「パリ 食いしんぼう留学記 ル・コルドンブルーの日々」が元になっている文庫本です。会社員時代にコルドンブルー東京校に通い、その後フランスへ渡って、パリの本校へ入学。全コースを終了。さらにアシスタントを務める。帰国して大阪で、自身の料理や菓子の教室を開く。というのが、著者の略歴です。そのフランス本校での生活振りが生き生きと描かれています。フランスの地方の料理や菓子を好むあたり私と趣味が一致するところがありますが、食べ歩きなどについては、まぁありがちな内容でした。おもしろかったのは、コルドンブルーのシェフというか教授達の個性あふれる姿です。実にうまく書かれていて、ちょっと他にない内容です。料理の味には厳しいものの、ユーモラスで人間味あふれる姿はとても魅力的です。是非ご一読をおすすめします。
夏休みということで読書感想文の季節とはいえ、少女文学の名作と53歳のおじさんという取り合わせは、かなり奇異かもしれません。実はこれまた、茂木大先生の影響なのであります。中学時代赤毛のアンシリーズを読破、原書でも読み、舞台となったプリンスエドワード島にも2度行ったと、最近になって「カミングアウトした」のでした。またふっきれたかのように、対談などを積極的に行っています。茂木ファンとしては、いくら世界的なヒット作とはいえ、いわゆる少女文学の何が彼の心をとらえたか、そして何故今語り始めたのか、気になるところとなったと言うわけです。
この本も著名な本なので詳細は省きますが、ストーリーの展開はなかなか良く出来ていて、奇異なところは無く、予想の範囲内のお話しの展開という感じです。その魅力はひとえに、アンのキャラクターと言えると思います。そしてその彼女の言動が、周りの大人達の、さらには読者の心を捉えて、何とも温かな気持ちで満たしてくれます。さらに、人生のその時その時を味わい、感謝して生きていくことが、人が幸せに生きるということなのだと教えてくれます。こういうことは、ストレートにもっともらしく説教されると、なるほどと思いながらもその場で消えてしまうのですが、こういった物語で感じるとじわ~と残って、なんともいいものです。続編を読むか、他の訳を読んでみるのか(今回は村岡花子訳)分かりませんが、また触れてみたい作品でした。
さて、北京オリンピックが始まりました。時差もほとんど無く、テレビから離れることが出来そうにありません。マスコミの楽観的な予想ほどメダルが取れるとは思いませんが、それぞれの選手が大変な大舞台でベストを尽くせることを祈ってやみません。特に、男女サッカーや栗原恵の出る女子バレーなど、健闘を期待したいです。あと、女子陸上ですね。
「英語ができたらカッコイイ」を出発点に様々なコースをたどった女性達。外資系企業の秘書。ハーバードのMBA獲得者。ニューヨークに語学留学し、帰らない人。国際結婚。自由に華やかに見える彼女たちの生活の実態と本音を、自らも留学体験のある筆者が鋭く取材し、働く女性にとって英語がどのような武器になるかを考える。(文庫本カバーより)
内容は、上記の通りです。文庫の出版が1993年、取材は87年頃と思われます。20年程経った現在と、英語が出来る女性を取り巻く状況は、若干の変化や例外が増えているにしても、根本的にはそう大きく変わっていないのではないか?という気がしました。英語が出来るだけでは駄目で、仕事が出来る、専門を持っていないと、女性がその英語の能力を生かして働いていくには難しいようです。そうでないと、ただの便利に使われるだけなのだとか。だから、英語が出来ることは必要だけど、前面に打ち出さず、「も出来る」といった売込みがよいようです。また、英語以外にもう1ヶ国語、それも出来たらこれから発展していくであろう国で使われる言葉も出来るとさらによいようです。タイ、中国、ポルトガル語とか。興味深かったのは、結婚を機に退職し、出産後再就職をしようという時には、英語はなかなか強力な武器になるという部分です。「英語は主婦の味方です」という最終章で、自宅で英語を教えるとか、塾や非常勤の英語教師などの道があるとしています。「へ~」という感じでした。英語というか英会話業界花盛り、語学留学も多いようですが、なんとなく英語をやっとけばかっこいいし何かの役に立つだろうと考える女性必読の書だと思いました。
