『ストラング先生の謎解き講義』ウィリアム・ブリテン著 (論創社)
以前感想文書いた、『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』の著者、ウィリアム・ブリテンの、もうひとつ(?)のシリーズ、ストラング先生の短編集。『2011本格ミステリベスト10』の、2010年のベストテンで3位にランクインしてます。それで、これは読まねば!と思ったわけで。
いやー、確かに本ミスでの高評価が分かります♪面白いわーwww
とはいえ、この1冊に本邦初訳5作品を含む14作品も収録されてるという、まさに短編集でして。1編1編をこまかーく触れるのも野暮ですよね。もうさらりといっちゃいましょう☆
オルダーショット高校のヌシというか長老というか(笑)、とにかく校長よりも長くその高校の教師をしているストラング先生。
小柄で額がどんどん広くなってて服装なんてしわくちゃで。
自分のペースを乱すものに悪態をついたり、悪ガキ、もといなかなか言う事を聞かない生徒なんて「サボり魔のくせになんで今日に限ってサボらないんだ!」みたいなことを平気で思うし。
警察(刑事)を前にすると、冷や汗かいて萎縮したり挑発にのったり、でもロバーツ刑事が先生を信頼してくれてるのを知ってるから勇気百倍で推理する。
頑固ではあるけど、でも、偏見を持たずただ良いことをしたか悪いことをしたかによってのみ、相手を判断する潔癖さ。
怖いおじいちゃんのような存在であると同時に、生徒からも同僚教師からも校長からも刑事からも尊敬される、かわいい老教師です。
本格ミステりベストテンにランクインしただけあって、フェアな伏線やトリックの見せ方が素晴らしいです♪
こういう短編集は、本当に楽しいwww
その上、本邦初訳があるとか言われたら、もうお買い得ですよ奥さん!←?
私の好みだったのは、【グラスを盗む】、【消えた兇器】、【証拠のかけらを拾う】、【盗まれたメモ】。かな。
特に【証拠のかけら】はねー、いいなあ、これ。
どれも不可能犯罪だし、中にはストラング先生が逮捕されてしまう話もあったりするし、生徒のために一肌脱いだり嫌疑の掛かってる生徒を信じて真犯人を見つけるべく推理をすすめる、ある意味熱血教師のようなところも。
手掛かりはフェアなんだけども日本人には分かりづらいものや、あまりにも警察がボンクラだったりと、万人に受けるほどではないかもですが、ほんのちょっとした、なんでもないものがヒントになってビビビッと閃いて一気に真犯人に辿りつくストラング先生の素人探偵っぷりは、ミステリ好きにはやっぱりオーソドックスでこれぞミステリだ!と嬉しくなると思います。
黄金期の巨匠へのオマージュもあったり、安楽椅子探偵モノがあったり、謎解きをした後の皮肉な展開にニンマリしたり。
手元にあると、ふと思いついてすぐに1編読めてしまう、ましてそれがどれもよくできたミステリだったら、嬉しいですよね♪
オススメです。ミステリを読まれるかたなら是非。