でもその努力がもしかしたら報われてきたかも・・・
ここ六日、全くブトが来ない。遠巻きに「カァカァ」鳴いていて、双眼鏡では見えるけれど近づいてこない。
これまでに三組のブトの番がこのあたりを縄張ろうとどれも初めは威勢よく毎日のようにやって来ていた。私はただただひたすらストーカーを繰り返した。ブトが止まるところ止まるところついて回って、移動するところ移動するところくっついて行った。何をするわけでもなくただひたすら付きまとい続けて・・・ブトにしてみればこれほどの恐怖と警戒はなかっただろうなぁ・・・
「あのババァ、なんで俺たちをずっと付け回すんだよカァァァ~」
「毎日よ。私たまらないわカァ こんなところに巣を作ったら何されるかわからないわよカァァァァ~
」
「そうだよな・・・ここはいっぱいツバメがいるから美味しい縄張りになると思ったけどよぉ・・・・やめとくカァ~」
カラス語でそんな会話しているかどうかはわからないけれど・・・とにかくぷっつりとすべてのブトたちが来なくなった。塒に向かうときもこのあたりを迂回して飛んでいく。
・・・・・勝った?
私が勝ったの?(ブトと闘って私が勝ったとか・・・なんてレベルの低いとんちんかんな奴なんだろう私ってば・・・
)
ブトたちもいつまでもこんなことをしていられない。縄張りを確保して巣作り準備に入らないと・・・このあたりでは五月十日あたりまでがタイムリミット。
油断は禁物 ムフッ
あと二十日がんばるのだわ。
数日前の朝方のこと。いつものように四時半に起きて周囲を車で監視。雨上がりの道路端・・・・何やら黒いものが転がっている・・・ゆっくりと通り過ぎた。
「ゲッ ブトだよ。
ブトがあおむけにひっくり返っているよ~
」
生きているのか死んでいるのか・・・ゲゲッ なんてこったぃ
少し先に車を止めて考えた。
「このままじゃ車にひかれちゃうよなぁ・・・」
(悪魔の声) いいじゃん、だってツバメの憎き天敵ブトじゃないか~一羽天敵がいなくなりゃそれに越したことはないよ
「そうだよね。・・・・でも・・・弱っていたり怪我をしているブトは別じゃん・・?」
(悪魔の声) それが甘いんだよ。ほっとけほっとけ
「・・・・うぅぅぅぅ~ん・・・・」
ダメだぁぁぁぁー ほっとけないっ
車から降りてひっくり返っているブトを抱き上げる。・・・生きてるよ~
ゲゲッ
どっ・・・どうしよぉぉぉぉ
ずぶぬれになっているブト・・・うちには黒ちゃんいるしつばめコーポにハシブトカラスはまずいだろぉぉぉぉ~ でも生きてる・・体温ちょっと下がってるかな・・
とりあえず車の中にいつも用意しているお助けグッズの箱からバスタオルを出してずぶぬれブトをふいて、ヒーターを入れて様子を・・・私は今なぜにここでこんなことをしているのだろうか・・・
三十分くらいしてブトがモソッモソッと動き出す。
「ゲッ 動いたぁぁぁ~
どうしようどうしよう(どうしようって・・自分がそうしているくせに) コンビニで買ったスポーツ飲料をスポイトで飲ませる。嘴を開けて・・ゲゲッ
真っ黒
何と立派な成鳥じゃないよぉぉぉ
コクン 飲んだよぉぉぉぉ
もう一回 コクン 飲んだー 目を開けた~
ゲゲゲゲゲ
パンを浸して口に入れたらツルンと食べた。
体も乾いて目にも生気が・・・
たぶん何かにぶつかって脳しんとうでも起こしていたのかな。
もう大丈夫だよね。じゃなきゃ困るし・・・
でも・・「助けてくれたおばさん 餌をくれたおばさん」 なんて覚えられて恩返しに来られても、調子こいて遊びに来られても困るから困るから
そのまま車を走らせてかなり離れた隣村の境あたりまで行って、くるんだタオルを取ってドアを開けた。私の顔をじっと見つめて(見ないで見ないで 忘れて忘れて
) くるりと向きを変えてすんなりと外へ飛んで行った。しっかり飛べてるじゃない。良かったじゃない。・・・良かった・・んだわよね・・・
