画一的な国産ビールと違って、『百人百色』の味わいがあるベルギーのビールが、私は大好きです。
今回は、その中でも『フルーツランビック』というカテゴリーに属するビールを一種類取り上げます。
写真は「ボーン・クリーク」。
本来は専用のグラスがあるのですが、まだ持っていないんですよね・・残念。
このビール、世界に類を見ないほどユニークな作られ方をしています。
まず、元になるランビックという、自然発酵で作る種類のビールがあるのですが・・・
これ、ベルギーでしか作られていません。
・・というか、他所では同じものが作れない理由があるのです。
専門的な説明を始めると、ちょっとした本がかけるほどの分量になってしまうので・・・(苦笑)
ごく簡単にさわりの部分だけを。
世界のビールには、大きく三種類の区分けがあります。
イギリス・エールに代表される【上面発酵ビール】
ドイツ・ラガーに代表される【下面発酵ビール】・・日本のビールはほとんどこのタイプ。
そして、現在はベルギーに残る【自然発酵ビール】
何が【自然発酵】なのかと言いますと、麦汁にその土地の野生酵母が飛び込んで・・文字通り、「自然に」発酵するからなんですね~
現在のビールと言うものは、培養した酵母を使って作られるものですが・・・
ランビックの場合、醸造所の中や周辺に生息する86種類の野生酵母たちによって作られるのです。
野生酵母が活躍すると言う意味ではワインと似ていますが、酵母の種類は違うものです。
原材料や熟成方法、期間なんかもユニークなランビックなのですが、長くなるので割愛。
基本的な風味の特徴としては・・・強い酸味、タクアンやチーズ・・なめし皮のような変わった香り。
かなり酸っぱくて、癖が強いので・・・初めて飲む人は驚くかも知れませんねぇ~(笑)
日本のビールのイメージとは全然かけ離れていますから。
ですが、ハマると病み付きになる・・そんなビールです。
さて、冒頭のフルーツランビックですが・・・
ランビックに新鮮なフルーツなどを漬け込んで、色彩と風味を付与した種類のビールです。
『ボーン・クリーク』の場合、1リットルあたり200グラムの生のサクランボを使って作られるそうです。
このビールの特徴を端的に表現した一文があるので抜粋。
どんな風味なのかイメージが湧くと思いますので・・・
『熟した果実のアロマといくぶんタンニンの効いたオーク樽のフレーヴァーが柔らかな酸味とよく調和し、ボジョレー・ヌーヴォーにも匹敵する素晴らしい味わい。後口もべたつかず、実に爽やかです。飲み込んだ後に、レモンに似た香りがほのかに残り、心地よいフィニッシュを迎えます。』
(「ベルギービールという芸術」 光文社新書 田村功 著)
・・・出来るだけ簡単に書くつもりでもこの長さ・・・
語れども尽きぬとはこの事か?(苦笑)
サクランボの清々しく甘い風味、それでいて後口は引き締まったドライ感。
食前酒にも最適な、若い女性にも大変好まれる資質があるお酒です。
大き目のデパートなどでは置いてる事もあるので、興味が湧きましたらお試しあれ。