ITエンジニアの九十九折(新)

これまで経験したことや考えを思いつくままに綴って行こうと開設しました。マラソンをするように長く続けて行くつもりです。

57.組込みソフトウェアの信頼性(1,156字)

2007-03-13 | IT(ICT)
今の時代、何事においてもITを抜きにして語ることができなくなっていることは明らかです。

そんな中で、組込みソフトウェア(embedded software)という目立たない存在が、これまで以上にクローズアップされる時代が到来しようとしています。

例えば、携帯電話、家電製品、自動車、新幹線、そして航空機や人工衛星等に至るまで、いずれの製品にも組込みソフトウェアがなくては機能または性能を発揮することができない状況にあるとさえ言えます。

今日は組込みソフトウェアの信頼性について考えます。

上で紹介した製品には各種機能や動作、制御を司るコンピュータ・プログラムがマイコン(micro computer)、あるいはファームウェア(firmware)として内蔵されています。

と言うことは、これらの組込みソフトウェアが間違うことなく動かないと、誤動作を起こしたり、暴走したりして、一大惨事を引き起こしかねないと言うことにもなります。

一例として、東京臨海副都心を走っている新都市交通「ゆりかもめ」を取り上げることにします。この路線は、新橋~豊洲間約15kmをすべて無人で運行されています。

すなわち、運転士による運転ではなく、運転がコンピュータ・プログラムによる自動運転で置き換えられているのです。

「人工知能」という技術を使って、デジタル情報はもちろん、運転士の感覚情報までをプログラムとして記憶させています。
具体的には、出発して速度を上げ、一定区間は安定速度で運転し、駅が近づくとブレーキをかけ、駅のホームで停車するように細かくプログラム化されています。

もし、このプログラムに欠陥(バグ)が潜んでいたらと考えると背筋が凍る思いをすることになります。

例えば、このプログラムの中にコンピュータ・ウィルスが入り込んで、速度40kmを80kmに、停車駅を一つずつ飛ばして運行するように書き換えられたとしたらどうでしょうか。とたんに安全な運行が保証されなくなってしまいます。

最近は、こうした組込みソフトウェアを狙ったコンピュータ・ウィルスが増加傾向にあると言われています。

また市場を見渡すと、マイコン需要の増加とメーカ各社の競争の激化に伴って、開発技術者が不足し、一方で開発期間は短縮化され、さらにコストも抑制されて来ると、ソフトウェアの信頼性が低下して来ることが予想されます。

そして、製品として出荷する前に、十分テストがされないまま市場に出回ることになり、その結果、事故やリコールの多発化を招くことは容易に想像できます。

サーバやWebシステムのプログラムも大事であることに変わりはありませんが、私たちは組込みソフトウェアの及ぼす影響も無視できないほど大きくなっていることを知り、メーカやベンダーにきちんと要求を出し、保証を求めて行くことが必要になっているのです。

関連情報サイトはこちら
http://www.jasa.or.jp/top/embinfo/embnow/embnow003.html
http://www.yurikamome.co.jp/outline/cor.php
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