さんが感じたのではないでしょうか。
そういうムードをつくったという意味では
非常に大きかったのではないかと思います。

ただ、アベノミクスの実際の効果というのは、
これからだと思います。
規制緩和というだけでは
なかなか見えてこない部分が大きいですが、
現実的な議論はこれからでてくるでしょう。
日本経済、各業界でまだまだ成長の余地があるなと、
感じられる政策を作り上げていくことが大事だと思います。
もう少し、具体論が見えてくれば、
景気回復に拍車がかかる可能性があると思います。

懸念していた消費増税ですが、
6月末まで増税の影響が強く
でるだろうと見ていましたが、
5月のゴールデンウィークを見てみると、
前半はよくなかったのですが、
後半は前年比103%という状況で、
まずまずでした。それ以降の動きを見ていても、
消費増税の影響は薄れてきているのではないかとみています。

セブン-イレブン・ジャパンとの提携の理由
――セブン-イレブン・ジャパンとの提携により、
JR西日本のキヨスクをセブン-イレブンの店に変更すると発表されました。
その狙いはどこにありますか。

【真鍋】
鉄道を中心としたグループ会社の経営は、
決算上、運輸、流通、不動産、その他の4つのセグメントに分けています。
JR西日本は持ち株会社制をとっているわけではありませんが、
各グループ会社が本社の顔色を見るのではなく、
自主的に、機動的に、自分で判断することと、
それともう一つ、自力でできない部分は、
外の力を借りること、この2つが
グループ経営では大事になってきています。

セブン-イレブンさんとの提携は、
当然、該当するグループ会社より相談を受けていますが、
私どもが決めたわけではありません。
キヨスクを運営するジェーアール西日本デイリーサービスネット
という子会社が主体となり
セブン-イレブンさんと提携を決めました。

なぜデイリーサービスネットが
セブン-イレブンさんとの提携を決断したのかというと、
セブン-イレブンさんの業界トップの商品力、
品揃え、運営力、さらに
さまざまなサービスを展開されていること。
セブン-イレブンさんが持っている配送のノウハウ、
高齢者に食を届けるというようなコンセプトを含めて、
提携により鉄道をご利用されるお客様はもちろん、
沿線の方々の暮らしのお役に立てるような店づくりを実現していくことで、
可能性の広がり方が非常に大きいと考えています。
そういうところが決断の大きな理由だと考えています。

また、これまでローカルな駅だとキヨスクを置いても、
お客様が少なく、店を閉めざるをえない。
ここ10年くらいどんどん売店を閉める方向で進んできました。
しかし、小さなお店でも、セブン-イレブンさんの品揃え、
サービスでやってみれば、経営が成り立つかもしれません。
無人駅のような場所でもコンビニを置くことで、
駅に人が集まってくる可能性が出てくる。
そのように考えると、やはり業界トップの外の力を借りる、
一緒にやっていくことは非常に大きいと思います。
セブン-イレブンさんとの提携は
非常にいい決断だったと思います。


[拡大]写真
JR京都駅に出店した「セブンイレブン」。
今後5年間でJR西日本の駅構内に約500店舗を出店する


なぜ「JR大阪三越伊勢丹」はつまずいたのか
――販売不振のためJR大阪駅の
「JR大阪三越伊勢丹」を縮小すると発表されました。

【真鍋】
できるだけ早く手を打つ必要があり、
開店して1年終わった段階で対応を始めました。
2年目に入ってすぐに減損処理をして、
3年目からお店をどう再建するか
具体的に検討を始めました。

月末からは一部のフロアを除いてお店を一時閉店します。
通常の百貨店の改装のやり方であれば、
たとえばフロア毎に改装する。
つまり営業を続けながらやるのが普通だと思いますが、
店を一時閉店して早く全面改装して、
オープンするという判断をしました。
そして2015年度に百貨店業として
黒字化したいと考えています。
そういう意味では、早く再建する。
出血する部分を早く治してしまおうと判断しました。

