![]() | 「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書) 価格:¥ 798(税込) 発売日:2007-06 |
タイトルだけ読むと雰囲気がわかりにくい本書「『世界征服』は可能か?」。
あとがきによい表現がある。
岡田斗司夫教授の特別ゼミ
夏休み自由研究「世界征服しよう!」
古今東西の漫画・小説・映画・テレビ番組に登場する悪党。なぜその悪党は世界征服できないのか!?
正義のヒーローがいるからか?
いやそれ以外に大きな欠陥があったのだ!
というのを、延々200ページに渡って解説するのが本書だ。
結論は「悪とは、その時代の価値・秩序基準を破壊すること」
「悪による世界征服」とは、人々の幸福と平和=「現状の価値観や秩序の基準」を破壊すること。
なんだそうだ。
個人的には、書籍の中で引用されている過去のアニメや特撮作品の内容が、気になったというか、面白かった。こんなにいい加減でいいのか! 過去の作品って感じ。もちろん、今から 50年も前によちよち歩きの産業だったときの作品なのだから、仕方がないのかもしれないが、それにしてもひどすぎるだろ! といいつつ、今から 25年ほど前のパソコンゲームだって、これに劣らないほど、ひどかったなあと思うし、そんなにひどかったけど、夢中になれる何かを持っていて、日々新しい担い手を巻き込みつつ、進化していった…んですよね。
ゲームや、映画、書籍で面白いものが限られてきたように、ネットの世界もだんだんとそういう世界になるのかもしれないなあと、ふと思ったりしながら、その変化に頑張ってついていきたいなあと思いました。
以下、本書で紹介されている作品事例。
空飛ぶゆうれい船
ボアという組織がでてきて、そいつが作ったボアジュースを飲み過ぎれば体が溶ける。そこで主人公はハッと気がついて「美味しいとか便利というだけで、このボアジュースを買って、ボアに資金協力をしている俺たち自身が、ボアの正体だったんだ」。
レインボーマン 第7話
秘密結社「(日本人は)死ね死ね団」のアジト。
1日の作戦で、殺した数は 1ダース (12名) そこで、首領ミスターKは、幹部を前に説教する。
「日本人の1日の出生数は?」
「約 5,000名です。」
「5,000名。どうだ、聞いたか? こrでは我々が一生かかっても皆殺しにはできないぞ。」
ジャイアントロボ 地球が静止する日 第6話
全エネルギー停止現象が起きた。
シズマドライブというすべてのエネルギー源を奪われ、なんとその策謀を巡らした秘密結社 BF団の支部とて例外ではなかった。BF団本部には次々に支部が絶滅していく通信が入る…。
横山光輝バビル2世
ヨミさまたすけてください。
ヨミさまを起こしてこい…
夜も眠れない典型的な独裁者。アドルフ・ヒトラー的な存在。
戦国魔神ゴーショーグン
失敗したときは被害金額が合計されて、作戦担当の幹部はそれを支払わなければいけないというアニメ。「ローンも可能」というセリフも。
007・サンダーボール作戦
スペクターの幹部会。「では財務報告に移る」。
ここで、次々に、収益の報告がはいる。ちなみに裏切り者が一瞬で焼き殺され、何事もなかったかのように代わりの席がせり上がる…。
オースティン・パワーズ・デラックス
「イーブルさま、数年前に我々が投資した小さなコーヒー会社が、いまはスターバックスとして最高級のコーヒーをお手ごろな値段で提供しています。もし我々が世界征服のために用意した資金を、スターバックスの経営に回しさえすれば、あっという間に利益は5倍になります。」
その他、ドラゴンボール、宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダム、北斗の拳、チンギスハン、ヤッターマン、仮面ライダー、などなど。