ひとり井戸端会議

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外国人参政権を「有権解釈」する

2010年04月11日 | 外国人の人権
民主打倒、日本復活、政界再編…新党「たちあがれ日本」旗揚げ (産経新聞) - goo ニュース

 平沼赳夫元経済産業相(70)や与謝野馨元財務相(71)らが10日、都内のホテルで記者会見を開き、新党「たちあがれ日本(にっぽん)」の結党を正式に発表した。平沼氏が代表、与謝野氏は共同代表に就任。平沼氏は「政治生命のすべてをかけて、尊い日本のために、汗をかいていかねばならない思いで立ち上がった」と述べ、「打倒民主党」「日本復活」「政界再編」-を「使命」として取り組むことを表明した。
 メンバーは平沼、与謝野両氏のほか、前自民党幹事長代理の園田博之衆院議員(68)、元運輸相の藤井孝男参院議員(67)、中川義雄参院議員(72)。「応援団長」として石原慎太郎東京都知事(77)も記者会見に同席した。
 綱領では、(1)自主憲法制定(2)信頼される行政の実現(3)財源に裏打ちされた持続可能な社会保障制度と経済成長力強化-などを掲げた。政策では「消費税収」による社会保障制度の強化を示し、外国人参政権、選択的夫婦別姓に「断固反対を貫く」としている。



 外国人参政権賛成派の支柱である最高裁平成7年2月28日判決を作成した園部逸夫元判事が、産経新聞のインタビューに応じ、「参政権付与は在日想定だった」と発言した(産経2010年2月19日付朝刊)ことは周知のことだろう。そこで、この平成7年判決を作成した園部裁判官の見解に基づいて、外国人参政権について検討していきたい。以下、園部氏の見解については、阿比留瑠比記者のブログ記事(「外国人参政権にかかわる園部元最高裁判事インタビュー」)に依拠する。


 その前に議論の前提として、参政権付与賛成派が、「最高裁も外国人参政権を認めた」と主張する際の根拠部分とは、「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」という部分であるのを確認しておく。それでは本題に入ろう。



 まず、園部氏は産経のインタビューの中で、地方自治における「住民」とは、国民とはニュアンスが異なるものであるとする。そして、ここで言う「住民」には、日本国籍を有する日本国民以外の外国人も含まれる概念であると説明する。

 一方で園部氏は、外国人参政権付与の対象となるこの「住民」の概念に、次で述べるように歴史的な経緯を理由に絞りをかける。また、「地方自治の本旨に従って、ある特定の地域と非常に密接な関係のある永住者」こそが、園部氏が外国人参政権付与にあたり想定した外国人の「住民」なのである。

 ここで言う「住民」についてもっと具体的に述べると、「日本に来た理由がいろいろあって、永住等の状況があって、且つ、非常にその地方と関係が深い人たち」のことであり、主に戦前に日本によって強制的に連れて来られた在日朝鮮人のことであると園部氏は述べる。

 したがって、園部氏によれば、最高裁平成7年判決の外国人参政権の射程は、上記の条件を満たす在日朝鮮人のみであり、政府・民主党案のように、特別永住者や一般永住者を含めて、外国人参政権を付与しようという考えは、平成7年判決の射程外であるばかりか、それは憲法違反ということになる。

 つまり、日本による強制連行という被害を受けた在日朝鮮人のみが外国人参政権の対象であり、その理由として、当時は「まだまだ強制連行したりした人たちの恨み辛みが非常にきつい時代ではあったから、それを考えて、それをなだめる意味」でこの判決を書いたと述べている。

 しかも、園部氏は阿比留氏の「外国人参政権推進派はこの判決を根拠に、全ての永住者に参政権を付与すると言っているが?」という質問に対し、「そんなことあり得ないじゃないですか。」とまで言い切っているのは特筆すべき点である。


 ここまで述べれば、園部氏の見解、つまり最高裁判決をある意味で有権解釈するならば、外国人によって日本が乗っ取られる可能性もないという結論になるが(現に在日朝鮮人の数は減少し続けている)、この議論と関係する箇所を挙げてみる。

 まず園部氏は、「例えば、中国から、多数の人がやってきて、移住して、そして50年も住んで、その人達がどんどん、これから移民がものすごく増えてきますから、これは非常に用心しなきゃいけない。移民が来て、数年住んで、それで選挙権持つと、だんだん日本は中国人の国になっちゃうから、それまで賛成しません。」と述べている。

 そして、「例えば、(ある外国人が)大阪に30年も住んでた。ある日、突如、東京に来て3カ月住んでたと。東京都の選挙権与えるかというと、そんなことはとんでもない話だ。それじゃあ、国民と同じになっちゃいますから。」と述べる。くわえて、「移住させといて、5年、10年、住まわせといて、選挙権与えるって、そんなこと、全然考えてないですよ。」とも述べている。

 ということは、最高裁の「その居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至った」という文言は、ただ単に日本の「どこかに」一定年数居住していれば参政権が付与されるのではなくて、何世代も同じ場所に住み続けている外国人でなければ参政権を付与してはならないと解釈しなければならない。この点について園部氏は、「それは法律で、本当に制限的にしておかなければいけません。」と述べている。



 さらに、園部氏はこの判決を「金科玉条でいっさい動かせないということは、私たちは考えてないです。」と述べ、将来この判決が変更され、外国人参政権付与は違憲と最高裁が判断することも問題はないとする。

 したがって、将来もし外国人参政権法ができたとしても、裁判所は同法に対し違憲無効と判断することは可能であるということになる。



 以上、園部氏の見解に基づいて外国人参政権を解釈したが、このように解すると、参政権付与賛成派は平成7年判決を誤って解釈しているということが言えよう。

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