モダンデザイン・デザイナーズ家具・名作家具を考える。

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ウィーン分離派 ゼセッション(近代建築運動・芸術運動-8)

2013年08月22日 | 近代建築運動・芸術運動

万を持して民衆が主体となる近代が始まったはずのヨーロッパでしたが、オーストリアの首都ウィーンの中心部リングシュトラーセには、1880年代になってもなお威厳を保つ 『新古典主義建築』 が建て続けられていました。
『新古典主義建築』について

グスタフ・クリムト(Litzlberg am Attersee)そのような状況の元、旧来の保守的な形態構築方式から離脱し、美術、文学、音楽などのあらゆる芸術を一つの総合的芸術作品に融合する事を目的とする 『ウィーン分離派 ゼセッション(1897-1920 Secession)』 が、1897年、ヨーゼフ・ホフマンを中心にヨーゼフ・マリア・オルブリッヒ、コロマン・モーザ-、グスタフ・クリムトたち建築家、芸術家、工芸家たちにより設立されました。
ヨーゼフ・ホフマンについて

『分離派』 とは、旧来の古典主義を重点とする思想性から離脱して、近代の生活によりふさわしい創作物を創出する運動を推進した建築家、芸術家たち、あるいはグループを示しますが、活動はオーストリア、ドイツを中心に展開され、そのうち最も強い影響力を持っていたひとつが、 『ウィーン分離派 ゼセッション』 です。

 

ウィーン分離派 ゼセッション(Secession)ゼセッションの活動の拠点は、ヨーゼフ・マリア・オルブリッヒ設計の 『分離派館(1898 Secession)』 で、正面ファサードには、分離派のモットーとして、 『DER ZEIT IHRE KUNST DER KUNST IHRE FREIGHT(時代にその芸術を 芸術にその自由を)』 の文章が掲げられました。

ゼセッションは、フランスやベルギーの 『アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)』 とは本質的に相違点があります。
といいますのは、形態を重視し、曲線、植物、動物、昆虫などのモチーフを多様する事で動的な印象を与えるアール・ヌーヴォーに対して、ゼセッションはチャールズ・レニー・マッキントッシュたちグラスゴー派、つまり 『スコティッシュ・アール・ヌーヴォー(Scotish Art Nouveau)』 の影響を強く受けた事、さらには、不特定多数の大衆の近代生活を目標とした事より、平面・立面の構成、構造形式において実用性を重視した事、又、曲線より明確で合理的な直線や幾何学的な文様が使用される事で静的、質実剛健、均整のとれた様相となっている事などが特徴です。
『アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)』について
『スコティッシュ・アール・ヌーヴォー(Scotish Art Nouveau)』について
チャールズ・レニー・マッキントッシュについて

ゼセッションは、1905年、中心的人物だったヨーゼフ・ホフマンたちが脱退する事で、次第に前衛性を失っていく事になります。



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