先日、山田太一のTVドラマ「本当と嘘とテキーラ」が放送されました。録画したものを今日見たのですが、キャストも良く、なるほどと思う台詞もあったものの、昔からのファンが期待する程ではなかったよな?!というのが正直なところです。どうしても求める物が大きくなりすぎるというのはあるのでしょうけれど・・・。
先週末、小学校入学から20代半ばまで、川崎の実家で同居していたおじが亡くなりました。ガンで、1ヶ月位前からはケア病棟いわゆるホスピスに入っており、覚悟はそれなりにしていたものの、残念でなりません。私との関係で言うと、父の姉の夫にあたりました。夫婦で蓼科に小さな山荘を持っていまして、林の中の別荘地にあり、少し登ったところに温泉がある位で、観光用の目玉はないのですが、静かでとても良いところです。子供の頃、何度か行ったことがあり、自分に子供が出来てからも1~2度行ったように記憶しています。その別荘地の道路から山荘(といってもようは普通の家なのですが)へのアプローチが、1987年に放送された山田太一作のTVドラマ「今朝の秋」で、笠智衆演ずる年老いた父が住む蓼科の家のそれに雰囲気がよく似ているのです。このドラマは、ガンで余命いくばくもない杉浦直樹演ずる中年の息子が、見舞いに来た父と病院を抜け出して蓼科の家に行き、最後を迎えるというお話しです。出演は他に、発病が分かる前に離婚を切り出していた妻に倍賞美津子、男を作って飛び出した母に杉村春子などの豪華キャストです。杉浦直樹の病気を機に皆が寄って、最後に蓼科の家で夕飯を食べたり、ピンキーとキラーズ「恋の季節」(私が中学生の頃のヒット曲!)を歌ったりして、夏の夜のひと時(団欒)を過ごして、物語りは終りへ向かいます。筋はもちろんありますが、どうという程のことない。でも、このメンバーが山田太一の台詞を喋ると、特に笠智衆と杉浦直樹、笠智衆と杉村春子とのからみなど、最高です。安直な表現で恐縮ですが、山田太一は小津安二郎の系列を受け継ぐ一人なのだと、納得することしきりです。話しがドラマの説明の方へいってしまいましたが、昔見たTVが、最後の近くなったおじと、ガンと蓼科という共通項で結びついて、一ヶ月程前に急に思い出されたのでした。新潮文庫で出ている「今朝の秋」と題された脚本集には、山田太一が後書きを、深町幸男が解説を書いています。その後書きで知ったことですが、笠智衆が蓼科に別荘を持っていて夏を過ごしていたことから、このドラマの舞台が蓼科になったそうです。