さて、退院はしたものの、まだまだ皮膚が完全に出来ておらず、自宅で抗生剤を飲み塗り薬を縫ってガーゼでカバーし
ゆっくりウォーキングのリハビリ、後は週に一度の通院しかすることがなかった。
ウォーキングもジムに行くには傷口からばい菌が入る可能性もあり、何より人に見せられる状態ではないので休会のまま。
近所をだらだらと歩くしかすることがないのだ。
つまらない。朝起きて1時間程歩いたらテレビとネットと昼寝。たまらないつまらない。
そこで長らく飲んでなかった酒に手を出す、朝のウォーキングと病院に行くとき以外はほぼ飲み続けていた。
そんな生活を春まで続けたところ、先生からそろそろ仕事に戻ってもいいと言葉をもらった。
もうすでに、このまま飲んでテレビ見てネットして昼寝していたかったのだが、保険の期限も迫ってきており生活も有るので
仕事に復帰した。
俺の仕事は、この時は職人だったので、朝ミーティングしたら各自持ち場で一人、与えられた仕事をこなしてゆくという
ポジションだった。
すでに酒の虜となっていた俺は、まずコンビニで酒を買い一気飲み、マスクをつけて電車に乗り朝のミーティングを乗り切り
作業を行い、午前の休憩で飲み、昼休みに飲み、午後の休憩に飲み、仕事帰りに飲んだ。
そんな生活を続けていた夏の終わり。朝いつものように一気飲みをしたら急に気持ち悪くなってもどした。
何度も何度も。
仕事は休んで横になっていたが、水を飲んでもはいてしまう。もう酒も受け付けない。尿はコーラ色!
そんな状態が2日続き病院に行った、すぐに検査、医者と看護師の顔色が変わった。γーgtpは1000越え(ここまでは
なる人はなる)GOTとGPTが4500近く、完全に肝不全。
30代の循環器の女医は今晩が山ですと言った。この病気は急性肝炎が超悪化したもので急性肝炎で全国で入院する人が
年間4万人。ここまでなる人は1%の400人、劇症肝炎と言い致死率は50%!肝臓が動いてないのだ。在庫がないので
血漿をすぐに発注し、血液をろ過しながら1週間かけて血を全て入れ替えると言った。(キースリチャーズみたいと思った)
それも間に合えばいいんですが・・・間に合っても治る保証はありません。この病気は原因不明ですがあなたの場合は
明らかに酒が原因ですと言われた。
その夜、入院したベッドで眠りにつく前、これで最期かなと思ったら一筋涙がこぼれた。