著者は、かつて「わが師」として紹介した故辻静雄の息子で、現在辻調グループ校校長であります。7歳頃からフランス料理史にその名が残る名店へ大人と一緒に連れていかれ、3~5時間フランス料理を食べるという日々を何日もくり返したとか、13歳で渡英、米国で文学士号を取得とか、とにかく料理でもそれ以外でも、エリートコースを歩いた人なのです。その後、父が早くに亡くなり、調理師学校の校長としての直接の修行はする間も無く辻調グループのトップに立つことになりました。この本は、フランスのトップシェフを中心に世界の6人の調理人について取材した内容が書かれています。はっきり言ってすごいと思うのですが、それ程感動というか驚きはありませんでした。というのも、もちろん細かく見れば新たな内容や、専門家ならではの解説や分析はあると思うのですが、シェフやレストランの名前、料理、ポリシィなどの情報ということからいうと、今やそれらの店については十分過ぎるほど流布しているからです。本はもとより、グーグルなどインターネットで調べれば、そこへいった人の生の感想さえ入手することが出来ます(もちろん玉石混交、いやほとんど石ころだらけというべきでしょうが・・・)。で思うのは、静雄が今の時代に生きていたら、どんな人生を送ったのだろうか?!彼のしたことをそのまま持ってきても全く意味がないとは言いませんが、情報ということだけからいえばかなり意味が違ってきただろうと思わざるをえません。そこで気になるのが、この芳樹のすることなのです。静雄が今を生きていたらするであろうことを、芳樹がするのではないか?仮定としてはおそまつというか無茶は承知ですが、いわゆるプロではない私たちの前にどんな情報をどんな形で提示してくれるのか、興味深々です。また、以前出版されていた木村結子との共著(?)「美食進化論」を平行して読み直したのですが、その差異が興味深かったです。さて、この本で一番印象に残った部分は、「瓢亭」主人の高橋英一の項で、和食離れを救い、家庭料理の崩壊を食い止める方法は、ちゃんと出し汁を引いてそれで味噌汁を作ることだと言っているところでした。私も退職して自分で日常の食事を作ることが増えたら、何をさておき実践してみたいものだと思いました。
話は変わりますが、時々コメントを寄せてくれる、大学時代のゼミ仲間、mitoneさんが、(習字の)日展に初入選されました。私はまったくの門外漢でもって、どれだけすごいのか分からないのですが、父上も習字をされていたご家庭に育ち、ずっとその道を歩いてこられた方の初入選ということで、うまい言葉がないのですが、せめてこのブログで一人でも多くの方にお知らせ出来ればと思います。あらためて、おめでとうございます。また機会を作って、お祝い出来ればと思っています。