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松浦壮「時間とはなんだろう」

2017-11-14 | 数学・科学
 先日買った本を読み終えた.松浦壮・著『時間とはなんだろう』.

 時間の実体をめぐって,ニュートン力学やマクスウェルの電磁気学から,相対論,量子論,最終的には超弦理論にいたるまで,物理学の発展のあらましを分かりやすく追った一冊.結局は,時間というものは僕たちが感覚的に捉えている以上に難しい存在で,それが何であるのか,ますます分からなくなってしまった感じもある.もちろん,これは宇宙のありようがそれだけ複雑で,依然として未解明の部分が多いということの顕れであるし,また,「時間」がどの研究分野にも不可欠のものとして登場することに,今さらながら驚くばかりだ.なお,全編に亘り,日ごろ文系学生を相手に講義するという著者の,専門家ぶらない柔らかな語り口は魅力.数式のたぐいはほとんど出てこないし,それぞれの理論にも深入りせず,概観を紹介するにとどめている.このなかではとくに,相対性理論での時間と空間の同一性,時間と重力の同一性に関する記述は,強烈かつ簡明で納得が行った.


松浦壮: 時間とはなんだろう —最新物理学で探る「時」の正体—
講談社,2017,
ISBN978-4-06-502031-9

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