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CACAO通信パート2

食べ物、思い出、その他、不定期に更新しています。
また、母校の県立生田高校3期生の連絡も。

今朝の秋/山田太一

2008年06月01日 | 本と雑誌

先日、山田太一のTVドラマ「本当と嘘とテキーラ」が放送されました。録画したものを今日見たのですが、キャストも良く、なるほどと思う台詞もあったものの、昔からのファンが期待する程ではなかったよな?!というのが正直なところです。どうしても求める物が大きくなりすぎるというのはあるのでしょうけれど・・・。

先週末、小学校入学から20代半ばまで、川崎の実家で同居していたおじが亡くなりました。ガンで、1ヶ月位前からはケア病棟いわゆるホスピスに入っており、覚悟はそれなりにしていたものの、残念でなりません。私との関係で言うと、父の姉の夫にあたりました。夫婦で蓼科に小さな山荘を持っていまして、林の中の別荘地にあり、少し登ったところに温泉がある位で、観光用の目玉はないのですが、静かでとても良いところです。子供の頃、何度か行ったことがあり、自分に子供が出来てからも1~2度行ったように記憶しています。その別荘地の道路から山荘(といってもようは普通の家なのですが)へのアプローチが、1987年に放送された山田太一作のTVドラマ「今朝の秋」で、笠智衆演ずる年老いた父が住む蓼科の家のそれに雰囲気がよく似ているのです。このドラマは、ガンで余命いくばくもない杉浦直樹演ずる中年の息子が、見舞いに来た父と病院を抜け出して蓼科の家に行き、最後を迎えるというお話しです。出演は他に、発病が分かる前に離婚を切り出していた妻に倍賞美津子、男を作って飛び出した母に杉村春子などの豪華キャストです。杉浦直樹の病気を機に皆が寄って、最後に蓼科の家で夕飯を食べたり、ピンキーとキラーズ「恋の季節」(私が中学生の頃のヒット曲!)を歌ったりして、夏の夜のひと時(団欒)を過ごして、物語りは終りへ向かいます。筋はもちろんありますが、どうという程のことない。でも、このメンバーが山田太一の台詞を喋ると、特に笠智衆と杉浦直樹、笠智衆と杉村春子とのからみなど、最高です。安直な表現で恐縮ですが、山田太一は小津安二郎の系列を受け継ぐ一人なのだと、納得することしきりです。話しがドラマの説明の方へいってしまいましたが、昔見たTVが、最後の近くなったおじと、ガンと蓼科という共通項で結びついて、一ヶ月程前に急に思い出されたのでした。新潮文庫で出ている「今朝の秋」と題された脚本集には、山田太一が後書きを、深町幸男が解説を書いています。その後書きで知ったことですが、笠智衆が蓼科に別荘を持っていて夏を過ごしていたことから、このドラマの舞台が蓼科になったそうです。


サライ落語特集

2008年05月17日 | 本と雑誌

雑誌「サライ」の2008年6月5日号は、落語特集の3回目です。よっぽどこれまでの2回が好評だったんでしょうね。今回は、「五代目柳家小さんのすべて」と「自宅に噺家を呼ぶ」です。小さんは、我々の世代だと、永谷園のインスタント味噌汁「あさげ」のCMで顔馴染みですね。弟子などによる人となりなどについての話がけっこう多く、興味深いものの、当然ほめ言葉しかないので、ちょっと読み飽きする感じは否めません。どこでどうしたとか、どんなものを食べたとかとかという記事の部分の方が、より雄弁なようです。付録のCDは、小さんの「時蕎麦」「粗忽長屋」「狸賽」の3題です。これだけでも750円の価値はあるかも。解説によると「時蕎麦」では、最初の細くてうまい蕎麦と後の太くて不味い蕎麦を食べ分けてるということです。まだ1回しか聞いてないのでその差異までは分かりませんが、寄席で聞いた客が蕎麦屋へ寄って帰ったというのが分かるような音(!)でありました。

さて今日、図書館に行った所、買うかどうか迷って結局買わなかった前回の落語特集のサライがあったので、借りてきました。なんとCDも貸してもらえました。そう考えると、買わずに図書館でCDごと借りた方が、安上がり!?それはとにかく、落語ブームの間にどんどん落語特集を出してもらいたいものです(笑)

CDやネットの「落語の蔵」などを利用して、そろそろひいきの落語家を見つけてみたいですね。


The Alchemist

2008年05月10日 | 本と雑誌

ポルトガル語の勉強のため現在読んでいるパウロ コエーリョの「アルケミスト」ですが、参考にしているのは英語版から日本語に翻訳した角川文庫版です。多少表現が異なっているところはもちろんありますが、当然同じ内容でとても役に立っています。でも細部でどうも明らかに違うと思えることがあり、気になっていました。以前も書きましたが、例えば原文に「起き上がってワインをひと口飲んだ」とあるのに、日本語訳にはワインのことは何も触れられていない。同様に、葡日辞書によると「ポップコーン売り」ある語に、「パン屋」という訳がついている、といった具合です。そこで、amazonで日本語版の元となった英語版を購入することにしました。ペーパーバックがありました。早速照らし合わせてみると、ポルトガル語版にあるワインの件は、英語版ではワインという単語すらありません。また、ポップコーン売りとある部分には、「ベーカリー」とありました。その他、ポルトガル語版と日本語版を比べて、言い回し等で「?」と思った時に英語版を見てみると、「なるほど」と思わされる納得の結果となっています。日本語版の解説によると、英語版は著者自身ともう一人が協力して英訳したとあります。今のところストーリーや内容に深く関わるような差異はないので、どうということはないのですが、違いに触れるのはおもしろいです。何か興味深い違いがあったら、ご紹介したいと思います。

