古代エジプト文明はメソポタミア文明のように時代に伴って語族が入れ替わり新しい王朝が立てられたというのではなく、周囲を砂漠で取り囲まれていることもあり、独特の単一文化が古王朝、中王朝、新王朝にわたって花開いたと言えると思います。
古代エジプトでは、紀元前5000年頃からすでに農耕が始まっていたと考えられています。 ナイル川は毎年にように氾濫し、上流から栄養分をたっぷり含んだ土を流します。 氾濫が治まればナイル川沿岸は、農業に適した肥沃な土地となります。 まさに“エジプトはナイルの賜物”といわれるように、ナイル川沿岸の肥沃な土地で農作物が生産され、古代エジプト文明が開化したと言えます。
エジプトは、現在と同じく地球が太陽の周りを1周するのを1年とする太陽暦を採用しました。 1年は365日です。
エジプトでは文字が使われましたが、状況、場所、場面により、神聖文字(ヒエログリフ)、神官文字、民衆文字と使い分けられました。
壁画や王の棺などの遺跡に描かれる事が多い鳥や道具の絵文字は、最も格式の高い神聖文字(ヒエログリフ)です。
神聖文字について、例えば左の写真のように鳥が表示されていれば、その文字が表意文字として早いとか飛ぶとかいう意味があるのではないかと感じてしまいますが、実は表音文字です、つまりそれぞれの絵文字はアルフェベット同様音を持っているのです。
そこで、現代のエジプトの街中では、自分の姓名をヒエログリフに置き換えたおみやげを作ってくれたりします。古代の文字を使ってのデザインですので、モダンデザインと言えるかどうかは判断が難しいですが、おもしろい試みだと思います。
古代エジプトの人々にとって来世(あの世)は非常に重要でした。 人は死後、神によって現世での行いに基づいて裁かれます。 現世でまっとうに生きてきたならば、来世の生活を保障されます。 極論しますと、現世の生活での行いは来るべき来世の為に誠実に行う必要があると言い換えてもいいかもしれません。 このように来世が重要でしたから、裁く権限を持つ神々に対して人々は深く信仰心を持ちました。