近代には建築材料の革命的な発明がありました。
“鉄”と“ガラス”と“コンクリート”です。
“鉄”は古代より利用されてきました。
しかし、それは主として建物の構造を補強する部材として使われるに過ぎませんでした。
そして、近代に入り、いよいよ柱・梁など主要構造部としての使用が始まります。
つまり、鉄骨構造の建築物の誕生です。
写真はパリ万博時に建設された『エッフェル塔(1889年)』です。
当事はそれまでにない無骨な鉄骨の塔の建設につき賛否両論があったようですが、近代において鉄骨が主要構造部に使用する事が可能となった事、つまり近代の技術革新を象徴する建物と言えます。
“ガラス”は、ゴシックの大聖堂などで使用されてきたステンドガラスはあくまで色ガラスで、透明ガラスが使用され始めるのはこの時期からです。
そして、無色透明のガラスが建物に使用されることで、外装は軽快に、又、室内空間を明るくする事が可能になりました。
“コンクリート”は、古代ローマから使用されてきた材料ですが、古代ローマ時代のように火山灰や砂利などを混ぜ合わせて材料を硬化させるのではなく、人工的にセメントを作り、骨材と混ぜ合わせるいわゆる今日のコンクリートが発明されたのです。
さらには、鉄筋と組み合わせてより建築物の強度を向上させる試みも始まりました。
コンクリートは型枠に流し込んで一体整形される特質より、自由な形状の造形を可能にしました。
写真は近代建築の三大巨匠の一人、ル・コルビュジェが設計した『ロンシャンの礼拝堂(1955年)』ですが、コンクリートの彫塑性を利用してデザインされた建築物の一例です。
これらの建材の登場により、これまでの建築生産方式、構造の架構法に大きな変化が生じます。
そして、その結果、建物の外装表現の可能性が広がり、俗に言う“モダニズム建築(近代建築)”が後に確立される事になります。