【週刊ゲーム市場分析】早期の新色投入も、PSPの半数に満たない販売のVITA。今後の方向性は

2012年11月25日 | 団長は断腸の思い
ゲームソフトの週間販売本数からゲーム市場を分析する記事の第72回。
毎週のゲームソフトの販売本数を予想し、ポイントを競うYSO3の参加型企画【Y1】もよそしく!

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今回のファミ通TOP30(ファミ通.com掲載データはログが残らないため、YSO3のメインBBSにコピペ)
※前作データ等はすべてゲームデータ博物館様(ファミ通データ)より転載。
※年間販売本数データ等はGEIMIN.NET様よりお借りし、独自集計。
※アニメディスクの販売枚数はアニメDVD・BD売り上げまとめwiki様よりお借りしています。
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■「とびだせ どうぶつの森」が3DSソフト最速の累計100万本突破

今回の首位は2週連続で「とびだせ どうぶつの森」(31.5万本)。発売から2週目で累計100万本を突破した。ここで3DSのミリオンヒットタイトルの100万本突破週数を掲載してみる。



「とびだせ どうぶつの森」は「マリオカート7」(4週)を上回る2週目での100万本突破。初週本数だけでなく累計本数でも3DSソフトで1位の累計本数となるのは時間の問題となっている。


■PS VITAは発売から50週で累計100万台突破へ

今回の集計期間にはPS VITA本体に新色「コズミック・レッド」と「サファイア・ブルー」が登場。週間販売台数は1.2万台、累計で99.7万台となり、次週(50週目)での100万台突破は確実となった。ここで改めて、VITAの販売推移をPSPと比較してみた。



PSPは発売50週で累計200万台以上であり、VITAはその半数に満たない。VITAの新色投入のタイミングはPSPよりもかなり早いが、販売台数には直結していないようだ。PSPと比較して販売が伸びない理由として「有力ソフトがない」「価格が高い」などの理由が上げられることが多いが、本当にそうだろうか。まずは発売から50週時点でのPSPとVITAのソフト販売状況を調べてみた。



ソフトの初週本数ランキングをみれば、PSPよりVITAのほうが勝っていることが分かる。この時点でVITAの累計台数がPSPの半数に満たないことを考えると健闘していると言えそうだ。

ソフトの累計本数は、PSPソフトが着地本数(つまり50週目以降の販売も含めている)というのもあるが、それを踏まえてもVITAのソフトはPSPと比較して2週目以降の伸びがない。これはVITAのハードが伸びておらず、市場が広がりを見せていないこともあり、各ソフトがコアなユーザーの指名買いで終わっているケースが多いためだろう。また、VITAの各ソフトにはダウンロード版が用意されており、店頭で品切れている場合はダウンロード版が選ばれていることも考えられそうだ。

ハードの価格にしても、上記のようにVITAの台数はPSPの半分しかない。価格をPSP並みに引き下げたとして、販売台数が突然2倍になるかといえば疑問の残るところだ。「有力ソフトがない」「価格が高い」といった理由だけでは、VITAがPSPの台数の半数にも満たないことは説明しにくい。

結論としては、やはりゲーム市場全体のシェアの変化によるものと言わざるを得ないのではないだろうか。もちろん据え置き機や3DSのシェアが伸びているという話ではなく(3DSもDSと比較して販売台数が落ちている)、月並みながら、ソーシャルゲームやスマートフォンアプリにシェアが移行しているということ。ゲームユーザーあるいはゲーム市場全体は拡大していても、これらのジャンルに非常に勢いがある以上、既存の家庭用ゲーム市場の縮小はやむを得ないところだろう。


■PS VITA、今後の方向性は?

だからといってVITA市場に未来がないかといえば、そんなことはないだろう。かつてVITAと似通った状況に陥ったハードがあるが、それはPS3だ。PS3はWii、そして家庭用ゲーム市場のシェアの変化により、携帯ゲーム機にシェアを奪われた形となった。発売から6年が経過した現在でも、累計販売台数はPS2の4割にも達していない。

しかしPS3はコアなゲームユーザーの取り込みには成功しており、直近のソフト販売をみても「テイルズ」や「バイオ」といったシリーズはPS2末期よりも販売を伸ばしている。VITAもその兆候が出始めており、上記のテーブルのように、PSPと比較してソフトの販売本数は決して劣ってはいない。

今後のVITAは、まずはPSPの有力作の続編をひとつでも多く呼び込めれば、例えハードの販売台数でPSPや現行の3DSに遠く及ばなくても、PS3同様、コアユーザー向けの市場として一定の存在感を保つことは可能なのではないだろうか。


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