ブックオフで見かけて、懐かしさで思わず買っていました。小説の方を読むのは、多分始めてです。TVドラマは1977年放送だったようで、そうすると22歳の時なのですが、あまりちゃんと見た覚えがありません。ジャニス イアンの歌を使ったテーマはよく覚えているのですが。話は、ありふれた4人家族のそれぞれに起こる事件によって崩壊が始まり、最後には台風による川の増水により、父親が最後の心の拠り所としていた家までが流されてしまうという結末です。いかにも山田太一という風な、やけに饒舌に語る登場人物の台詞が特徴で、妙に理屈っぽく、一応他の登場人物に向けられているのですが、実は作者が読者(視聴者)に問いかけているという構造なわけで、ファンにはたまらない魅力となっています。最近の山田太一ドラマは、たとえば先日の「本当と嘘とテキーラ」などもそれなりにおもしろくはあるのですが(二回目に見た方が良かった)、このころのパワーはやはり感じられないわけで、当時を懐かしく回想してしまいます。
この話しが忘れられないのは、もうひとつ別の理由もあって、それはクライマックスとなる家が多摩川の増水によって流されてしまうという事件が、1974年に私の実家のある登戸の対岸の和泉多摩川で起きていたからなのです。話の中にも出てきますが、台風が来て増水し、雨風が峠を越えてからの多摩川の様子を、皆結構見物に行っていたのです。私も小学校時代からの悪友と、川の増水の具合を見に行った覚えがあります。実際に家が流されたのは、そのもう少しあとだったようです。現場でその様子は見ておらず、TVのニュースで見ることになりました。
田宮二郎が主演した「高原へいらっしゃい」や、田中裕子、古手川祐子、森昌子のキャストが光った「思い出づくり」、サザンのいとしのエリーがかかるとオープニングの映像が浮かんでくる「ふぞろいの林檎たち」など、きっと今でも色あせていないだろう作品がいくつもあります。なんとかしてもう一度見てみたいものです。
著者は、「40歳でイギリスで西洋史勉学の思い断ちがたく、留学のため英語を再勉強。43歳でユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで大学院に合格。44歳修士号取得」、という方です。それまではサラリーマンを経て独立しコピィライターをしていて、英語は特別に勉強したりしていなかったそうです。そんな普通の中年のおじさんが、3年間でイギリスの大学院に入学出来る英語力を身に付けた、そのノウハウが書かれているわけです。たまたま実家の近くのブックオフで手に入れたのですが、時々このブログでも触れるわが語学の師匠猪浦先生の語学習得のノウハウと共通するところもあり、興味深く読みました。
目次を使って、興味を引いたところを紹介してみたいと思います。まず根本的な考え方について。「RとLの違いにこだわる愚」「癖があっても堂々と話すアラブ人、インド人を見習うべし!」これは発音にこだわりすぎるという思い込みをついています。「日本人には英語を読む能力、書く力こそ有益だ」「読んでいれば、いつでも会話はスタンバイ」会話を勉強するのではなく、まず読み書きを勉強すること。必要ならばその次のステップとして、会話は考えればいいという考え方です。「僕が英語をやった本当の理由、やりたいことをやって食べられる道を探そう」猪浦先生の語学で身を立てるとはちょっとニュアンスが違いますが、好きなことをして生きる方法を考えるというのはいいですよね。「日常会話ぐらい話せるようには目的か?」「英語で語るべき専門分野、得意分野を持て」ますますいい感じです。
次は、学習法・教材について。「日本語の新聞を読んでから英字紙を読め」「時事英語は背景とともに学ばないと意味がない」まさにこれですね。一緒に買った「通訳の現場から/柘原誠子」にありましたが、通訳の方は英語が出来ればいいというだけでなく資料の勉強がすごく大切で、たいへんなのだそうです。「ラジオ英会話は、極上の廉価定食である」「録音して好きな時間に聞くのが習慣化のコツ」電車の中で聞き流すのではなく、テキストを見、声に出すことが大事で、それが出来る環境でしなくてはだめ、とも書いてありました。私はこれでイタリア語をしくじりました(苦笑)。ヒヤリングの練習にはなるでしょうけど、勉強の方法としてはテキストも見ず、ただ聞き流すのはダメです。「ディズニーアニメが堂々たる大人の教材である理由」(スチュワーデスの奥様のお子様向けのお土産のアメリカ版で、字幕も無いものを使ったそうです。)エンターテイメントとしての完成度が高くおもしろい。台詞がゆっくりでセンテンスも短い。スラングはほとんどない、などの理由から、ヒヤリングの練習によいとのことです。
どうでしょうか、この「飲酒は20歳になってから」のパクリというさすがコピィライターというタイトルの本は?もしどこかで見かけたら、手にとってみてください。もちろん、40歳を過ぎていなくても、あるいは随分前に過ぎてしまっていても、英語だけでなく語学を勉強している方には参考になると思います。