ケニチのブログ

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映画「物置のピアノ」

2019-08-08 | 映画・TV
 先日買ったDVDを観た.映画『物置のピアノ』.

 震災後の桑折町を舞台に,ピアニストへの夢にもう一歩踏み出せない農家の娘をめぐって,その葛藤や周囲との交流を描いた,たあいないヒューマンドラマ.急きょ集めてきたと思しい俳優陣はだいたいダイコンだが,何より気になったのは,ストーリーの顛末や各エピソードに,さほど予想外のできごとが起こるわけでもないのに,どことなく作り物あるいは継接ぎの感じ,「台本に書いてあるからそうしている」というような空々しさが付いて回ることだ.登場人物たちの動機や人間性が見えてこないというか,見えているものしか見えない,一つ一つのせりふが説明調に響く(「え,そうだったの?」と,テレビの前でこちらが置いてけぼりになる),お粗末な一本であった.作者とキャストらは,話の内容をじっくり共有したのか,ひとりでに立ち上がってくる生き物として実感したのか,と問いたくなる.
 唯一,全編を流れる優しい音楽は,むやみに映画のディテールを描写するでもなく,ただそこにともに存在するさりげないもので,好感が持てた.


映画『物置のピアノ』
TCエンタテインメント,TCED-3546

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