徒然なるままに。

徒然に小話を載せたり載せなかったり。

keep A out of one's reach (Aを~の手の届かないところに置いておく)

2006年08月23日 | G.A.
「………なあ、レスター」
「………なんだ」
 タクトは動かし続けていた手を止めて、隣で腕を組んで仁王立ちする副官を見やった。
「あとどれくらい?」
「あと142だ」
 副官の答えはいつもに増してそっけない。
「………………」
「………………」
「………なあ、レスター」
「なんだ」
「せめてあと70――」
 副官――レスター・クールダラスの額に青筋が浮かぶ。
「せめてもクソもあるか、今日中に終わらせろ」
「いや、無理だって絶対………」
 力なく呟くと、ぐう、と腹が哀しく鳴った。
 時計を見やると標準時間で18時。ブリッジの司令官席に縛り付けられてから既に二日は過ぎていた。
「お腹すいた……」
「あと20終わったら食堂のおばちゃんに頼んでメシ作って貰ってやる」
「……食堂もいいけどオレ、ミルフィーのご飯が食べたい……」
「ミルフィーユにはお前が書類を片づけるまでブリッジへの立ち入りを禁じたから安心しろ」
「ひっひどい! オレ一昨日からミルフィーに会ってないのに」
お前が散々遊び呆けて書類をためにためまくったからだろうが

 そんな上官二人の会話を聞いていたココは、隣の席のアルモと顔を見合わせた。
「こりないわよね、あの二人も」
「ほんとにねえ」
「仲がいいんだか悪いんだか……」
「いいのよ、多分きっと」