【週刊ゲーム市場分析】「魔法少女まどか☆マギカ」がゲームで“覇権”をとれなかったワケは?

2012年03月25日 | 団長は断腸の思い
ゲームソフトの週間販売本数からゲーム市場を分析する記事の第46回。
ゲームソフトの販売を予想して精度を競うサイト「YSO3」もよろしく!
なお、次回の更新は4月2日(月)を予定しております。

コンシューマソフト週間販売ランキングTop20(4gamer.net/メディアクリエイト調べ)
※上記の週間販売本数以外のデータ(前作データ等)はすべてゲームデータ博物館様(ファミ通データ)より転載。


■「ポケモン+(プラス)ノブナガの野望」、「シャイニング・ウィンド」は順調な出足

今週の首位は移植のコラボタイトル「ポケモン+(プラス)ノブナガの野望」(17.2万本)。
近年の「ポケモン」派生タイトルと本数を比較してみる。



DSの「ポケモン不思議のダンジョン 空の探検隊」や「ポケモンレンジャー 光の軌跡」と同程度の本数に。
また、3DSの「スーパーポケモンスクランブル」も含めて、比較タイトルはすべて初週の3倍以上を販売している。
今作も同様の推移になれば、累計50万本以上が見込めそうだ。

2位の「シャイニング・ブレイド」(12.2万本)についてもシリーズの販売実績を確認してみる。



同シリーズは、Tony氏がキャラクターデザインを担当してから右肩上がりの推移を続けている。
PSPで2作目となる今作もこの流れを踏襲し、1997年以降の「シャイニング」シリーズとしては
最高の初週本数を記録した。


■「魔法少女まどか☆マギカ」がゲームで“覇権”をとれなかったワケは?

3位の「魔法少女まどか☆マギカ ポータブル」は6.2万本を販売。
このゲームの原作アニメは2011年の“覇権”アニメと呼ばれ、アニメディスクも圧倒的な枚数を販売していたが
ゲームの販売では「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(初週8.9万本)にも及ばなかったのはなぜだろうか。

ここで、アニメDVD・BD売り上げまとめwiki様のデータをお借りして、アニメディスクの販売枚数と
ゲームの販売本数(初週のみ)を比較してみた。(条件をそろえるためにPSPのゲームのみを抜粋)

「平均売上枚数」はサイトのデータをお借りしているけど、「集計中」となっているタイトルも
平均を計算して掲載している点はご容赦を。



ゲームの売り上げに影響するのは、アニメディスクの人気(≒アニメの人気)だけではなく
原作の人気や原作及びアニメのターゲット層も大きく影響すると思われるが、
ここでは「アニメの放映終了からゲーム発売までの期間」に最も注目してみた。

結論を書いてしまうと、「魔法少女まどか☆マギカ ポータブル」がゲームで“覇権”をとれなかった理由は
この「ゲーム発売までの期間」が長かった点が非常に大きいのではなかろうか。
同様に期間が長かった「とある科学の超電磁砲」も、原作人気が続いている割には本数が奮わなかった。

ご存じのとおり、テレビアニメは3ヶ月を1クールとし、改編期には何十作品もの新番組が登場する。
そのため1作品ごとの寿命は非常に短い。アニメ終了後、早期にゲームをリリースできないと
例え原作が人気を持続していても、ゲームの販売本数は伸びないのだろう。

「魔法少女まどか☆マギカ」は原作のないアニメオリジナル。放映してみるまで人気が出るか分からない。
放映終了からゲームの発売まで1年近くも空いてしまったのは、人気が出てからゲームの開発を
始めたのだろうと推測され、この辺がオリジナル作品のメディアミックス展開の難しいところだ。

ちなみに、アニメの人気以外でゲームの販売に影響する点として「原作の人気」と
「原作及びアニメのターゲット層」(ゲームを購入する層と合っているかどうか)を上げていたが
この辺についても多少解説を。

この中で、ゲームの発売前から原作の人気がもっとも高かったと思われるのが「僕は友達が少ない」(※)。
「アニメの放映終了からゲーム発売までの期間」が3ヶ月あったにも関わらず、
「ゲーム本数/アニメ枚数」の係数が最も高いのはそのためだろう。

また、ターゲットの問題については「STAR DRIVER 輝きのタクト」や「デュラララ!!」が
比較的女性ファンが多いと言われており、それが「ゲーム本数/アニメ枚数」の係数が低い理由だろう。

(※一巻あたりの平均部数や近年の勢いから)


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