モスバーガー、「マック値上げ」に逆張り
東洋経済オンライン
2013/4/19 10:45
松浦 大
モスバーガーをチェーン展開するモスフードサービスは、
4月23日から全国のモスバーガー店舗で販売する「モスバーガー(写真)」
「テリヤキバーガー」などの主力商品を全面リニューアルする。
価格は据え置きながら、
ハンバーガーのパティやソースといった食材を
“改良”することで商品力を強化。
業界最大手のマクドナルドや、中食部門を強化している
コンビニエンスストアに対する競争力を強めるのが狙いだ。
モスフードがこの定番品リニューアル戦略を明らかにしたのは、
くしくも日本マクドナルドホールディングスが
100円メニューである「ハンバーガー」値上げや、
一部店舗での主力商品「ビッグマック」の
実験的な値上げを発表したのと同じ、4月18日。
ライバルの“値上げ”に対して、
値下げとまでは行かないまでも“価格据え置き”の逆張り。
ハンバーガー業界首位と2位とで戦略の違いが鮮明に出た。
■ パティは牛肉100%に、ソースも改良
モスフードが4月23日から全面リニューアルするのは、
「モスバーガー」や「テリヤキバーガー」といった
主力商品を含む17種類のハンバーガー。
まず、パンに挟むハンバーガーパティについては、
今までの牛肉と豚肉の合い挽きから牛肉100%に変える。
ソースに関しても、ミートソースは「コクを上げて味全体を調整」、
テリヤキソースは「しょうゆとみそを引き立て甘みを調整」するなど、
全面的な改良を加える。
4月18日に開かれた「2013年度商品施策発表会」の場で会見した、
モスフードの櫻田厚社長(写真)は、
「株主やお客様から“モスはよい商品を持っている。
もっと進化させて欲しい”との要望が強かった」と説明する。
同社の商品の中でも「モスバーガー」は販売数が一番多い基幹商品。
期間限定メニューではなく、
主力メニューを6年ぶりに刷新することで、
商品力を高め、競争力の向上を狙う。
■ ビッグマック“値上げ実験”で、看板製品の価格逆転も
一方、ハンバーガー業界最大手の日本マクドナルドは同じ4月18日、
消費増税を見据えて、
「ハンバーガー」「チーズバーガー」など単品メニューの値上げを発表した。
「ハンバーガー」は旧価格100円を新価格120円に、
「チーズバーガー」は旧価格120円から新価格150円に、
それぞれ価格を引き上げる。
ダブルチーズバーガーよりチーズが1枚少ない新商品「マックダブル」(190円)の投入や、
「ポテトSサイズ」の値下げ(旧価格190~230円、
新価格150円)といった、
100~200円の低価格帯メニューの拡充はあるものの、
全体的には“値上げ”の色彩が強い新価格戦略となっている。
また、日本マクドナルドは全国49店で、
主力商品「ビッグマック」(単品)を
旧価格290~320円から新価格330~360円に値上げする“実験”も行う。
この結果、一部店舗とはいえ、
ビッグマックはモスフードの「モスバーガー」(320円)を上回る価格となり、
両社の看板商品の価格が逆転することになる。
業績面では停滞色強いモス、主力品刷新の効果は
もっとも、ライバル・日本マクドナルドの業績も不振であるとはいえ、
モスフードも業績の停滞色が強い。
前2013年3月期は天候不順やマーケティングキャンペーンがなかなかヒットせず、
2年連続の既存店前年割れに沈んだ。
モスフードでは前期決算について5月10日に開示する予定だが、
2期連続の減益決算となる可能性が高い。
また、店舗数(直営、
フランチャイズの合計)についても、
日本マクドナルドが2012年12月期末時点で3,280店なのに対し、
モスは13年3月期末で1,431店。
その差は歴然だ。
チェーン全体の売上高もマクドナルドが
この10年間で売り上げを1,000億円以上も伸ばし5,000億円を超えたが、
モスはこの10年間、ほぼ1,000億円前後にとどまってきた。
モスは今2014年3月期には、定番商品のリニューアル以外にも、
デザートメニュー数を増やすことに加え、
早朝営業店舗を拡大し、朝食需要の取り込みも進める。
出店についても前期の45店から、今期は2倍近い出店を計画。
ここ数年の業績低迷と決別を図る構えだ。
櫻田社長は「モスのお客様はほかの外食チェーンとは違う」と意気込むが、
果たして思いは顧客に届くのか。
今回の商品リニューアルがその試金石となる。
