久々に好きな本について書こうと思います。
今回はジョルジュ・サンド著『愛の妖精』をご紹介します。
タイトルが、どうも照れるというか、こそばゆい感じがします。
しかし!
内容は、堅実で朗らかなフランスの田園小説です。
飼い主はジュニア版を小学校六年生の時に読み、二十歳前後に岩波文庫を読みました。
岩波文庫は、方言が少し荒っぽいです。
なので、好きな作品ではあるのですが、本棚で忘れられた存在になっていました。
しかし、つい最近、読み返してみたところ、方言もさして気にならずに興味深く読めました(自分自身が、年齢とともに方言が激しくなっているというのも一因です!)
年齢を重ねて、若い主人公たちに感情移入するというよりも「若者たちの成長を見守る」という心境になり、新たな視点で読めました。
そして、この作品が書かれたのがフランス革命からそんなに経っていない時期だということに改めて驚きました(登場人物の一人は、ナポレオン軍の兵士になります)
時を経ても色褪せない名作だと再認識しました。
樋口一葉さんの『十三夜』を読んだ時と似たような感覚を覚えました。
何と言いますか、「人間の普遍性」を感じさせてくれる作品です。
『愛の妖精』というタイトルから、少女向けの作品と思われがちですが、もっと広く読まれても良いのではないかな?と思います。
田園地帯に根を張って生きる人々の素朴な物語…という点で『赤毛のアン』と共通する要素もあります(こちらの方が恋愛を描いているので、少し大人っぽいですが)
『赤毛のアン』を好きで、「次は何を読もうかな?」と考えている方にオススメしたいです。
男性が読んでも面白いと思います。
小説の全体的な雰囲気も、のどかで平和な感じです。
フランス革命後と、経済的危機の現代。
激動の時代に心慰められる作品です。
↓平和な感じの愛犬くんです!
書名:愛の妖精 プチット・ファデット
著者:ジョルジュ・サンド
訳者:宮崎嶺雄さん
岩波文庫