★ベルの徒然なるままに★

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映画『渇き。』

2014年07月11日 | 映画鑑賞記
色々と溜まっている映画の感想を♪

先週、見に行きました、映画、『渇き。』。

この監督の作品は、独特な映像感があって、それがいつも興味深いので、今回の『渇き。』も、期待していたのですよ~。

が。

しかし。

賛否はあると思いますが、今作は・・・私には合わなかったです(>_<)

・・・うん、全然合わなかった。見なきゃよかったorz

まあ、こういうコトもあるよA^^;;

もちろん、あくまで、「私には合わなかった」という、私の個人的感想ですよん。

っていうか、予告編から、ある程度のバイオレンスや、イジメとかのシーンがあるの覚悟していたのですが。

でもでも、「高校生割引キャンペーン」を大々的に銘打っているくらいだから、クレイジーな中にも、何かメッセージ性があるのかなぁとか、もっと、お手柔らかなものを想像していたのですが。いやはや、想像を絶する、アレでした(--;;



■映画『渇き。』予告編



原作小説は、『このミステリーがすごい!』の大賞受賞作とのことで。

『このミス』作品は、結構、チェックしている方なので、映画も楽しみにしていたのですが・・・(--;;



主人公は、元刑事の藤島。

彼は、その暴力的な性格から、仕事も家庭もボロボロに壊してしまい、今や、ただのロクデナシ状態。

そんな彼の元に、別れた元妻から連絡が入ります。

それは、高校二年の娘・加奈子が失踪したので探して欲しい、ということ。


早速、昔は家族で住んでいたマンションへと向かう藤島。


娘の部屋を見てみると、鞄の中から、麻薬が。
そして、クローゼットには、高校生が持つには高価すぎる洋服がズラリ。
しかし、バイトをしていた訳では無い・・・という。

元妻に、失踪前の娘の様子を聞いても、ただただ「分からない」と言うばかり。

藤島は、加奈子の部屋に残されれていた、アルバムなど、わずかな手掛かりから、一人で加奈子の捜索をはじめます。

中学の時の担任、中学の時の同級生、高校の友達・・・・・。

色々な人たちに話を聞くにつれ、加奈子という娘の人物像が分からなくなってくる・・・・。


ある者は、加奈子の事を頭の良い優等生で、皆からも慕われていた、と言う。
また、ある者は、加奈子の名前を出すだけで、怖がって、口を閉ざしてしまう。
また、ある者は、加奈子に対する怒りをむき出しにする。
また、ある者は、加奈子は、何かに悩んでいるようで、やつれて不登校が続いていたと言う。

そして、加奈子が関わっている一連の出来事と、地元で起こっている若者の連続惨殺事件が、なにか関係がありそうな感じ。

更に、調べていくうちに、藤島は、加奈子が地元の暴力団組織とつるみ、中学生や高校生を巻き込んだ、麻薬や売春がらみの犯罪に関わっていたという事実に辿り着くのでした。


関わる人間を全て、弄び、不幸にして行く悪魔のような加奈子。

そして、色々な人たちの話題には上るものの、一向に、その姿は見えない。失踪したまま。

加奈子は一体、どこにいるのか・・・・???



というような物語。


予告のイメージで、映画を見る前は、父親が行方不明になった娘を探す~~だけの話かなぁと思っていたのですが。

映画の冒頭で、殺人事件が起こるのですよね。

そして、その殺人事件は、連続殺人事件へと発展していく。

それが、加奈子失踪と関連ありそうな感じで・・・。

そういう展開は、ミステリーで面白いのですが。

ですが・・・。

いかんせん、グロ過ぎでしたorz


なぜ、あそこまで、グロを強調する表現をしなくちゃいけなかったんだろう。

別に、同じストーリーで、もっとソフトな映像でも良かったんじゃない?と、スプラッタが苦手な私なんかは思う訳ですよ。

私なら、同じストーリーで、過激なシーンさえ無ければ、そこそこ楽しんだ気がするんだけど。。。

もう、色々、ダメでした。


なんというか、もうね。

激しいバイオレンスに、生々しい強姦シーン、少女売春、ヤク、少年への強姦、腐った警察、快楽殺人・・・何でも有り、というか、この世の社会悪を全部詰め込んだような物語で、見てて疲れました~。