東洋経済オンライン
2013/4/19 10:45
松浦 大
モスバーガーをチェーン展開するモスフードサービスは、
4月23日から全国のモスバーガー店舗で販売する「モスバーガー(写真)」
「テリヤキバーガー」などの主力商品を全面リニューアルする。
価格は据え置きながら、
ハンバーガーのパティやソースといった食材を
“改良”することで商品力を強化。
業界最大手のマクドナルドや、中食部門を強化している
コンビニエンスストアに対する競争力を強めるのが狙いだ。
モスフードがこの定番品リニューアル戦略を明らかにしたのは、
くしくも日本マクドナルドホールディングスが
100円メニューである「ハンバーガー」値上げや、
一部店舗での主力商品「ビッグマック」の
実験的な値上げを発表したのと同じ、4月18日。
ライバルの“値上げ”に対して、
値下げとまでは行かないまでも“価格据え置き”の逆張り。
ハンバーガー業界首位と2位とで戦略の違いが鮮明に出た。
■ パティは牛肉100%に、ソースも改良
モスフードが4月23日から全面リニューアルするのは、
「モスバーガー」や「テリヤキバーガー」といった
主力商品を含む17種類のハンバーガー。
まず、パンに挟むハンバーガーパティについては、
今までの牛肉と豚肉の合い挽きから牛肉100%に変える。
ソースに関しても、ミートソースは「コクを上げて味全体を調整」、
テリヤキソースは「しょうゆとみそを引き立て甘みを調整」するなど、
全面的な改良を加える。
4月18日に開かれた「2013年度商品施策発表会」の場で会見した、
モスフードの櫻田厚社長(写真)は、
「株主やお客様から“モスはよい商品を持っている。
もっと進化させて欲しい”との要望が強かった」と説明する。
同社の商品の中でも「モスバーガー」は販売数が一番多い基幹商品。
期間限定メニューではなく、
主力メニューを6年ぶりに刷新することで、
商品力を高め、競争力の向上を狙う。
■ ビッグマック“値上げ実験”で、看板製品の価格逆転も
一方、ハンバーガー業界最大手の日本マクドナルドは同じ4月18日、
消費増税を見据えて、
「ハンバーガー」「チーズバーガー」など単品メニューの値上げを発表した。
「ハンバーガー」は旧価格100円を新価格120円に、
「チーズバーガー」は旧価格120円から新価格150円に、
それぞれ価格を引き上げる。
ダブルチーズバーガーよりチーズが1枚少ない新商品「マックダブル」(190円)の投入や、
「ポテトSサイズ」の値下げ(旧価格190~230円、
新価格150円)といった、
100~200円の低価格帯メニューの拡充はあるものの、
全体的には“値上げ”の色彩が強い新価格戦略となっている。
また、日本マクドナルドは全国49店で、
主力商品「ビッグマック」(単品)を
旧価格290~320円から新価格330~360円に値上げする“実験”も行う。
この結果、一部店舗とはいえ、
ビッグマックはモスフードの「モスバーガー」(320円)を上回る価格となり、
両社の看板商品の価格が逆転することになる。
業績面では停滞色強いモス、主力品刷新の効果は
もっとも、ライバル・日本マクドナルドの業績も不振であるとはいえ、
モスフードも業績の停滞色が強い。
前2013年3月期は天候不順やマーケティングキャンペーンがなかなかヒットせず、
2年連続の既存店前年割れに沈んだ。
モスフードでは前期決算について5月10日に開示する予定だが、
2期連続の減益決算となる可能性が高い。
また、店舗数(直営、
フランチャイズの合計)についても、
日本マクドナルドが2012年12月期末時点で3,280店なのに対し、
モスは13年3月期末で1,431店。
その差は歴然だ。
チェーン全体の売上高もマクドナルドが
この10年間で売り上げを1,000億円以上も伸ばし5,000億円を超えたが、
モスはこの10年間、ほぼ1,000億円前後にとどまってきた。
モスは今2014年3月期には、定番商品のリニューアル以外にも、
デザートメニュー数を増やすことに加え、
早朝営業店舗を拡大し、朝食需要の取り込みも進める。
出店についても前期の45店から、今期は2倍近い出店を計画。
ここ数年の業績低迷と決別を図る構えだ。
櫻田社長は「モスのお客様はほかの外食チェーンとは違う」と意気込むが、
果たして思いは顧客に届くのか。
今回の商品リニューアルがその試金石となる。