音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

仕事のモチベーション

2010-10-11 20:53:07 | 事件
証拠品を改竄した疑いのある前田恒彦検事が起訴されたうえに、法務省は懲戒免職処分を下す方針のようです。大阪地検が組織ぐるみの隠蔽をしたという見方には、自身も東京地検特捜部に逮捕された経験を持つ作家の佐藤優氏は、『創』最新号の連載で異を唱えています。

上司を含む検事たちは「褒められた話ではないが、大した問題ではない」と認識していたからこそ、処分はもとより口頭の注意すらしなかった。検察の常識が普通の国民の常識が著しく乖離した状況を是正するために、言い換えると佐藤氏の著書で有名になった「時代のけじめをつける」ために、最高検が大阪地検に対する異例の国策捜査に着手したわけで、前田検事もまた運悪く国策捜査に巻き込まれたにすぎないんだと。

前田容疑者は改竄の動機を「上司に認められたかった」と供述していると報道されていますが、ここでいう上司は必ずしも大坪部長や佐賀副部長というわけではなく、検察という「組織」のことを指しているでしょう。また、先のエントリーで触れた王将フードサービスの「地獄の研修」で、渡辺常務と抱擁して号泣した新人や店長も、一時的な洗脳がなされているだけで、精神的紐帯が生まれているとは考えにくい。

それでも、最近思うのは、人間のモチベーションというか原動力というのは色々あれども、「承認欲求」というのがかなり上位にあるのではないかということです。私も若い頃にこんな経験があります。

入社した会社では年次別の営業表彰があって、同期の約150人の中で上位の成績を上げた者が全国大会で賞状と金一封を貰うのですが、1年次と2年次の連続でベスト10に入った数名が、本社の業務推進部の偉い人からヒアリングを受けるという出来事がありました。私もたまたまそのうちの一人だったのでインタビューを受けたのですが、1ヶ月後くらいにフィードバックがあって、他の人の概要を聞くことができました。

新人から2年目の駆け出しの営業が成果をあげた要因を探るというのが、リサーチの目的でしたが、なぜそこまで頑張れたのかという理由を訊く質問に対して、私を含む同期の全員が、表現の差異はあれども、真っ先にほぼ同じ答えを返したといいます。

その答えとは何だったんでしょうか?

①売るほどに入ってくる報奨金目当て
②自分の功名心を満たすため
③お客さんに喜んでもらうため

まあ、中堅からベテランで優秀な人は③のプライオリティーが高い人が多いですが、駆け出しの若手の場合はちょっと違うんですね。

成績が良かった連中が口を揃えたように語ったのは

「リーダーの喜ぶ顔が見たかった」

というものでした。

ひよこである新人にとって、社会人としての親鳥である直属の上司との絆と、マネージャーの人間性がいかに大切であるかを、本社も再認識したようでしたが、これは本当にそうなんです。

私がついたリーダーも厳しい人でしたが、大変な情熱家でもあり私を一人前に育てようと必死でした。コンペチターとの熾烈な競争の中で、日々とてもキツイ状況だったのですが、正念場で踏ん張れたのは、いつもリーダーのことが頭に浮かんだからでした。若い頃はスリムだったようですが、ストレスフルな営業生活ですっかり太ってしまったその人は、契約が決まるとジャムおじさんみたいな顔をくしゃくしゃにして「音次郎、力つけたなあ」と、自分のこと以上に喜んでくれるので、いつも早く報告したくて勇んで営業所に帰ったことを覚えています。

これは親と子、先生と生徒などにも言えることですが、誉めることは非常に重要です。人が力を発揮するのは、お金や自分のためというよりも、他人が悦ぶからというのが大きいんじゃないかと思う今日この頃です。





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