NHKの音楽番組「FMトワイライト」(午後6時)の金曜日のパーソナリティーに、ブラジル人の母を持つ隼人加織が起用されました。日本育ちですが、母親仕込みでポルトガル語がしゃべれ、歌も歌っています。日本語にポルトガル語を交え、ブラジル音楽やイベント情報もあり、なかなか興味深い内容です。気のせいか、聞き取りやすいポルトガル語という感じがします。


はしることについて語るときに僕の語ること/村上春樹

2008年02月16日 | 本と雑誌

人気作家村上春樹が、タイトル通り「自分が走ること」について語った本です。彼は、ほとんど毎日ジョギングし、毎年最低1回はフルマラソンを走り、他にも長短様々なレースに参加して、20数年間途切れなく走り続けてきたそうです。放っておくと肉がついてくる体質であることをふまえ、専業小説家として体調を維持するために走ろうとしたのだそうです。また、走ることは相手や特定の場所や特別の道具がいらないというメリットも感じたようです。でもなにより、自分に合っていたようだと言っています。そして

僕はランニングをまわりの誰かに勧めたことは一度も無い。「走るのは素晴らしいことだから、みんなで走りましょう」みたいなことは、極力口にするまいと思っている。(66頁)

と書いています。つまり興味のある人は走るだろうし、興味が無い人にはいくら勧めても無駄だと考えているようです。なるほどね、と思わされます。この引用の後に、引退して間の無い瀬古利彦にインタビューした時に、瀬古レベルでも走りたくない時がありますか?と聞いているところがあり、ちょっと笑えて、かなりホッとする部分があります。

瀬古さんは文字通り目をむいた。そして<なんちゅう馬鹿な質問をするんだ>という声で、「当たり前じゃないですか。そんなのしょっちゅうですよ!」と言った。(68頁)

ちょっと話しがそれましたが、当初の理由は体調維持だったようですが、走ることを続けるうちに、作家として、また一人の人間として生きていく上で得ることがあったようです。

僕は小説を書くことについての多くを、道路を走ることから学んできた。自然に、フィジカルに、そして実務的に。(113頁)

走っている人に向かって、そうまでして長生きをしたいのかね、と嘲笑的にいう人に対しては、

同じ十年でも、ぼんやり生きる十年よりは、しっかりと目的を持って、生き生きと生きる十年の方が当然のことながら遥かに好ましいし、走ることは確実にそれを助けてくれると僕は考えている。(115頁)

と答えています。そして、マラソンの記録が伸びないとか、これまでは無かった途中で足が重くなったりということの中に、忍び寄る「老い」を感じ始めています。しかし今後どうなっていくかわからないが、可能な限りは続けていきたいと思っているようです。そして、墓碑銘に

村上春樹 作家(そしてランナー) 1949-20** 少なくとも最後まで歩かなかった(233頁)

と刻んでもらいたいと書いて、本を終えています。また、ギリシアのアテネからマラトンまでのオリジナルのマラソンコースを逆に走った話し、サロマ湖100キロウルトラマラソン参加の話し、トライアスロンに参加した時の話しなど、読み物としておもしろく読める部分もあります。村上春樹の作品を読んだことがなくても、多少なりとも走ることの好きな人、興味のある人にはおもしろく読んでいただけるのではないでしょうか。

au携帯のアプリで、GPSなどを使って走った距離やカロリーなどPCで管理出来るものが発表になりました。まぁ、週1~2回走るか歩く程度の私のような人間にはどうかとも思うのですが、向こう1年間は会費無料なので、ちょっとやってみようと思っています。また、良かったらご報告します。ちなみに、au Smart Sports Run & Walk というものです。


もうひとつの「ニッケイ」新聞

2008年02月03日 | 本と雑誌

日本で「ニッケイ」と言えば、「日本経済新聞」のことですが、ブラジルについて調べるうちに、うひとつの「ニッケイ」新聞を見つけました。ホームのページの説明によると、「ブラジル国サンパウロ州サンパウロ市で発行されている、移住者や日系人・駐在員向けの日本語新聞です」。日本語です。構成は、「トップニュース」、「日系社会ニュース」、「ブラジル国内ニュース」、その他コラムなどです。目に付いたものしか読んでいないのですが、日系社会の様子が多少なりとも分かって興味深いです。例えば、日系人のための全ての県の県人会があり、その会長の選出が大きなニュースになったり、行事の報告があったりして、大きな力を持っていることが分かります。記者が日本人家族を訪問した連載記事を読むと、日系人(日本人)の国に対する意識が少しだけ分かりました。例えば、ブラジル人で生まれたブラジル人との血が混ざっていない日系人は、自分達をブラジル生まれの日本人だと思っていて、日系人では無いと思っているとか。ブラジル国内ニュースでは、ブラジルでの殺人事件は、人口当たりの数でいうと日本の10倍とか。

数少ない読んだ記事の中で印象に残っているのは、コラムで見た一節『食事後、「ごちそうさまでした」と知人の母親に言うと、「お粗末さまでした」と控えめに返してくれた。母親のこうした謙遜した日本的な返答に思わず驚いた。日本における記者の周囲にこうしたやりとりがなかったからである。』というくだりで、先の県人会の結束の強さなどと相俟って、移民して厳しい環境の中生き抜いた一世の人達や、母国から離れてある意味頑なに守られてきた古き時代の言葉遣いや風習を見ることが出来ます。