clover note

徒然なる日々の覚え書き。

ある新聞記事から思い出した昔の出来事・・・

2009-06-04 03:06:31 | 旅やお出かけの記録
今月2日の読売新聞夕刊でこんな記事がイラスト入りで出ていました。
・・・ん?何か以前に似たような景観を見た事があるような・・・?






心熱くする 酒造りの技…木戸泉酒造
(2009年6月2日 読売新聞)



記事を読んでみて納得。
ここで紹介されているお蔵は、千葉県は大原にある【木戸泉酒造株式会社】さんではありませんか
こちらには今から約6年前、泊り込みでお世話になった事があります。
蔵元さん始め、杜氏さん、蔵人の方々には、その節は大変お世話になりました・・・
間近で体験させて頂いた日本酒造りの現場、大変勉強になりました。



そう言えば・・・その際に撮影した画像があるはずと、外付けHDDを漁ってみたら出てきましたので・・・
せっかくですからこの場に記録しておこうと思う。







JR大原駅です。
何となーく鄙びた感じの漂う田舎の駅、みたいな雰囲気でした。






駅近くの通り。
あえて何も言うまい・・・
今はどうなっているのやら?






新聞記事のイラストにもなっている、お蔵の入り口にある杉玉。
これは「酒林」と言いまして、新酒が出来た際に目印として作る物です。






これも記事のイラスト通り。
木戸泉さんのお蔵です。
煙突が特徴的ですね。






酒米を蒸す直前の所。
甑(こしき)と言う大型の木製蒸し器で蒸しあげます。






蒸し中・・・
敬愛する故上原氏のお言葉によりますと、「日本酒造りは一に蒸し、二に蒸し、三に蒸し」と言うくらい重要な工程です。
詳しい説明は長くなるので割愛しますが。
要は、原料処理をきちんとしないと美味しい日本酒は出来ない、と言う事です。






日本酒の原料の重要部分、「麹米」を作っている所。
右側にいる蔵人さんが手に四角い箱を持っていますよね、あの中に「種麹」が入っているわけです。
麹菌・・・つまり黴(カビ)ですね。
しっかりした強い麹米を作らないと、まともな日本酒にはならないのです。






「酒母」(またしても詳しい説明は割愛)の状態を管理するのは杜氏さんの仕事。
管理が良くないと良い酒にはなりません・・・
適宜チェックを受けて、美味しい日本酒の原料が作り上げられて行きます。






発酵タンクが並んでる蔵内部。
この中でもろみを発酵させて日本酒を作ります。
実物を見た方には分かると思いますが、本当に大きいタンクです・・・






櫂(かい)と呼ばれる道具でもろみを掻き混ぜるのも非常に重要な工程。
この棒の先には、平たい板状のパーツが付いています。
・・・最近はあんまり使われてないのかも知れませんが、家庭のお風呂で湯を掻き混ぜる道具の大型版みたいな物です。(笑)






もろみが発酵しています・・・
酵母菌も頑張って、麹菌が蒸米の澱粉質を分解して出来た「糖」をアルコールと炭酸ガスに変換してる真っ最中です。
このように、麹菌が蒸米の澱粉を糖化し、それと同時に酵母菌が糖をアルコールと炭酸ガスに分解させる発酵方法を「並行複発酵」と言います。
この方法は、世界の酒造りの中でも最も高度な知識と技術を必要とする技です。
日本では微生物の存在がまだ知られていない遥か昔からこの方法を用いて酒が造られて来ました・・・
先人の知恵には只々驚嘆するばかりです。






発酵の元気が良いと、吹き上がった泡がタンクの淵近くまで上がって来る事があります。
そんな時、タンクの周りに衝立(ついたて)で壁を設け、泡が吹きこぼれるのを防いだりもします。
うーん、酵母達が頑張っているんだなぁ~






なにぶん大型のタンクなので、作業は周囲に渡された「板切れ」の上で行われる事になります・・・
手すりも何にもない人幅程度の空間。
床からの高さは2mくらい・・・?
その上に立つと、プラス身長の視界なので、結構な高さに感じられます・・・
若干高所恐怖症な身としましては、これは恐怖でした。
正直言って腰が引けます。(苦笑)
足を踏み外せば、コンクリートの床に真っ逆さま。
発酵中のタンクに間違って落ちれば、下手すれば死が待っています・・・
知ってました?発酵中のタンクの中では酵母が物凄い勢いで酸素を消費するので、下手に覗き込んだりすると酸欠で気を失ってしまう事もあるのです。
このような事故で亡くなる酒造関係者って、決して珍しくないんですよ。






杜氏さんが発酵の上限をぎりぎり見極めてから、もろみを搾って新酒が出来上がります。
これを「上槽」と言う。
写真は、「ヤブタ式」の方法を使って酒を搾り出している所。
フィルターに付いている物質が、いわゆる「酒粕」になるわけですね。
この後、搾り出された新酒は、それぞれの熟成期間を与えられて「日本酒」として流通して行きます。





ここで、ちょっと酒関連以外の写真も。












研修の期間、寝泊りした民宿(?)。
・・・・・・この時は西暦2003年ですよ
どこの「横溝正史」の世界だ???と思いました・・・
このアンティーク具合、ある意味貴重かも知れない。(笑)
微妙に建物が歪んで見えるのは、本当に建物が歪んでいるからです・・・









息抜きに連れて行って頂いた、大原の漁港。
さすがは外房、美しい景色でした・・・
こういう漁港をあてどもなく散策するのも楽しいでしょうねぇ~
今度機会を作って旅してみようか?






大原駅のホーム。
またここに来る機会があるだろうか・・・?
鄙びた良い雰囲気の町でした。




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知識ゼロからの日本酒入門
尾瀬 あきら
幻冬舎

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