( leave things ) up in the air

30代後半・既婚・ゲイ。仕事も家庭も人生も全てが中途半端な僕のろくでなしな日々。

僕のどうしようもなかった夏:エピローグ

2005-09-07 | Weblog
Jさんとのことが終わって、その後にひょんなことから出会ったゲイの人にしゃぶられたことはあったけれど、しばらくは「服を脱ぐ」つもりはなかった。

この夏の経験でカラダもすっかり変わってしまった。オナニーのときにはケツ弄るようになってしまったし、トコロテンもできるようになってしまった。アダルトページ見ているだけで先走りでパンツが汚れるようになってしまった。少しの愛撫で簡単に喘ぐようになってしまった。

その一方で、行き着くとこまでいってしまったな、堕ちることまで堕ちてしまったな、という気持ちを持ち始めていた。
過去にそれらしい経験はあったけれど、事実上、ネットを始めて興味本位で近づいた世界。何人かに会って、自分の欲望から簡単に堕ちる性処理道具に成り果てた自分。

秋風が吹き始めると共に、熱に浮かされた夏が終わり、僕自身も落ち着きを取り戻し始めていた。
しばらく家を空けていた妻が戻ってきた。
仕事でも部署が変わり、忙しくなってきた。
もう一度、やり直すチャンスかもしれない。
そう思った。

クリーニングに出していたスーツの上着に袖を通して、
胸を張って、今日も頑張ろう。
ストライドを大きくとって。
僕は歩き出した。
どこへ行くかわからないけれど。少なくとも流されないように。
気持ちを強く持っていこう。(おわり)

追記:とは言っても相変わらず揺れ動いている自分。それが中途半端な自分の自分たる所以なのかもしれない。

僕のどうしようもなかった夏:13「夢から醒めて」

2005-09-02 | Weblog
朝もやの中を走りぬけ、幹線道路沿いの24時間営業のファミレスで二人でコーヒーを飲んだ。
「すごかったなぁ。」
彼が言った。
「見た目と違って。」
何?
「またしような。今度はホテルでもとって。」
ああ、僕のことか。大抵、見た目と違ってイヤラシイと言われるよ・・・。

「家も近いし、また会いたいな。」
うなずきかけたところで、彼が言った。
その言葉を聞いて、僕は一気に目が醒めた。
セックスの後にシャワーを浴びたりしてないから、僕のカラダの隅々まで彼の残り香がしてたけど、現実が一気に帰ってきたようだった。
その言葉とは、

「家族ぐるみで付き合えたらいいなぁ。休みにはにみんなでバーベキューとかして、平日夜に外で会ってしたいな。」

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え?
そんな、ありえないよ、駄目だよ。それは言ってはいけなかった。思うのは自由だけど、言っちゃいけない。しちゃいけない。家族どおしでは何もないような顔してその裏でだんなどおしが肉欲をむさぼるのか?お互いの奥さんをだまして、裏切って。

彼はほとんど罪悪感がないんだ。自分のことを棚にあげ、僕は内心、怒った。
駄目だ。やっぱり。僕達は既婚者なんだ。ちったあ罪悪感感じろよ。
いや、怒ったというより恐ろしくなったのかもしれない。
自分もいずれそうなってしまうのか。
このままだとそうなるかもしれない。
彼は何年か後の自分の姿。
すっかりオヤジ体型になってるのに気持ちだけは若くて、肉欲に支配された男。モラルより快楽。セックス奴隷。

生返事をして、Jさんと別れた。
その後もメールがきたけれど、僕はもうJさんに会う気はなかった。
9月になり、風がいくらか涼しく感じられた。
夏が終わった。僕の夏も終わった。そう思った。(つづく)