「ねじれ国会。福田康夫です」等々、福田内閣メールマガジンに掲載されている首相コラムの「○○。福田です」という毎度のタイトルは、妙に脱力感があって嫌いではない。だが、現実政治に目を移すと、力の抜け方は深刻さを増すばかりだ。
最もいけないのは面倒なことを先送りする傾向だ。ガソリン税にせよ、日銀人事にせよ、首相も自民党執行部もぎりぎりにならないと動き出さない。で、騒ぎが一段落し、やれやれと一休みしている間に次の課題が押し寄せてくる。そんな繰り返し。
首相からすれば「これだけ相談しようとしているのに何でも反対する野党が悪い」ということなのだろう。でも、最近は「野党との協議がまとまらないから」というのが、懸案先送りの言い訳に使われているように思える。
道路特定財源の一般財源化もそうなる可能性がある。自民党の中には「一般財源化は09年度から。その時、福田首相かどうか分からない」と半ば公言する人もいる。ここは政府・与党内の手続きをもっと進める方が先ではないか。
先送り傾向は首相だけではない。政界では党派を超えたグループや勉強会結成が相次ぐ。私たちもつい、「政界再編をにらんで」などと訳知り顔で解説してしまうが、ほとんどの議員が考えているのは「次の衆院選後」の話だ。
「今」をどうにかするのが大事ではないのか。再編が必要というのなら、衆院選前に動き出すべきなのだ。選挙後に議員が勝手に離合集散するというのは、選挙=有権者など関係ないと言っているのに等しいのだ。
毎日新聞 2008年4月17日 0時01分