R15とのことですが、わたしは的には、R18レベルのヤバさだと感じましたです。



でも、ショッキングな映像は多々なのですが、物語の展開の仕方というか描き方は、興味深かったです。


まず、バラバラな時系列で描かれていくエピソード。

そして、物語の中心となる、失踪した「加奈子」ですが。

彼女は、現在(父親が捜索中)のシーンでは、人の話題でしか出てこず、過去の回想シーン・・・それも、第三者の目から見た「加奈子」という形でしか登場しないのですよね。

なので、余計に、彼女の失踪が謎を帯びてて。

「一体、なぜ、彼女は失踪したのか?」

というテーマに引き込まれました。


ただ、全編を通して思ったのが、結局、この映画は何が言いたかったのだろうか・・・と。


原作を読んでいないから分からないのかもしれませんが、様々な形の「なぜ?」が回収されないまま結末を迎えているように思えました。


まず、主人公の藤島。

彼は、元刑事とのことですが、今は、酒と暴力に溺れるただのロクデナシにしか見えません。
映画を見ていると、どうやら、彼のその暴力的な性格が、家庭を壊したようにも見えるのですが。
なぜ、彼は、あんなに暴力的なのか?

過去のシーンでは、彼の元妻の浮気等も描かれ、藤島が、妻の浮気相手の男をボコボコにするシーンなんかもあるわけですが。

これは、どっちが先なの??

と思っちゃった訳ですよ。

つまり、藤島が暴力を振るう→それから逃れたいために妻は浮気。

なのか、妻が浮気に走った→藤島が暴力を振るうようになった。

なのか。

でも、多分、前者なんだろうなぁ?

じゃあ、なぜ、彼は、そんなに暴力的なのか。彼は、大切な物をブッ壊したい欲があるみたいなのですよね。心が壊れているというか。それは、何か、トラウマでもあるのか。

でもでも、その一方で、加奈子失踪の連絡を受けて、彼女の部屋を見た時、すぐに麻薬に気付いたり、また、クローゼットの中の高価な服に目が行ったり・・・と、一緒に暮らしているハズの母親よりも、色々気付いてる感じで。そこは、流石、元刑事だけあるなぁって思えるのですが。

ということは、昔は刑事として、ちゃんと働いていた・・・?

のに、壊れちゃった・・・??


そこらへんが、さっぱりでした。


そして、彼の元妻。加奈子の母親も。

一緒に住んでいながら、娘の事を全然、知らない。
無関心だったのかなぁ??

なぜ??



それから、それから、肝心の加奈子。

彼女も、相当狂っています。

それは、中学時代の男友達(彼氏?)が酷い目にあって自殺したから、その復讐のために彼女も壊れて行ったのかな?とも思えるし。

はたまた、劇中で、藤島が加奈子に性的虐待をしていることを仄めかすシーンがありましたが。

それが原因??

でも、問題のそのシーンでも、どこか、加奈子の方が誘ってる感アリアリでしたし。

ということは、その時点で、もう加奈子は狂っていた・・・っていうコトかな??


とにかく、感じられるのは、藤島の家庭自体が完全に崩壊してて、機能していなかったということ。

それゆえに、加奈子はおかしくなっていったのか??


劇中に出て来る日付をもっとしっかり見ておけば、ちゃんと分かったりかしらん?



