マル鉄回顧録

鉄道写真・鉄道模型を始め、バスやトラックなど、乗り物中心のブログです。昔の写真はマル鉄鉄道写真館で再編集しています。

国鉄 大宮操車場 雪から入換作業を守る「カンテラ」

2010-02-24 01:28:00 | 大宮操車場
こんばんわ。

昨日、機会があって、国鉄時代の私の履歴書を見ました。それによると、何と、高校卒業の年、昭和57年4月1日を待たずして、2月16日から臨時雇用員として採用されたことになっています。
これは、当時わが母校から東京三局(東京北・東京西・東京南鉄道管理局)だけで144名もの大量な人数が採用となったため、おそらく研修手配の関係でしょう、早めに関東鉄道学園に入所するためだったと思われます。
鉄道学園での勉強は2~3週間程度で、既に私は大宮操車場に研修生として配置されていました。もちろん、採用予定の各操車場や駅へ散らばっていった同級生たちも居ました。

それはさておき、大宮操車場では正式な職員の配置ではないため、指導助役のもと、貨車の入換のノウハウや安全指導を受けます。しかし、必ずしも入換作業の研修ばかり出来るわけもないので、時に別作業を与えられたこともありました。そこで一番印象に残っているのが「カンテラ磨き」です。

私の知っている限りでは、鉄道用語で「カンテラ」とい名称は2種類使われていました。

一つは、駅で車掌に出発指示合図を出す際、昼間の青旗・赤旗の代わって、夜間に使用する「合図灯」です。

そしてもう一つは、ポイント(分岐器)において、降雪時に雪の抱え込みを防止するために用いる暖房器です。



※クリックすると、画像が大きくなります。

ポイントのトングレール(分岐部の先端の細いレール)部分を暖めることにより、レールへの積雪を防止し、すなわち、トングレールが可動した際に雪を挟み込まないようにするために設置されます。
ポイントに雪を挟み込んでしまうと、トングレールが密着しなくなることにより、①フランジが隙間から外れて脱線する。②レール同士が触らなくなり、信号電流が伝わらなくなる。という危険、不都合が生じます。これを防止しなければ、鉄道そのものが機能しなくなってしまうわけですね。

構造はアルコールランプの灯油版を想像していただければ良いと思います。ただ、揮発性の高いアルコールでさえ、物体に当てると煤(すす)が付くものですが、灯油であるだけにこの煤の量がハンパではありません。写真の線路下にモクモクとはみ出してこびりついているのが煤の塊です。

この「カンテラ」は、雪が降る前又は降り始めには設置します。積雪してからでは、線路下のスペースの雪を退かさないと「カンテラ」が入らなくなってしまいますし、積雪してからではレールを暖めるのに時間が掛かってしまいます。積雪前にあらかじめ着火しておき、雪を積もらせなくすることが肝要なんですね。ですから、逆に雪が止んでしまえば、「カンテラ」の効果でポイント付近の雪がなくなっていますから、直ぐに消すことが出来るわけです。

首都圏では滅多に積雪することがありませんので、除雪機能と言うのは装備していません。ですから、突然の積雪に対応するためには、「カンテラ」は欠かせない大切な道具なのです。

ちなみに、大宮操車場でも本線のポイントは電熱器が設けてありました。やはり、最初に止めてしまう訳にはいかない、灯油の補充に危険が伴うという理由からなのでしょう。

そして、大宮操車場に2千個以上もあると教えられた「カンテラ」。約20人の研修生でぼろきれ持って灯油を浸けながら磨かされたのでした。

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コメント (8)
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