流通業界が思い切ったリストラ策に走り出す。
イオンは、向こう3年間でスーパー約100店を閉鎖または業態転換する。セブン&アイ・ホールディングスもスーパー数店、ファミリーレストランの「デニーズ」約130店、コンビニ600店などを閉じていく。「ジャスコ」「マイカル」の4分の1が消え、デニーズは2割が店をたたむことになる。
イオンの岡田元也社長は「地元の反対もあるだろうが、旧態依然とした売り場から決別する」と語った。人口減少や高齢化、原材料価格の上昇などで、消費の形や消費者の行動が劇的に変化しているせいだ。一方で、イオンは海外投資を増やし中国などアジアの店舗網を200店近くにし、セブン&アイは中国でのスーパー出店を加速するという。このため、「地域の商店を駆逐しておいて、もうけが見込めなくなったらさっさと引き払い、海外の新天地に進出か」と社会的責任を問う声も起きている。
ただ、こうした状況は消費者の選択の結果とも言える。20年以上前、ある地方都市でスーパー出店が議論になったことを思い出す。商店経営者ら一部を除けば、多くの人が「こんな大きな店ができてうれしい。1カ所で何でもそろう」と歓迎した。そして、八百屋を、魚屋を見限り、近所の定食屋に足を運ばなくなった。商店街はシャッター通りになり、さびれた。
今、スーパーやファミレスが消えかかり、どこで買い物を、食事をすればいいのか途方に暮れる。そして、考え込む。自分で自分の首を絞めるとは、このことなのか。
毎日新聞 2008年4月18日 0時01分