とにかく、藤島家に限らず、登場人物全員が、壊れちゃってます。クレイジーです。

でもでも、それが、なぜなのかが分からないから、しっくりこなかったというか。

まあ理由を求めてはいけない、これはこういう物なんだってコトで見ないとイケナイのかもですが、ね。


一見、清楚な優等生に見える加奈子ですが、実際は、地元の暴力団とツルんで、中学生や高校生をヤク中にし、売春をさせる・・・という組織の取りまとめをしていた訳ですが。

普通は、麻薬とか売春とか、自分とは関係ない世界って思いますよね。

特に、学校や学生なんて、そういう裏社会とは無関係で接点もない・・・と。


だけど、この映画では、そういう学校や学生たちが、実は、裏社会とガッツリ繋がっている。実は、凄く身近な世界かもしれない・・・というのが怖かったです。

優等生の顔、天使の顔をして、友人達に近付き。
そして、自分に好意を抱く者達を、次々に、ヤク漬けに売春組織に送り込む。
それは、男も女も関係なく。
更に、ルール無用で、手に入れた情報をもとに、社会的地位のある大人までをも脅したり、破滅させていく。

加奈子、怖し!!!!

彼女自身も完全に壊れているけど、自身が壊れているからか、周りの人間をも壊さずにいられないのですよね。

彼女は、世界の破滅でも願っていたのでしょうか??

それとも、自分を狂わせた社会に失望し、自分自身が破滅していくように仕向けていたのか?


ここら辺りが分からなかったので・・・あまり、メッセージ的な物を感じられなかったのです。。。


作品タイトルでもある『渇き。』という言葉。

確かに、狂った登場人物は、皆、何かに飢えているかのようでした。
飢えた獣のようでもあったというか。

一体、何に飢えていたのかな??

愛情? 常識? 理性?


でも、そういう理性と狂気は紙一重なのかもしれない、という怖さも感じましたね。


そうそう。

この物語、一番気になる、加奈子の行方・・・ですが。

これは、まあ、ある程度予測していた通りで。

とはいえ、これがまた、最後の最後まで狂気じみているとしか(>_<)



とにかく、グロシーンや、強姦シーン、暴力シーンなど、ショッキングな映像が満載で、私には合わなかったですが、でもでも、俳優さん達の演技は圧巻でした。

特に、ロクデナシの暴力男の主人公・藤島を演じた役所広司さん、凄かったです!!!!

役所さんといえば、割と最近では、『聯合艦隊司令長官 山本十六』のお堅いイメージがあったのですが。
同一人物とは思えない、豹変ぶりが凄い。
本当に、見ていて、憎ったらしいロクデナシにしか見えないんだモン~。


その他、豪華キャストの皆さんも、かな~り狂った性格の人達ばかりなのですが、その狂気・狂乱の演技が素晴らしかったです。

そして、肝心の加奈子の小松菜奈ちゃん。

凄くミステリアスな雰囲気で。
天使の仮面を被った、狂った悪魔っぷり、怖かったです。

うん。

役者さん達の演技は凄かったなぁ~って思いました!!


あ。

あと、ちょっと気になったのが。

ツッコんではいけないことかもしれませんが、主人公の藤島の不死身っぷりに度肝を抜かれました。

いやはや、彼自身も、散々人を殴りまくってますが、それ以上に、殴られまくってるというか、相当痛い目にあってます。
普通の人間なら、絶対に死んでるだろ? 内臓破裂してるだろ? って状況にも関わらず、動く動く。凄い行動力!

どんだけ不死身やねん。ウルヴァリンかよ!? 実は、銃弾で打たれても平気ちゃうん??とか、ツッコミ所は多々なのですが。

素晴らしい不死身っぷりです(笑)

でも、考え方によっては、そこまでボロボロになって、普通の人なら動けない体の状態にあっても、彼を突き動かしていた「執念」っていうのがあったのかもしれないですよね。

それは、彼なりに、失った家族を取り戻したいという欲求だったのか?

そして、それ自体も、かなり歪んだ愛情だった・・・というのが、救いようがない。



平凡な生活と悪の社会、理性と狂気は、実は隣り合わせで存在しているのかもしれませんね。

うう、怖い怖い(>_<)


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