CACAO通信パート2

食べ物、思い出、その他、不定期に更新しています。
また、母校の県立生田高校3期生の連絡も。

「老い方」指南

2011年10月02日 | 本と雑誌

今朝の中日新聞で目を引いたのが、図書コーナーのこのタイトル。同居する義父や、実家にいる両親、叔母共に80歳を越える親世代を見るにつけて、正直年を取るのが怖いです。いろいろな要素がありますが、老い、病による体、脳力(記憶力とか思考力、判断力)の低下、そしてそこから起きる様々なストレスや諦めや・・・。もうずっと、長寿国とか言われて久しい訳ですが、長生きが幸せかと言われると、疑問です。誤解の無いように書いておくと、別に、義父や両親、叔母がどうこうと言うわけではないのです。それぞれが出来る範囲で、それなりの老いを生きています。幸い、足などにやや不自由があったり、年相応に記憶力とか落ちていると思いますが、元気です。そうは言っても、彼らはやはり老いていて、それは紛れもなく私の25年後の姿なのです(生きていればですが)。その、老いてなお生き続けるということの、重さ。その予感がもたらす、不安。病気にならず、年齢の割りに元気で生きれば、それでいいのか。そこそこ幸せなのか。さらに、病気などになって、家族や他人の世話を受けながら生きることへの不安。そこでの生きる意義とか意味とかいうつもりはありません。今だって、そんなものがあるとは思えない。小さな幸せや充実感をエネルギーに、日々暮らしているのです。そんな中、こんなタイトルを見れば、気にならないわけがありません。で、このコラムのおすすめは、曽野綾子の「老い方指南」。老いにどう向き合うか書いてあるそうです。早速、amazonで頼みました(中古ですが)。私の不安に答えてくれるとは思えませんが、何かヒントになるかもしれません。読んだ様子で、また感想など書けるかもしれません。


サクリファイス/近藤史恵 など

2010年10月03日 | 本と雑誌

自転車のロードレースチームのプロチームに所属する若者を主人公としたミステリです。内容については書かないのが、特にこの手の本の紹介の場合のお約束だと思うので、書きません(笑)。ミステリとしての質も高いのですが(ようです)、今回取り上げたのは、自転車ロードレースというもののイロハが、この小説を読むことで楽しく(!)理解出来るからなのです。自転車競技、特にロードレースは、日本ではマイナーなスポーツと言っていいと思います。かくいう私も、今年のツール ド フランスまでは、まったくと言っていいほど無関心でした。中学以来の自転車熱再燃(笑)で、ツール ド フランスを見ました(と言ってもNHKのダイジェスト版ですが)。ちょっと見るとなんとなくは分かるのですが、優勝するのは個人ですが、戦いはチーム単位なのです。チームのエースを優勝させるために、チームの他の選手はあの手この手で、エースをサポートするのです。前を走って風除けになったり、パンクした場合は自分のホイール(タイヤ)を差し出しだしたりといったことから、全体のペースのコントロールといったことまで。実に複雑です。その究極の形が、この小説の題材になっています(おっとヒントになってしまったでしょうか!?)。文庫が出ていますので、自転車に興味のある方、ミステリの好きな方は、一度手にされてはいかがでしょうか。

セリーグは、中日が優勝しました。名古屋だけでなく、三重でも優勝セールが開催されています。で、J1は、グランパスが独走です。この時期勝ち点を重ねています。この調子でいくと、このままリーグ優勝?!という気さえします。とすると、今年は名古屋イヤーということになりそうです。妻や義父が応援しているので中日はまぁいいのですが、私がフロンターレを応援してるJの方はなんとか阻止して欲しいものです。もっとも、フロンターレ以外なら、グランパスでも(笑)いいのですが。それにしても、最近はチームによってスケジュールの大変さの差が大きいですね。例えばナビスコカップで勝ち上がっていくと、中2日で試合があったりという具合で、ある意味強いからの勲章ともいえますが、どっちつかずになるのも困りますよね。

畑の方は、来週の苺の苗植え付けに向けて、昨日牛糞や肥料をすき込んで畝を作りました。楽しみです。今日はバジルの葉を摘んで、バジルペーストを作りました。今年は種を蒔いたのが遅かったので、1回目の収穫がこの時期となってしまいました。それはそうと、バジルが多年草とは知りませんでした。ただ、日本では寒さで枯れてしまうのだそうです。毎年寒くなると抜いていたのですが、今年は放っておいて、越年しないか見てみようと思っています。


