Masaca's Blog 2

独り言・日記・愚痴・戯言・備忘録・・・。なんとでもお呼び下され(笑)。

金木犀

2007-10-10 08:54:26 | Weblog
この季節になると、どこからともなく金木犀の香りが漂ってくる。子供の頃からこの香りが大好きだ。

昔、実家のトイレのすぐ横に隣家の庭の金木犀の木があり、やはりこの季節になるといい香りが漂ってきた。まさに天然の芳香剤である。物心ついた頃から、その香りを心地よく感じるようになっていたのだから、まさに「三つ子の魂百まで」で、その嗜好が変わることはないようだ。

しかし、金木犀の香りが好きだという話をすると、トイレの芳香剤みたいでイヤだ、といわれることが結構ある。原因は、一時トイレ芳香剤にこの香りが多用され、そこかしこのトイレが右ならえで金木犀の香料を使っていたからである。ある意味、金木犀の香りにとってはとんだとばっちりだろう。金木犀の香料は天然からも抽出できるし、比較的簡単に合成もできるらしい。化合物名や組成はググれば出てくるので割愛するが、芳香剤に使われているものの大半は合成だと思う。

しかし、どうも自分の鼻は、芳香剤の金木犀香と本物の金木犀香が違うような気がしてならない。何が違うとはっきり言えないもどかしさをずっと引きずっているのだが、未だにその原因は不明のままである。勝手な想像では、たぶん金木犀の花から香るときには、その香りの主成分以外の雑香気成分が相まってあの香りを醸しているのではないかと考えている。日本酒でもそうだが、昔ながらの酒母や桶には雑菌が住み着いていて、酵母による発酵に付随した雑菌による副産物が得も言われぬ豊穣さを醸し出していたと聞く。私が酒を飲めるようになった頃には、そんな雑菌の入った酒はほぼ駆逐され、酵母が単離されて使われていたので、そのような酒にはお目にかかったことがない。しかし、そういう酒を知っている年配の方にいわせると、今、銘酒といわれている酒も昔はもっと美味かったそうだ。科学的に極めんとしたがために失ってしまったものがあるということだろう。天然の金木犀の花の香りも、花だけでなく木や葉、その他の雑香気成分が混ざり合ってさわやかな香りを醸しているではないかと思う。だから、合成香料では、きれいにしすぎてしまったがために失われた微妙な香気が再現できないんじゃないかと思う。

さらにいえば、金木犀の香りは季節ものである…というか、そうあるべきだ。あれだけ個性の強い香りが年がら年中漂っていては、他の香りなどたまったものではいない。この季節の短い一時にだけ香るから、その刹那性も相まって記憶の中に強烈な印象を残すに違いない。芳香剤の合成金木犀香は、そんな刹那性までも奪ってしまったのかもしれない。

会社のロータリーにもかなり立派な金木犀と銀木犀がある。今年も仄かにその香りが部屋の中まで漂ってくる。その香りを楽しみつつ、また来年もこの香りを楽しめることを心待ちにしたい。

最新の画像もっと見る