カラスとの出会い(ハシブトカラス編) 1

私、以前は カラスが大嫌いだったんです　カラスは大好きなツバメさんの一番の天敵まぁその程度の単純な理由だったのですけどね
初めて我が家にツバメさんが巣を作った時に、ある朝ツバメさんが大騒ぎをしていたんです。ドアを開けたら巣がバラバラに落ちていて、大きなカラス(ハシブトカラス)が卵を咥えていて。親ツバメさんたちはもうパニック私もパニック　この年はこれだけでは済まなかったんです。メゲずに場所を少し変えて二度目の子育てをはじめたツバメさん。ヒナはスクスク育ち、ある朝無事に巣立った・・その時、どこに潜んでいたのかまたしてもカラスの番が・・巣から飛び立った一羽のヒナに狙いを定め襲い掛かっていったんです。まだろくに飛ぶことも出来なかったヒナはカラスの一撃で玄関の真ん前の田んぼの中に落ち・・私は何とかヒナを拾おうと田んぼに入ろうとしたのですが、モタついてる間にカラスは落ちたヒナを咥え、飛んでいってしまい・・親ツバメさんたちはその後を「チビーッチピーッ」と鳴きながらヒナを取り戻そうと追いかけ・・でももう無理・・・カラスは自分たちの巣のある近くの杜へ入っていった。目の前でこんな悲劇を見てしまった私は・・この日から「打倒カラスっ」に
翌年は杜のカラス(ハシブトカラス)と私との、ツバメさんの巣をめぐってにらみ合いが続きました。カラスが襲ってくるのは明け方一番からはじまりだいたい二時間おきに日が暮れる寸前まで。ツバメさんが卵を産んでから巣立つ日まで毎日毎日・・日の出と共に巣の近くで箒片手に仁王立ち。もうカラスとの根競べ状態カラスのほうも完全に私の姿を見ると警戒。ここまでくるとはたから見ればただのアホだよねホント　そしてとうとう巣立ちの日。実はこの日が一番狙われやすい危険な日。ツバメさんは朝一番の巣立ちが多いのでこの日は日の出前から(四時半くらいだったかな・・) 待機。カラスのほうもおそらく杜のところからしっかりと監視しているのでしょうね。一羽、また一羽と順調に巣立ち安全な場所へ・・　最後に残ったチビヒナちゃん。なかなか飛び立てない。雨が降り出し、しばらくしてやっと飛び立ったと思いきや地面に落ちたまま動こうとしない。親ツバメさんが一生懸命誘導してもダメ　その時・・来た来た来た～っ　いつの間にか落ちているヒナのすぐそばの建物の上に・・もう襲撃態勢に入っている～　親ツバメさんは大パニックヒナは場面が読めずにボーッわおっカラスが飛び立ったっ少し離れていた私も全速力でヒナのところへ・・一足早く私がヒナのそばに着き、立ち憚る。勢いついているカラスとあわや正面衝突しそうに　カラスのほうが何とか私を避けて「グロロロ」と捨て台詞？を吐いて杜へ戻っていった・・あぁ危機一髪　ふと後ろを見ると・・近所のおばさんが怪訝そうに「この人何やってんの・・？」って顔して・・ああもう・・世間体なんか気にしていられないのよっ　こうしてこのツバメさん家族は無事に子育てを終え、南に旅立って行ってくれました　めでたしめでたしの年でした。
杜のカラスの行動に異変が起きたのはこの翌年からのこと・・・ツバメさんがまた帰って来る季節になり、「今年も日の出と共に、戦いがはじまるのねっ」と構えていたところが・・来なくなったんです・・・その年も杜でちゃんと子育てはしていたのですが、なぜか私が目を光らせているエリアには来なくなったんです・・・信じられないでしょうがホントなんですね　これって・・もしかして・・執念深い私が原因？カラスの上を行くあまりのしつこさにカラスのほうが「根負け」したということ・・？私、カラスに勝ったの？(勝つとか負けるっていう話じゃないのだけどね) 彼らはすこぶる賢い。完全に私を憶えてしまっていて、私が朝玄関を開けると杜の中から「カァーカァー(あっ、しつこいババァだ)」　散歩で杜のそばを通ると「カァーカァー(ボクたちの巣襲われないかなぁ)」　車に乗り込むときも「カァーカァー(あっ、あのネチっ子ババぁが出かけるぞ)」 みたいな・・・
不思議なもので「カラス憎し」だった自分の中でもこの頃からなぜかカラスへの見方が変わってきていることに気づいたのでした・・・　　
続きは次回に・・・

※　カラスには「ハシブトカラス」と「ハシボソカラス」の二種類がいます。繁殖期に野鳥のヒナを捕食するのはほとんどが今回書いた「ハシブトカラス」のほうですね。同じカラスなのですが、主食は異なるようです。