邪悪なものの鎮め方/内田樹

2010年05月04日 | 本と雑誌

私が、そのブログやツイッターにはまっている内田先生の著書。といっても、そのブログからの抜粋です。じゃブログを読めばいいじゃんということなのですが、テーマごとにまとめてあって、なかなかよいのです。とりあえず一回目読んで、次は鉛筆片手で読もうと思っています。で、早速抜粋を。一番興味深かったのは、「家族に必要なだたひとつの条件」(2008.03.05)。
家族の条件というのは家族の儀礼を守ること、それだけである。/朝起きたら「おはようございます」と言い、誰かが出かけるときは「いってきます」(中略)~家族の儀礼のそれが全部である。それが出来れば愛も理解も要らない。/家族と言ったって、ほんとのところは「よくわからない人」である。とりあえずわかっているのは、「この人もまた私同様に家族の儀礼を守る人だ」ということだけである。/それを愛だの理解だの思いやりだのとよけいな条件を加算するから維持することが困難になってしまったのである。/家族は「ひとりでは生きられない」弱者が生き延びるための装置である。
家族に愛や理解を求めるのは、中華料理屋にクラブハウスサンドイッチが無いと文句を言うようなものだと、内田先生は例えています。秀逸ですね(笑)詳しくはブログをご覧下さい。

筒井ともみ「舌の記憶」。ブックオフで買って、すぐに読みかけた時はぴんとこなくて放ってあったのですが、先日手に取り、楽しく読みました。その名の通り、子供の頃に食べたあれこれと、それにまつわる家族の記憶について書かれています。1948(昭和23)年生まれということで、戦後に子供時代を過ごした方です。私と7つ違いですが、時代の雰囲気には共感出来ます。端的に言って、向田邦子のエッセイの世界に、吉本ばななのTUGUMIが登場したような感じと申しましょうか。通常では、著者の名前さえ知ることはなかったかもしれません。こんな出会いがあるから、古本屋(古いね!)めぐりは止められません。

ツイッターの紹介ページで知り、Youtubeで歌を聴いて、良いと思ったのが、中川あゆみ。事実だけを歌うという、小説で言えば私小説のような歌だけを歌うということで売り出した13歳のシンガーです。両親に捨てられ、祖父母の養女となった過去を歌った曲がCDデビュー作となっています。不幸を売り物にしているという声もあるとようですが、要はどういう歌を歌っていけるかどうかということで、不幸だけを売り物にして長く続くわけがなく、その辺は時間が経てば明らかになることでしょう。とりあえずは、今その曲が琴線に触れるかどうかのはずです。


落語的ガチンコ人生/立川談四楼

2010年01月23日 | 本と雑誌

これも私の実家近くのブック オフにおいて105円也で購入した本。ある程度のボリュームのある店舗だと、へ~!こんな本があったのか?と思うような出会いがあり、単に安いというだけでないおもしろさがあります。また、定価だったら買わないけど、105円なら外しても缶コーヒー1本分だしというのもあり、手が出しやすいのです。肝心の中身ですが、自称落語も出来る作家(ほんとは小説も書く落語家!?)の著者が、専修大学の教授に頼まれて1年間受け持った大学での講義を元に、読んでおもしろいように、読みやすいように手をいれたものです。その講義が行われていたのが、私の実家から近い生田校舎だったのです。小田急線の向ヶ丘遊園駅の名前も登場し、懐かしかったです。講義の内容は、「立川流誕生」「落語界死人列伝その1、その2」「さんま、釣瓶、紳介」「談志の真髄」など、現代の落語を全く知らない学生に興味を持たせつつ、自分の考えも伝えるという、なかなか難しい問題に果敢に挑戦しています。最初は苦戦しているのですが、第四限の「立川流誕生」あたりから調子が出てきたようで、興味深い話しが聞けます(読めます)。落語界に詳しい方には、ご存知な話しばかりだと思うのですが、ほとんど知らない私にはちょうど良く、元が講義ということで、テンポが良く、読みやすいです。「死人列伝」は、酒に飲まれて死んだ落語家の話しといった方がいい感じで、語られる内容は壮絶です。禁酒させられて、ヘアトニック1本飲んじゃったっていう落語家の逸話は、すごいですよね。それにしても、講義のあった専修大学の最寄り駅の古本屋で見かけたというのも、縁でしょう。

