富士写真フィルムが提案する年賀状。
2次元バーコードに対応していて、NTTドコモの携帯電話で情報を読み取って、動画や音声を再生してくれるというサービス。
携帯電話で映像を撮影して、パソコンでそのファイルをアップロードすると、後は 600円で富士フイルムが預かってくれるらしい。
こういうサービスというのは、システム屋的な視点からすると、これって単なるホスティングサービスと2次元バーコードの発行サービスじゃんって思うんだけど、エンドユーザーが感じる印象は全然違う。おもしろそうなネタがあって、それが割と簡単に実現できる、というのがいい。特に枚数制限なしに600円というのは年賀状印刷を依頼するときの費用からするとそんなに高い気はしない。
一方でこれをホスティング的な観点で見てみると、おそらく 1MB か、500KB を 600円で預かるサービスなわけで、これって結構いい値段ですよね。例えば、NTTコミュニケーションズの Cocoaというサービスは、100MBを月額300円で貸してくれる訳なんだが、その価格差200倍。
実は今日遊んでいたのは、
Konfabulator というサイト。
ここは、Mac OS X用の widget という小アプリを公開しているサイト。いわゆるソフトウエアライブラリだと思って、それほど大きな違いはないのだが、内容はほんとに単機能でシンプルな小アプリがほとんど。そして、その中にも数が比較的多いのが、下記のようなアプリケーションだ。
・Gmail (googleメール)の新着メール件数だけを表示する
・googleの検索窓のみ
・交通支局のモニタカメラの映像だけをデスクトップに表示
こうしたアプリケーションも、本来であれば Safari や、Internet Explorer があれば、それでまったく同じことができる。そうしたブラウザなどを作るのは結構なリソースがかかる訳なのだが、その莫大なリソースを使って、リアルタイムで交差点のモニタカメラ映像を見続けるというのは、ユーザーにとっては便利なものではない。
もちろん、ミネソタのとある交差点の交通カメラの映像をリアルタイムで見たいという要求はニッチだ。1万人いないかもしれない。
一方で、Internet Explorerは1億コピーはくだらない。その差は約1万倍だ。交通カメラの映像を見るアプリケーションの開発費が 10万円だったとして、Internet Explorerは、10億円の開発費で開発できているだろうか。このケースはどちらも無料サービスなのだが、これが有料サービスになった場合には、果たしてどちらがユーザーにアピールして、どちらが利益を大きく生み出せるかと考えるべきなのだ。NTTコミュニケーションズのCocoaがどれだけユーザーがいるかは知らないが、おそらく100万人は利用していないだろう。一方で、富士写真フィルムのこの年賀状が10万人でも利用してくれれば、利益率的には富士写真フィルムが勝るだろう。
というわけで、ポイントが何っていうオチもないのだが、エンドユーザーに何を見せて何を提供していくかという視点は、今後のビジネスの上ではますます大きくなるなあと思った次第。