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マルチタイプ・ライブラリー・システム(図書館など情報サービス機関の連携)

2005年02月25日 | 学校図書館見聞録:アメリカ・カナダ編
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 よく学校図書館と公共図書館との「連携」ということが言われるが、ともすれば団体貸出など、公共図書館から学校図書館への一方的な資料提供しか行われていないことが多い。資料数という点からみると、公立図書館と学校図書館の差があまりにも大きいので、はたして、相互に恩恵を与え合い、公共図書館にとってもメリットがある対等の関係が両者の間で成立しうるのかどうか疑問でさえある。しかし、資料が充実している公共図書館が不足している学校図書館を支援するという側面だけで連携を考えていると、学校図書館はますます衰退し、その影響を学校教育が少なからずこうむることは必至である。連携というからには、まず、学校図書館が公共図書館とは違った役割と特色を持つ図書館として充実し自立することを前提にすべきである。学校図書館に人がいてそれなりの役割を果たしていれば、もっと大きな視野での連携がはかれるはずだ、と千葉県市川市の高桑弥須子さんはいう。『現代の図書館Vol.39 No.3(2001年9月)特集:ネットワーク時代の図書館資料相互貸借』参照。

Multi-type Library System
 カナダのサスカチュアン(Saskatchewan)州では1996年に図書館相互協力法(The Libraries Co-operation Act)が制定され、それに基づいて館種を横断した連携を推進するマルチタイプ・ライブラリー委員会が設置されている。公共図書館、大学や短大など高等教育機関の図書館、学校図書館、専門図書館、その他の情報サービス機関と州立図書館が手を組んで、それぞれの独自性を維持し、それぞれの目的を果たしながら、なおかつ、それぞれの管轄領域を横断してサービスと資源を提供し合い、地域社会に貢献するマルチタイプ・ライブラリー・システム(multi-type library system)を作り上げようというのである。崇高かつ壮大な試みである。

 高度情報化社会といわれる時代にあって、私たちが正気で生きていくには、必要に応じて多様な情報をいつでも容易に取り出して、有効に活用することができなければならない。地域社会の中で、そのような情報環境を整備していくことは図書館関係者の最も優先されるべき使命であろう。自ら所属する図書館、館種、管轄領域に拘泥していては、本来の使命は果たせない。

Communication is a process of sharing experience till it becomes a common possession. (John Dewey, Democracy and Education)
コミュニケーションとは経験を共有して、お互いの財産とするプロセスである。(ジョン・デューイ「民主主義と教育」)

 コミュニケーション、すなわち人類の生存のために時空を越えた協力関係を確立するという点において教育者も図書館関係者も同じ土俵に立つことができるのではないか。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2005-03-21 16:02:28
4月から小中学校の図書室の職員になります。そんな私にはためになるblogだと思います。これからも読ませていただきますね!
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