最近次男のエレキギターに触っていることは書きましたが、ふと10代の頃に見に行ったことのある成毛滋についてネットで検索してみました。色々なことが分かっておもしろかったのですが、(登場が早すぎて、)レコード会社が商品にならないと判断して商品にせず、音源としてほとんど保存されていないこと、その後Dr.シーゲルと名乗ってギター講座のようなことをしていたことなどを新たに知りました。そこから、私が日比谷の野外音楽堂で聞いた時のフライド エッグというバンドで、ベースを弾いていた高中正義についても調べてみたくなりました。高中といえば、サディスティック ミカ バンドのギタリストとしても有名ですが、私にはアルバム「虹伝説」が印象的です。このブログに書き込みをしてくれたこともあるmitoneさんがかつて貸してくれたのですが、その素晴らしさにはとにかく圧倒されました。ちょっと気味の悪い、でも色遣いの美しい絵本が元となっているそうですが、音楽だけ聴いてもすごいです。You Tubeで「高中正義 虹伝説」と検索すると、ステージでの様子を見ることが出来ますので、是非ご覧下さい。高中の見た目は、町で見かけたら避けて通りそうなちょっとあぶないあんちゃん風ですが(笑)、弾いてるギターも虹色にしてあって、その辺もおもしろいですよ。改めてCD買いたくなっちゃいましたね。

いよいよ花粉症の季節がくるようです。私には既に予兆が見られ、先週耳鼻咽喉科へ行って、薬をもらってきました。まぁしょうがないとはいえ、外に泌尿器科へも通っており、いよいよ通院自慢をする年齢になってきた感じです。

〔追記〕ギタリストと言えば忘れられない人が他にもたくさんいますが、「ブラック マジック ウーマン」のヒットで知られるサンタナのカルロス サンタナもその一人です。「(哀愁の)ヨーロッパ」なんて、泣けてきますね。「泣く」のは演歌だけじゃないぜ!みたいな。これもYou Tubeでご覧あれ!ちなみに、その時に「Girl guitarist plays Santana」というのが出てくると思うので、これも男子は必見です。若い女性がサンタナの曲を演奏しているのですが、ラテン系の顔立ち、長い髪、豊かな胸、そしてなかなかの演奏。耳は演奏を、目はネックの上の指の動きと彼女を行き来して、ハッピーなひと時となるでしょう(なんのこっちゃ)。


美味礼賛/海老沢泰久

2009年08月19日 | 本と雑誌

この本の著者、海老沢泰久の訃報を先日新聞で見ました。「F1地上の夢」「帰郷」と言った作品で受賞されています。ですが私にとっては、この辻静雄の半生を描いた作品の著者でした。話は、大阪の新聞記者をしていた辻が、ひょんなことから妻となる明子と知り合い、岳父の料理学校を継いで、日本トップの調理師学校を作っていくところから始まり、東京国立に、調理師免許取得のため衛生の関する勉強や和洋中製菓のすべての勉強・実習と言うこれまでの調理師学校の足かせ(!?)を取り払った、西洋料理なら西洋料理だけを学ぶという画期的な学校を作ったところで終わります。手元にある文春文庫の裏表紙にあるように、「彼以前は西洋料理だった。彼がほんもののフランス料理をもたらした」人物だったのです。料理についてはまったくの素人だった彼は、フランス料理を学ぶのに、いきなり当時のフランスの3ッ星レストランのトップ「ピラミッド」へ行って、まず舌の記憶を見につけるところから始めたのでした。いきなり「ヴレ ド ヴレ」(本物の中の本物)を相手にしたわけですが、しかしその姿勢は生涯貫かれることになります。さて、辻は私が大きく影響を受けた人物の一人で、その自著や監修する本に出会わなければ、おそらく料理に関係する仕事を目指そうとはしなかったと思います。辻について書くとキリがないのでやめますが、この本と、開高健の「最後の晩餐」の中にある辻調理師学校での食事の模様を読めば、何故そしてどのように辻という男がすごかったか、単にフランス料理の研究家としてだけでなく、一人の人間としてその生き様が興味を引くかお分かりいただけることと思います。とにかく、この本はおもしろい!!何度読み返したか知れません。小説としても、とてもおもしろいのです。著者は、辻自身についてもそうですが、料理特にフランス料理に関して、さぞやいろいろと調べたのだろうと推測されます。その辺りも実にしっかりとしています。きっと他の著書も同様、あるいはそれ以上の内容を持ったものであるに違いありません。是非、読んでみたいものです。ちなみに年齢は私より5歳年上で、享年59歳でした。