モダンデザイン・デザイナーズ家具・名作家具を考える。

世の中のすべての製品には歴史があり、現在に至ります。
製品の歴史、変遷、デザインを辿りたいと思います。

近代ヨーロッパ

2013年07月26日 | 歴史

近世ヨーロッパの時代、ルネッサンスにより、古代ローマや古代ギリシャ時代のような人間らしい生活を取り戻す運動が試みられましたが、実のところ、それは一部の貴族や領主たちが享受できた程度で、押しなべて多くの平民の生活は自由ではなく、さらに平等にはほど遠い状態でした。

そんな状況下、イギリスでは1688年に名誉革命が起こります。
又、王宮では贅沢三昧、浪費三昧だったフランスでも1789年にフランス革命が起こります。

レ・ミゼラブル名誉革命、フランス革命は共に“市民革命”と呼ばれますが、その目的とは貴族と平民の身分の差をなくす事でした。
すなわち、貴族と平民の身分の差がなくなる“市民社会”が成立する時期をもって近代ヨーロッパの始まりと言えます。

左は、フランス革命を背景に個人の自由の獲得、そして愛を題材に描かれたビクトル・ユゴーの文学“レ・ミゼラブル”のミュージカル版ポスターの一部ですが、多くの国で、そしてオリジナルの英語以外に各国版も上演されています。

私は、ニューヨークのブロードウェーで観ましたが、皆様にも是非ご鑑賞をお薦めしたい作品のひとつです。

 

俗に言う“近代的○○”という表現は、あてはまる言葉がどんなものであるにせよ、人間的な進歩、自由の獲得といった進歩を示す感じが強く、ホッとします。

ナポレオンの戴冠式フランス革命後、ナポレオンがヨーロッパ全土に革命の波を及ばせ、ヨーロッパ各地域で市民が自由を獲得し始めます。

そして、国境がはっきりしなかったヨーロッパで、いよいよそれぞれの国家の領域が明確になり、それぞれ“主権国家”が誕生します。

 

国家の主権が明確になり、市民が自由に生活を開始するにしたがって、物が必要になってきます。
さらに各国間の交易が盛んになり、産業が栄えます。

イギリス産業革命とりわけ当時海外に数多くの植民地を持っていたイギリスでは、製造業、加工業が他国よりも一足早く活発になり、“産業革命(1760年~1830年)”が始まりました。
左は昨年のロンドンオリンピックの開幕式で当事の産業革命を演出した場面ですが、イギリスが世界に先駆けて起こした産業革命はその後の世界に工業化、生産技術の革新をもたらしました。

 

最後に余談ですが、“市民革命”は、資本主義から社会主義・共産主義社会の実現を目指した“プロレタリア(賃金労働者)革命”とは性格を異にします。

つまり、市民には“資本家”“労働者”の区別があります。
同じ市民でも、資本家は労働者を使用しますので、身分は不平等です。

つまり、“市民革命”が目指したのは、市民の“自由(貴族と市民を対等にする事。)”ですが、さらに“市民の平等(資本家と労働者を平等にする事)”までもを目指したのが“プロレタリア革命”なのです。