( leave things ) up in the air

30代後半・既婚・ゲイ。仕事も家庭も人生も全てが中途半端な僕のろくでなしな日々。

昔の恋・前編

2006-11-21 | Weblog
昨日、仕事である街に行った。
それは僕にとっては忘れることのできない街。
忘れることのできない人が住んでる街。
用事があったのは駅の反対側だったけれど
時間がすこしあった。
僕はその場所に行ってみることにした。

その場所は変わるはずもなかった。
商店街につづくデッキ。
その人と初めて待ち合わせた場所。
その人に会えるような気がしてあたりを見回す。
あのときもそうだったっけ。
どんな人なんだろう。どきどきしながら見回した。
そして会えて、ほっとしたんだっけ。

その人の住むマンションに自然と足が向く。
まだ、憶えてるんだ。
駅から行ったのは1回きりだったのに。
駅近のマンション。
1階の駐車場に車を置いていたはず。
ほどなく、マンションの前に。
来てしまった。

前にも偶然車で来てしまったことはあるけど、駅から来たのは何年ぶりだろう。
あ、車がある。まだあの頃と変えてないんだね。独特のエンジン音が好きだった。国産車とは違った硬質なビート感が僕はお気に入りでそれまでその車は好きじゃなかったのに将来乗りたいなって思っちゃったんだっけ。
車があるってことは家にいるんだね。
もし降りてきたらどうしよう。
でも時間がもうなかった。
僕は戻っていった。

仕事の用事はことのほかスムーズに済んで現地解散になった。
日暮れ時の駅で僕はたたずむ。
あと一回だけ。
また駅の反対口へと歩いていった。