CACAO通信パート2

食べ物、思い出、その他、不定期に更新しています。
また、母校の県立生田高校3期生の連絡も。

舞姫通信/重松清

2005年10月30日 | 本と雑誌
正直、途中で読むのを止めようかと思いました。自殺を主題にということで、かなり期待するところがあったのですが。評価の賛否というか好き嫌いが分かれるのではという感じがしました。主人公と兄の恋人との間がくどいとか、タレントデビューする(?)城の描き方が物足りなくて中途半端、舞姫通信もワンパターンで迫るものがないなどなど。個人的には、がっかりでした。


リアルワールド/桐野夏生

2005年10月23日 | 本と雑誌
母親を殺して逃げる男子高校生と、彼にかかわる女子高校生グループ、それぞれが友人について、自分について、過去について語るというお話。高校生の気持ちを描けているかどうか(なんと著者49歳で初出)、正直よく分かりませんが、それはそれとして、興味深く読めました。自らを守るために、過剰適応してしまう女子高生達。切なく哀しいです。ただ、逃げるミミズが旧日本兵ぽくなるところは、まったく「?」でした。あと、結末も、う~ん?!て感じですかね。最後まで書き切らなくてもよかったのでは?と思いました。自分にとっては、[OUT」に次ぐおもしろさでした。しかし、著者の描く人間が生きていく上での暗い面は、不思議な魅力があります。読んでると、つられて変に落ち込むんですけどね(笑)。最後に、印象的だった一節を。「私は母への不信を何とか覆い隠して、母を信じ、愛そうとしている。だが、それは破綻するかもしれない。なぜなら、私は信じられない者を愛している自分を信じられなくなってきているのだから。」テラウチは、これが親の子供への虐待だと言うのでした。。。。


となり町戦争/三崎亜紀

2005年10月08日 | 本と雑誌
評価というか、好き嫌いというか、はっきり分かれる小説ではないでしょうか!?アマゾンの読者のコメントも数が多くて、とても全部読む気にならない位。淡々と描かれる日常の生活と、現実感のないとなり町との戦争のからみが、シュールな印象です。戦争の話と読む読み方と、自分と世の中の出来事との関係を描くための比喩と読む読み方と、どちらも可能なんだと思います。後者の方が哲学的で納得しやすいような気もしますが、あえて前者の方が良いと私は思いました。アマゾン風にいうと、新人ということで甘めにして、星4つですかね。


この社会の歪みについて/野田正彰

2005年10月02日 | 本と雑誌
中日新聞の書評を見て、買いました。表題の通り、いろいろな社会現象について分析しています。結構難しいというか、よく分からない部分も多いのですが、いくつか気になった部分がありました。「キレる」というのはガス抜きなんだ、いい子を装ってきた子供が我慢出来なくなったら「キレ」ていいんだ、という発想。時代のファッションなんだと言っています。その前には、(こちらの方がもっと気になりましたが)・・・周囲の雰囲気に合わせて生きている子供は、さまざまに違った考えがあるということが想像出来ない。いつも自分は損をしている、自分だけが我慢している。思いやりのない人に対して、我慢していると思っている。・・・どうですか?思い当たりませんか?この部分を読んで、ゲッと思いましたね。自分のことじゃん、と。他には、ドイツやオーストリアでは、圧倒的に疲れない生活をしてる、毎日ゆっくり生きている。私たちの社会は疲れきっている。学力低下については、子供は国家のためにあるんじゃない、と言っています。最後に、・・・もともと、子供を育てるのは、子供自身以上に、大人の楽しみだったんです。子供と付き合うことは、そこから生命のすばらしさを感じとり、それから、子供が成長していくということに驚き、そして、可能性が広がっていくことに感動することだったんです。・・・ほんとに小さなことから喜びを得られる人々は、死とか、人生の衰退のサイクルを、自然に受け入れられる人々なんだと思います。・・・
引用が長くなりましたが、我慢の部分と、最後の部分に強く感じ、他はいまいちよく分からないところも多かったですが、良かったと思いました。他の人との違いを認識し、他の人の幸せを感じ、議論し、ちいさなことに幸せを見いだそう、ということになるのですが、確かにちいさな幸せは生きていく力なのではないかと思います。