いいこと? 絶対に私の周囲には二度と来ないでね。
・・・・私ってほんとうに矛盾している。
ブトと闘い続けていて、ブトを助けるなんて・・・何だろね・・・
でも・・・ま、いいか
いやいや・・・私は思いますよ。もし同じ場面に出くわしてしまってブトが生きていたら・・おそらく・・私の大好きな鳥仲間の人たちは・・きっと・・・似たようなことをすると・・ちびははさんもね♪
恐れますよ~ 恩返しなんてー・・ほんっとにいいからいいからけっこうだからけっこうだから・・・隣村で幸せに暮らしてちょうだい・・みたいな・・でもまぁ・・元気に飛んでいって良かったですよ・・
このブトは確かにラッキーだったかな。ツバメの天敵・・でもね・・この子たちも家族がある。命は命。みんなおんなじ尊いもの・・でもこのブト独り者かな・・ひっくり返っていたのにパートナーどこにもいなかったんですが・・
ホワァンちゃんは新しい奥さんと一度は抱卵までしていた様子ですがうまくいかなかったようで、今は繁殖の気配もなく毎日夫婦でラブラブベタベタしながら縄張りだけはしっかり守って暮らしています。今年はどうなのかしら・・
運のいいブト君、白馬さんの手厚い看護で元気になれてよかったです。お疲れ様でした。
まいったなあっていう白馬さんの困惑が目に浮かぶようです。
お礼に一族でやって来ますよ~。長老が、
「この前はうちの若いのを救ってくれてありがとう。お礼に一族につたわる“ブトの舞い”をお見せしよう・・・」
きゃ~~~~、やめて~~。白馬さんの悲鳴が聞こえてきそうです。
すみません、ふざけすぎました。
笑っちゃいけないと思いながらニヤニヤしながら読んでしまいました。(ゴメンナサイ 笑)
あと20日ですか・・・
まだ気はゆるめられませんネ。
お体、気をつけてください。
ウチは、卵産み始めちゃいました。
ボロボロの巣で(汗)
今日、慌ててカラス避けしました。
今年は無事で全員巣立って欲しいものです。
ブトくんの恩返し、あればいいですネ。
弱ったブトくん、メチャクチャ感謝してますよ~、いい事されましたね
きっと何かいい物(とブトが思っている何か)プレゼントに来ますよ・・・でもそれが何なのか考えるとちょっと怖いような・・・
ブトボソさんの仰る通り、同じ命です
助かって良かったですね(~o~)
それにしてもなんて運の良い子~助けてくれる人なんてほぼいないと言っても過言ではないかと…逆に考えると人間も白馬さんのお陰でブトの世界で少しは評判が良くなったかも(^^)
どちらにしても白馬さんのお陰です
大丈夫ですよ~ きっと仲間にいい人だから
ここは引き上げよ~と言ってくれますよ~
でも助かってよかったですね~
思いがけない出来事でしたね。白馬ツバメさんの目の前でひっくり返っているなんて・・・・・これも運命だったのかもね?
ツバメの天敵ではありますが、同じ命です。助けてくれて何だか嬉しいです。飛び立つ前に見つめて行ったブト君・・・・・・「ありがとう、優しい人に出会えた事を番相手にも話すよ」って言っていたのではないでしょうか?
その代わり、ツバメコーポのツバメちゃんを食べちゃダメよって、話せたらいいですねー
しかし、ほんとにお疲れまです・・・世界でも初の事ではないでしょうか
あと、20日もあるなんて、大変だ
お体を大切に・・・新聞配達のおじさんに聞かれませんように・・・
たとえ、憎っきブトさんでも命あるもの…。
もし白馬さんがそこを通らなければ、彼(彼女?)は確実にお星様になっていたかも…。
今頃このブトさんとその家族は救われた命に感謝し、白馬さんにどうお礼をしたらいいのか真剣に考えているのかも知れませんね。
何だか現実にありそうな…ブトの恩返し。もしあったら、教えてくださいねー。
ところでホワァンちゃん、裏の林での子育てはやっぱりダメなのですか?