現在、まだ発表できる段階ではありませんが、
単なるリニューアルとか、
改装ということを考えているわけではありません。
隣接する専門店のルクアと融合するような形を目指しています。
三越伊勢丹による百貨店店舗の展開を行いますが、
従来の百貨店という概念とは
まったく違うお店になると考えています。

三越の富裕層を中心とした美術品、工芸品などの強い分野と
ファッションに強い伊勢丹の双方の強みを詰め込もうとしましたが、
結果としてお客様にご支持いただく品揃え、
ブランドの揃え方にすることができませんでした。

出店以前から分かっていたことですが、
梅田は阪急百貨店がナンバーワンの店舗を構えていて、
阪神百貨店、大丸もある中で、
JR大阪三越伊勢丹は品揃えやファッションブランドの揃え方など、
独自性の高い店づくりを志向したのですが、
全体的にわかりにくい、
敷居が高いという印象をお客様に与えてしまい、
ご支持をいただくことが出来なかったと考えています。

今後、鉄道会社が果たす役割は大きい
――今後の成長戦略はどのように考えていますか。

【真鍋】
北陸新幹線の開業、関西圏の活性化、そして鉄道でいうと新幹線です。
新幹線は来年春には、北陸新幹線が開業しますから、
東京から富山、金沢の私どもエリアに来られるお客様のマーケットが大きくなる。
さらに関東からだけではなく、関西から北陸に行き、
長野、新潟方面に動くお客様を増やす必要がある。
そうやってマーケットをさらに大きくする。

そういう意味では、旅行での「動き方」のご提案をする。
例えば、東京、大阪から金沢に行った人は能登半島方面への動き方、
五箇山、白川郷、高山などの岐阜方面への動き方、
さらに永平寺、恐竜博など福井方面への動き方など、
いろいろな旅行ルートを提案していかなければなりません。

さらに鉄道だけではなく、地元のバス会社にご協力いただく。
例えば、富山から能登半島へは
バスで和倉温泉に寄る。
和倉―金沢間は特急列車も走りますが、
観光列車を走らせようと考えています。
富山―金沢間は新幹線もありますから、
和倉、富山、金沢間を三角形で描くように動いていただくような提案もできます。
たくさんの「動き方」を増やしていく。

また「地域共生企業」となることを中期経営計画に掲げていますが、
食べ物、宿、伝統芸能などをテーマに地域と一緒になって、
お客様を呼び込んでいく。
そうやって長期にわたってお客様が
集まるような方向に持っていくのがこれからの戦略です。

鉄道ではもう一つ近畿圏が挙げられます。
なかでもアーバンネットワークと呼んでいるエリア、
とりわけ大阪の環状線をブラッシュアップしていく。
東京は「都市型観光」で、全国からいつ、
誰が来ても何かがあります。
私どもも「マイ・フェイバリット関西」というWEBで
大阪に来ていただいた人に楽しんでもらう情報を提供しています。
京都にはもの凄い数の喫茶店があります。
観光してくつろげる所がパンフレットや雑誌に掲載されている。
大阪という街は意外とそういった紹介がありません。
せっかく淀川が流れ、淀屋橋、中之島などは景色もいい。
大阪城もあり歴史も町人文化もしっかりと息づいている。
そうした観光資源に光を当て、一息つける場所も併せて、
一生懸命宣伝しているわけです。

今後、日本の人口が減少していくなかで、
地域振興と観光資源の掘り起こし、
海外からの旅行者の受け入れ、地域交通の問題など、
鉄道会社が果たすべき役割はますます大きくなっています。



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真鍋精志(まなべ・せいじ)
1953年、香川県生まれ。東京大学法学部卒。
76年日本国有鉄道入社。87年西日本旅客鉄道(JR西日本)。
2003年執行役員財務部長。
常務執行役員・総合企画本部副本部長、
代表取締役副社長兼執行役員などを経て、12年社長就任。
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http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140728-00013098-president-nb&p=1より


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