音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

光市母子殺害事件

2008-04-26 23:57:35 | 事件
『WiLL』の最新号に本村洋さんの独占手記が掲載されていたので買って来て読みました。まさに慟哭の手記であり、全編にわたって胸を衝かれるものがありました。

「人間にとって最大の不幸は、昔幸福だったことである」という箴言があります。犯罪被害者遺族は想像を絶するほどの苦しみを味わいますが、実際に本村さんも幾度も自殺を考えたそうです。法廷で繰り返される惨殺の再現、マスコミの容赦のない取材攻勢、理不尽な司法制度、被告人の反省のみられない言動、そして最後には、自分たちの思想(死刑廃止)のPR活動のために集結して裁判を弄んだ弁護団・・・。普通の人であれば怒りと絶望で発狂していても不思議ではない状況で、よくも冷静にここまでやってこられたと感服します。殺人はかように被害者遺族までも「殺す」のです。青山学院大学の准教授が自らのブログで心ないことを書いたのにも驚きましたが、他者への想像力がもう少しはたらかないものでしょうか。

本村さんには新たな人生を歩んでほしいと願います。しかし単なる有名人を超えた存在になってしまっている彼は、既に人生のケモノ道に踏み出していますから、この後いつまでも「あの本村洋さん」と定冠詞つきで呼ばれることになるのでしょう。例えば仮に再婚したなんていう場合でも、それがニュースになり、匿名の悪意に晒されることになります。

従来、特に少年事件においては、被害者および遺族の人権があまりにもないがしろにされてきたので、事実上泣き寝入りを余儀なくされていました。私は少年法や死刑についても思うところはありますが、量刑については、個別の事情をじっくり検証して決めていくべきだと考えています。朝日新聞の馬鹿な女性記者が本村さんの会見で、「これで死刑のハードルが下がったとお考えですか?」と愚にもつかないうえに大変失礼な質問をしていましたが、これは世の裁判官同様、マスコミも悪しき「相場主義」にとらわれている証拠です。

北九州高専から広島大学工学部に編入し、卒業後に新日本製鐵に入社した本村さんは、このサイトによると、専攻を活かして機械系の部署を希望したものの製鋼工場の技術スタッフに配属され、当初は非常に戸惑ったと語っています。新日鐵としても、光市の工場ラインに配さなければ、このような形で彼の人生が暗転しなかったかもしれないし、何よりこれは社宅で発生した事件ですから、会社も本村さんの傍聴その他の活動に関しては全面的にバックアップしていたそうです。

本村さんという超人的な遺族と、勤務先である日本有数の大企業の力なくしても、司法が正常に機能することを願います。



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